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秘め事と真意 ③


「~ではーーーーまぁ ”そういう事” にしておこう。

 

しかし信繁君、私の『君への評価』は今でも変わらないよ?


様々な能力が突出して極めて高く同時にーーーー

滅多に居ない信頼出来る『男気』のある人物と見込んでの


ーーーー ”私からの頼み” を是非聞いて欲しいのだ。


私の姪をジャパンにいる間、君の指揮で……

 

どんな事をしても絶対に生命を守ってやってくれ。


姪のーーーー『アグライアの命』を……どうか頼む。


くれぐれも宜しく頼む」



「わかりました」


信繁は穏やかにやはり礼儀正しく 美しい連邦英語の発音で答える。


あくまでも無意識……全身から煌めいた気が、執務室内に立ち上る。



最新式の鮮明なホログラム映像故、先方にも、それの光り輝くような雰囲気の模様が幾ばくかはきっと伝わったのだろう。


ロームルスはすぐさま察した様に目を細め、嬉しげに心から満足そうに微笑む。



「ではーーー 人道的特例措置として……仕方有りません。


此方でのアグライア様の、滞在及び面会を許可致します。



城 最高幹部連の『五人会議』メンバーにも、その旨に私から話を通します。


揉めましたらメンバー最年少の者が ”いつもの如く”


極めて上手く交渉を、きっと、よしなに取り持ってくれるでしょう」



「そうだなーーーー……


”あの人物”なら〜……『さもありなん』だ


本当に 君は ”上から下迄” 

組織を支える人材に驚く程に分厚く恵まれて、全く傍目にも羨ましい限りだよ」



「お褒めにあずかり恐縮です」



子龍が言うところの何所に出しても恥ずかしくない”折り紙付き変人所長” 城主


誰もがついウッカリ、ウットリと心を蕩かす、自身最強の微笑みを綺麗にここぞと浮かべるのだから情け容赦が無い。


綺麗は汚い 汚いは綺麗ーーーー


それを有用……実践的に地で行く彼女である。



「ではどうか、姪を宜しく頼む……

勿論謝礼と掛かる全ての経費は惜しまないよ?

 

追加も”可” 『おかわり』も有りだ」


 

提示された契約金は楽々ジャパンが1年間、国民が全て非課税で悠々自由に余裕で生活出来る程の額である。



「了解致しました、閣下」

 

ロームルスは城主が用意して転送した書式の電脳契約書に、更に彼のみが使用出来る特殊インクを使ったペーパー印刷に ”直接直筆” 本契約〜


……スラリとサインを行う。



この時代電脳の契約は国家間では危なくて使われない。


ワープ航法を使用した特殊な手順で安全に遙々、ペーパー印刷、この世に世界でただ1枚の契約書は静々と運ばれる決まりであり、瞬時に莫大な契約金の入金振り込みも行われる。

 



長いロームルスとの会見は それで終わった。


「オヤジ殺し……!」


城主はホログラム映像での、ロームルスとの会見終了後、信繁を横目でチラリと見、ぶすっと頬を膨らませて文句を言う。



信繁は長い胸いっぱいの溜息をつき 小さく肩をすくめる。



「俺の事また随分『盛って』ーーー……


報告書をーーーー貴女は、トールのロームルス閣下に提出しましたね?? 」



すると城主は明るく笑いながらこう答えるのだ。



「あらぁ〜! 私は1つも嘘を書いていないわっつ!!


〜何時も思うけれど、貴方 自分をいい加減 過小評価しすぎよ?

今回に限り 閣下の信繁に対する人物評価は正解〜


ただーーー……だけどね? 気になったのは。


私が前回チップ、記録媒体 ”電子通信書類”〜


明らかに記載していない事まで、数多く隅々までご存知な事よ?


フレイヤ妃殿下はーーーお妃様はーーーー……繊細で真面目で口の堅い方。


信繁との 2人だけの秘密 を〜おいそれと

ーーーー他人に軽々しく口外する方ではありません。


そこはあの方の名誉にかけて、これだけは信じて良いわ?」


「……では?」



「ーーーーーー閣下はあんなに具体的に、何処で知り得たのかしら?」

 


「”厳しい尋問”ーーーフレイヤ妃殿下は 拷問などをされたのでしょうか?」



信繁は心配の余り、ついオロオロ聞かずにいられなかった。

 


『ふぅん?』

 

「何か?」

「べつ〜に?」


「?」



『成る程ね……』



信繁は 自ら1言も口に出さないが、再び2度と会えなくなった現在でも、深く誠実にフレイヤ様の事を気にかけている。



……心の底から真心を捧げ 今もって愛しているのだ。



彼女には……ーーーーそれがわかるのだ。


 


何故ならーーー仕掛けたのは彼女だからだった。



自分が「城」存続にかかわる『重大な有る理由』に於いて『仕向けた』


彼の心をそう向く様に、巧妙に取りはからったのである。



信繁も誰も全く預かり知らない事だがーーーーー



『あぁーーーでも、あの子だけは違うかったわよね?』



異常に勘の良い、しかも情報通の子龍だけは騙す事が不可能だった。

 

その”口ぶり”からおそらく『真意』に気がついている。




信繁とフレイヤ妃殿下ーーーーーー

 


私の力でーーーー何とか。


この切ない恋を 成就出来ないものだろうか?


 

何故ならば、自分には重大な、時を超えた責任が……ーーーーあった。



 


城主は、ギュッと青ざめた信繁を安心させる様に、意図的に彼が好むゆったりと柔らかな微笑みを浮かべる。


それを見た信繁の表情が少し穏やかになるのにホッとする。


「それは一切無いと 情報が上がってきています。

フレイヤ妃殿下は 心身共に安全で大丈夫よ?


ロームルス閣下はーーー……あの時の約束を、チャンと守ってくれています」


「そうーーーですか」



城主は信繁の、目に見えてホッと安堵した表情を見て微笑ましく思う。


それと同時にチクリと胸の奥が 微かに傷んだ。



何故ならば信繁は”彼女”にとってーーーー……



待って…… 待って  

永き時を待ち続けたーーーーーーー……






『何をそんな ”馬鹿な”ーーーッ、よねぇ?!』


ハッと現実に戻った城主はブンブンと思わず細い首を振る。


長い美しい髪がサラサラ、上官を見つめる訝しげな目の前で心地よく揺れた。



「?………どうされました?」


「ううん?ーーーコッチの事


 ーーーーー兎に角 フレイヤ妃殿下様は大丈夫ですからね」


「それを聞くと安心します」


信繁は城主に嘘のない優しい声で甘やかに返事をする。

 


ともかくーーーー

信繁のことを陰ながら心配していたのは、子龍、雅だけでは無かった。



「貴方の調査は、ロームルス閣下が独自に勝手に〜行ったものよ?


まぁね、伝手くらい幾らでもあるわ??

全く〜コッソリ何をたくらんでいるんだか……?!」




城主は眉をしかめ小さく呟くのだ。

 

 

その後、会見から程なくして惑星トール 軍事参謀長官の依頼は、特例中の特例・極秘事項として、ジャパン内閣府からも正式に許可される。



そんなこんなで、ロームルスの姪 アグライアが……!


ジャパンに、肩書き上では遙々、かの国からの特使という体裁、形式にて、遠き星系より来訪することが決定する。




〜天の歯車は回るのは遅いが いつか必ず回ってくる〜



運命の歯車はゆっくり、ゆっくりと軋みながら廻るーーーー



何もかもがゆったりと……容赦なく全てを巻き込み進み始める。


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