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秘め事と真意 ②

「……ーーー残された遺児達~忘れ形見の美しい彼女ら。


そう言った理由、血縁関係と言う意味では遺伝的に全くの繋がりが無いがね。


大統領の御息女達は私の大切な宝物、私の命ーーー掛け替えのない姪なのだよ。


君の言う惑星トールに『亡命した娘』は、大人しい性質の次女ーーー


歌唱が誰よりも好きで、素晴らしい天性の才能を持つ、アグライアの方だ。


元々はその才能を伸ばすべく、ご存じの通りの留学中だったんだよ。


その学びの期間中、母国にクーデターが勃発したのだ。


そちらーーー『城』に収監中の姪は、生来活発な性格気質の姪の方〜


ーーーー双子の姉の方である、タレイアだ。



私の敬愛する、愛する姉上がおそらく命懸けでーーーー


”自らの命と引き替え” に、残したような娘だ。

イイヤ実際に ”取引を行った” のだろう。

 

最後まで言わなくてもーーー意図する意味などわかるね?


それが『どう言う意味』なのか〜女性である君には残酷さが。


仰る通りーーーー……私にとって掛け替えのない 2粒の宝石だ」



「ええロームルス閣下」


「この度、次女である『姪 アグライア』がーー……


城にいる姉君に、例え開放は望めなくとも、どうしても1目会いたいと私に願ったのだ。


そう言った極めて ”特殊事情” が絡む故ーーーー

何とか、生き別れの姉妹の再会、身内の顔合わせを 特別にお願いしたくてね。


我が敬愛する大王陛下にもご無理を言い、申し出を行い、こうして超法規的処置で君に連絡を取ったという訳だよ」



「狼とーーー ”悪魔が如く” 恐れられている貴方も!

案外、姪御さんにはデレデレに甘い普通の叔父上だったんですねぇ……!」


城主はサラーーーーーッと強烈な嫌みをかっ飛ばす。


『おいおいおいおいおいっ〜〜〜っっっつ!!』



側で聞いていた信繁は 思わずその場に卒倒しそうに驚く。



彼を本気で怒らせたらーーーーー……どうするのだ!!



暗い噂に聞き及ぶ、極秘プロジェクトにおける ”新兵器”ーー


惑星破壊ミサイルを使われ、地球ごとドッカーンーーーーーー……!!



中心核コアから、いとも簡単バッラバラ粉々。

分子レベルで吹っ飛ばされたら、どうすると言うのだ?!




流石に状況を見て、信繁は慌てて仲裁に入る。


「若輩の浅学の私めの意見ですが。

ロームルス閣下が、惑星ラオコーンに手を回し現政権の大統領と交渉ーーーー


……合法的かつ御身柄も安全、恩赦として、大切な姪御さんの身柄を手順通りに救出されれば宜しいのでは?

 

貴方様の確かなお力を持ってすれば、実は容易い事では無いのでしょうか?」



「ああホントそうよねーーーーー……?どうしてそうされないのかしら??


何か……事情、そう出来ない理由がおありなのですか??


是非ーーーーー私にその理由をお聞かせ下さいな?


”惑星トール軍、最高軍事参謀長官ーーー偉大なロームルス閣下” 」



言いつつ城主はスックと立ち上がる。


長く美しい黒髪がしなやかな体に合わせてサラサラ揺れ、優雅に腕組みをするとホログラム映像に艶然と笑いかける。


暗い黒真珠のような瞳が怪しく


ーーーー室内の照明に反射しヌラリと淫靡に輝く。

 


全身からほとばしる凄まじいスパークするオーラーーー……魔女と狼との激突。



信繁はゴクリと思わず喉が鳴り、彼女らから片時も目が離せなかった。




「大体が、現在~”軍事政権国家”とは名ばかりの、軍規もあやふやな、ならず者集団〜といいますか?


本来〜……

”クーデター前”ですら!!! 強国、惑星トールとは桁違い〜の弱小国。


辺境の田舎惑星~”国の歴史” すらーーーあって無きが如し。

一体何代前まで遡れるんだか〜のねぇ? 小国家なのでしょ?トールにとって。


政情が安定せず、不安定極まりないーーーー銀河連邦の新参。

片田舎、極小惑星都市国家でしょ?」



城主は若干のチョットした嫌み

『やや皮肉混じり』に軽〜〜く戯けて言ったつもりの平常運転なのだろう。


が 常識人の信繁は『そこまでバッサリ言うもんかぁーーーっっつ!!』


背中に冷たい物がダーーっと流れ……言い過ぎにも程があると眩暈がした。



『全くこの人は〜〜〜〜っっ!!』


ゾゾゾゾゾッーーーー心の中で突っ込んだのだが、どうやら相手の精神構造も普通じゃない模様、しかも暴言に対し相当の太っ腹だったらしい。

 


「ーーー君も私と同類で 口がたいそう上手だな……

悪口内容が面白いし、なかなかにセンスが光るな」


「それはロームルス閣下、お褒めに預かり光栄です」


「ぁあーーーそれは、そうだね?

そのプランだが、出来るものならそうしている」


「フゥン、ではなぜ出来ないと?」


「政治的・軍事的に強大な権力を握れば握る程、私情に走ることは禁忌と成る。


ーーー周囲に及ぼす影響力があまりに大きすぎるのだ。


よって組織……国家の壊滅に繋がる結果になりかねないからね。


ーーーー私にとっても、祖国の大王と国民の幸せ、王国の利益が最優先事項だ。


特に今現在、惑星フレイ攻略の件でトールは銀河連邦加盟における有力な惑星諸国で 評判が極めて悪い。



……そんな中、私が力にモノを言わせて、私情にかまけて動けばどうなるか?? 


私は、惑星トールを守護する軍事参謀長官として、国内外に弱みを見せることは出来ない」



「まーーーーぁ そうとも言うわね……」


城主はツケツケと……!

アドバンテージがあるせいなのか全く普段通り〜全然いつもと変わらない傍若無人な態度である。



「仰ることは、卑小な身の私にも良くわかります」


信繁は慎重にユックリと言葉を選びながら、丁寧かつ丁重に ”狼”


地球〜ローマ大帝国礎を造った建国の聖王の名を冠する男

 

”伝説” では兄弟殺しの男 …… ”ロームルス” に答えた。




狼……ロームルスが、惑星フレイーーー


信繁が今も密かに愛する 惑星フレイ王家、第5王女フレイヤ王女に行った、残忍な ”所行”

 

彼女の公開処刑を求めた等々はともかくも、母国を誇らしげに想う1人の戦士としての立場は充分理解出来る。


信繁も納得の元、それを感じる。



「フレイヤ妃殿下から 信繁君ーーー君の楽しい武勇伝はよく聞いているよ?


ここを出てすぐに起きた暗殺未遂襲撃事件ーーー

妻を心より愛していらっしゃる王子殿下も、今時珍しい、騎士道精神的英雄譚、これには目をキラキラ輝かせて感動なされ、強く興味を持たれていた程だ。


末の王子様はーーー……信繁君の事を大層かっていらっしゃる。


出来る事ならばーー……自分付きの親衛隊武官に召し上げたいと、私に嬉しげにぽぅっと頬を染め仰る程にだ。


我が敬愛するリーズ大王様ーーーー陛下ですら!


最愛の息子であるラファエル殿下を通してーーー

ジャパン国際宇宙空港におけるドラマティックな絶体絶命、2度にわたる暗殺を鮮やかに振り切った君の手際の良さに驚かれたのだ。


信繁君が指揮する優秀な戦闘員達が行った鮮やかな救出劇に、いたく興味を覚えられていた。


『それは凄いだろう、いくらなんでも』

命懸けの崇高で勇敢な行為に、大変に心を動かされていらっしゃる様相だ」


「有り難うございます」


内心は真意が読めず冷や汗ダラダラ物だったが、信繁は表情を変えず慇懃に真面目な顔で丁寧な礼を述べた。




「ぅむ全く!

優秀な君みたいな素晴らしき部下を持つ、しかも勇敢に輝く龍に乗るという所長殿が羨ましいよ」


「フゥン、生物兵器の事をご存知でしたか?」


「ああ当然。

あの月が眩い夜、白く虹色に輝くダイヤモンドの龍に乗って襲いくる敵を堂々排除したのだろう?


君のことならば、どんな事も知りたいと思うからな、トールのまともな男ならば当然の事だよそんなのは。


それからジャパンーーー霊峰富士、山頂への安産祈願での登頂の行為……


彼女は語っていなかったが、仔細を聞く限り、おそらく所長である君も参加のどうやら相当大掛かりなプロジェクトだったんだろ?


老いさらばえた私ですら年甲斐も無くワクワクと心が踊り、安らかな光と平安で満たされたよ。


私も昔は、信繁君ぐらいの年頃に、トールの名だたる大いなる連峰へアタック〜

勇敢な義父と共に、恐れず雪山に、時にビバークをし苦難を乗り越えたのだよ。


高山病や滑落の恐怖と戦い挑んだ事を、懐かしく思い出してね、是非それらについて深く同好の士として語り合いたいと願う程なんだ」



ーーー信繁の表情がピクッと動く。



微かな気配を察したのかロームルスは碧い目を綻ばせてカラカラと豪快に笑う。


『イメージが違うな』


残酷な、恐ろしい黒い死の噂が何処にいても常に闇がまとわりつく策謀家の男であるのだが、実際の現実の人物像はどちらかといえば、柔軟な人タラシーーー


極めて魅力的に信繁の目には映った。



蒼い碧い宝石に似た特徴的な瞳、日々のたゆまぬ鍛錬によりビシッと引き締まりガッシリと肩幅も広く堅く、背の高いーーーピンと真っ直ぐ伸びた背筋。

 

理知的に魅惑的に、男として輝く年齢を超えたキリリとした顔立ち。


ーーー色々な意味での ”ギャップ”


これならば確かにリーダーとして崇拝する男達は相当に多い筈であろう。

危険な魅力に流石にクラッと来ないでもない。



「君は実に楽しい男だな!

誰かにーーー深い憎しみを持たれる事など絶対に無いだろう?」



「残念ながらそれは閣下の買いかぶりです。

私を憎む人間など幾らでもいますから」



信繁は静かに正直に認識を告げる。



「それは君に対する嫉妬と羨望だろう?」


「違います、理由なき悪意は存在致しますので」



ロームルスは信繁の自己評価を聞くと、再び狼の様相で声も無く笑った。

 

しかし其れは、存外に意外な程 実に楽しげな笑みである。




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