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大騒ぎのクリスマスクッキング ②


「瑠架さん、そりゃ無いっすよ〜!」

「信繁さんいくら何でも怒りますって!」



食堂に居合わせた他の職員はアワアワしながら、この勝負どうなるか〜?

手に汗握る状態でジィッと聞き耳を立てる。


ーーーーこの先は筋書きの無いドラマ。


どうなるのか? 全く予断を許さない。

 

 

不夜城のエース VS 特殊部隊の精鋭


考えただけでも異常なおそろしい組み合わせ、ゴクッと固唾を吞む。




『信繁師匠の事アンタ〜〜〜〜って!! ヒーー何いってんだよこの人!!』


『悪者だってコイツ悪魔ーっ酷い酷いってオイオイ泣く班長にーー!瑠架さん!

なんたる恐怖の言いぐさだよ〜〜ぉ〜』


 

男達はグルッと遠巻きに〜しかし耳をそばだてて……!


2人の、彼等の会話を盗み聞き、いいや ”聞いていた”


そうーーー特に男性職員はーーージッと息を潜め……!


「いつでも逃げられる準備」を整えながら、状況の推移を伺っていたのだ。




しかし全く正反対な態度を取る女子職員ーーー……


「うぁ最悪〜〜〜!」


「なんてずーずーーしぃ、クソ女!』


彼女らは目を爛々と燦めかせて、今にも呪いの視線ビームで焼き殺しそうに瑠架を恐ろしい形相で睨みつけていた。




「ーーーあのサァ瑠架、一応はいっとくがな、普通の調理とパティシエの技術は別物だぞ?


1グラム単位で状態が、焼き加減とかクリームのトロミとか変わってしまうぞ?


ーーー素人の俺を勧誘だなんて、全くどうかしてるぜ、その点、ちゃんとわかってるのか??」



「当然よ? そんなの、もうやってある。

計量その他、繊細さは欠かせないし……!


キチッとレシピ通りでないと、全然生地が膨らまないし、クリームもフワッと綺麗に泡だない。


調理器具も脂分や水分ーーー雑な洗浄や乾燥で混じったりは厳禁だしね?


大丈夫よ! そんなの、ソッチもコッチも全部準備済みだから〜!!

だからね、アンタ来てくれるだけでいいのっっ!」



「ーーーーーふーん……」



「それに信繁なら『助っ人』で〜 少々手際が悪くても!

参加する女性陣から絶対に文句が出ないわよ?!


だからさぁ〜〜〜ぁぁぁぁぁ……この通り、お願い!!」

一生に一度のお願い!!」



「・・・・・・」



『……』


『オイオイーーー信繁さん切れる一歩手前だよ〜眉間にシワ寄ってるし!?』



男性職員は〜いよいよヤバそうな、スゥっと意識が遠くなるそうな問題発言をドカドカ連打ラッシュしまくりの恐いモノ知らず、容赦ないハードパンチャー天才瑠架様の様子〜



……いよいよ本気でコッソリ席を立つタイミングを探り始めた。


とはいえ、結末が知りたすぎてもう少し粘って顛末を見届けたいのもまた事実〜

 


『マズイだろ?』


『うわーマジかー信繁さん今にもキレそうだよ……!』



むーーーこの交渉リアリティーショー、悩ましいにも程がある!!



「ーーーソモソモどうして俺なんだ?」


「あ〜〜それっっ! だってさ〜ーーーホラいつの間にか!

特殊部隊班の男の信繁が 軟弱な調理……!

 

いやーー

『かわゆいケーキを作ることが特に得意らしい』〜

『まさかぁ〜?? クスッ!!』

『実はキモい変態君!?』


なんてね?……怪しからぬ噂が内々に立ってるのアンタ知らない?」



「ーーー知らないな」



「だからねぇ〜きっとーーーー『本当かどうか?』

女の子達、皆全員

『知りたがってると思う』のよねぇ〜?」


「世の中のパテシェ〜

ーーーあんな肉体労働作業のキツイ長時間仕事、男ばっかだろ?」



「うん、そうなのよー

だからーーー見せてあげて欲しいのよ?


アンタが〜『何でも出来て凄い』って!!

卵カシャカシャ撹拌するパワー系男子って キャーーーかっこいい〜……!」



「あのなぁ瑠架、いいか?


褒めるのと貶すのとーーー同時に喋り倒すのはどうかと、個人的に思うぞ?」



怒涛の攻撃に息も絶え絶えの信繁の手を 瑠架は何ーーーーとガシッと、当たり前の如くに両手でミシッと握りしめた。


当然周囲はこの蛮行(?)、一息にザワザワザワッ〜〜〜と響めく



「彼女でもないくせに何あの女!」

ーーー既に隠そうともしない呪いの呪文がブンブンワンワン溢れかえるのだ。



「兎に角 私の駒はアンタしかいないのよねーーー?

ね、いいこと?

ーーーー断ったら2度と 不夜城 ーーーー

信繁班に協力しないわよ?


ねぇーぇ知ってるわよ?

コンピュータールームの藤班にはメタクソどろっどろに甘いのにーーー?


ぶっ壊れ寸前の毎度の悲惨な実験機の整備調整も兼ねてる、有給ぶん投げ尽くしまくりの働き者の命を預かるウチにはその塩対応。


ネェーーーェ、そんな理不尽あってイイと思ってんの?!


今後一切、整備担当オールキャンセル、それでもいいわけ?

アンタ達、次任務で死ぬわよ? さぁ、どうするーーーーー?? 


こんな簡単な事すら即断即決出来ないなら、貴方の代でご実家企業もおしまいよね、信繁?


あー有能なおばさま方かわいそー、甥っ子が優柔不断で無能でさーーー」



「・・・・・・わかったよ」


「え〜〜〜〜? 本当〜〜〜〜? やっぱり信繁は優しいわッッ!」



愛する班員達を丸っと人質にされ……悪どい恐喝に屈服、ガクーーーーッと信繁は項垂れる。



「うっふっふ、理解と賛同を得られて私も嬉しいわ? 信繁」


「……そりゃいい」



ボソボソ、すっかり冷えてしまった残りのお茶をズーーと弱気に啜る信繁を前に瑠架はおーっほっほ♡と勝利の輝く微笑み、悠々とガッツポーズ♪



「信繁さん 気の毒にーーーーーーー!」


「おいたわしい!」


「でも瑠架さん すっげーーーーーーっっっつ!!」



城 最強の1人と恐れられ若手ナンバーワンと評される男性でも、哀れ目の前、ザックザク切り刻まれ



ーーーー完敗


あんなに優秀な彼ですらーーー 口で女性に勝てないのに?


ましてや弱小男の自分らが 凶悪な口達者な「ああ言えばこういう」


〜おまけにかわゆさも情け容赦なく武器に装備、縦横無尽に翻弄してくる恋人に敵う訳がない。


愛する我が儘な彼女達のクッション状態、付き合い以来ノシッと全身でプレスされ続けている心優しき麗しき男性職員達全員がこう思うのだ。



「ご愁傷様ーーー!」

 

「ぉーーーー 後で必ず骨は拾ってやるからな! 逝ってよし!」



……大変に決まってる仕事を 急にとっ捕まり挙句にゴッソリ押し付けられた不運で可哀想な盟友に対し、心からの哀悼の意を唱えるのであった。



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