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番外編3 フレイヤ姫に捧げる富士登攀計画 (39)


「トイレ休憩や参拝は行いましたか?」

「当たり前よ信繁、万全に終わらせてここに来るのは常識でしょ?」

「ですね」


フンっと胸を張る城主の答えに信繁はウンウンと頷く。


信繁らは登って来た城主や隊長、藤班及び信繁班と合流、全員苦労したものの山頂への登攀に成功した事を喜びあうのだった。


健闘を讃え、全員で最高峰だと知らしめる石碑の前で賑々しく記念撮影を行う。


それが済むと、主流以外の細かい部分をフォローする位置へのカメラの本格的設置や、政府に飛行特別許可を取った特殊大型ドローンの短時間の飛行、遠景撮影を済ませる。


ドローンは起動音が大きい事と燃料そのものを多く積む事が不可能だから的確に撮影を行う。


操縦者は信繁班だったら雅なのだが、今回は参加していないから操縦は別の班員が行う。


「どうだ?」

「まぁ気温バカスカ低いし空気薄いっすからねー、コレくらいにしないともしも電力関係に異常が出て火口に落下したら大変、やめときますわー」



そんなこんなで、さてーーー後は、いよいよご来光の撮影を残すのみ!!



「城主は飲まれますか?コーンスープ」

「!!あるの?」

「ええ」


マメな信繁は、今度は使い捨てのカップに素を入れ、「他に欲しい方〜」と聞きながらも全員分テキパキと、内容量やや少量ではあったが、きちんと用意するのだ。


〜ちなみに子龍とヨンの分も再びである。


大袋のスープ顆粒も山専ボトル湯もこれで予備分以外ほぼハケて、荷も軽くなるから信繁的にも大いにアリだった。


「班長ーーマジっすか?!」

「愛してまーす!」

「私達までーーー本当に良いのですか?!」


この美味しい気配りに信繁班全員がヒャッホーと狂喜、藤班男女とも涙を出さんばかりに大感激。


ほっかほかの湯での、しかし冷えた外気温であっという間にちょうど飲み頃温度となったコーンポタージュスープ。


しかも作ってくれた、スープをサーブしてくれるのは信繁本人、それも大きな素手の手渡しで直にである。

(スープ受け取り側はグローブ着用、皆大変に残念である。)


キラキラの銀のビーズ、或いは細かいダイヤモンドの粒を天一杯に惜しみなく振り撒いたような星空の元、温かなトロットロスープを楽しむという、ここでしかかなわない極上体験。


「今夜は本当に特別に美しいわねぇ、信繁」


「城主、雲海もこれならば魅惑の輝きを映像に添えますよ」


「まぁ〜城主って言う最強の女神様がついてるからなぁ、オレ達には」


最新式ベージュの防寒具でウサギちゃんみたいフックフクモコモコの城主に並んで立つ隊長の感慨深げな頷きに、皆ウンウンと笑みをこぼしながら頷くのだった。


女神=城主の組み合わせは納得するしかなくて。


彼女は時に職員を悩ます、ええええ〜な奇想天外な事を突然言い出したりしたりするものの、なんだかんだで職員全員から慕われているのだ。


そろそろ剣が峰がザワザワ一般客の人並みで混雑して来たので、セッティング光学機器の見張りの信繁と子龍、及びヨン以外はご来光をより見やすい方角に移動、各々フリータイムとすることに決まる。


「ご来光の撮影が一通り終わりましたら此処は我々で全て撤収しますんで、一度集合しましょう」


「そりゃまぁ、点呼とか荷分けしなければだな、では時間と場所はどうしようか?」


藤が重々しく言い切ると、ふふッと信繁は笑う。


「折角ですので山頂で何か温かいものを食べませんか?

全部俺の奢りで、好きなものを食べて下さい。

麺類やカレーは絶品ですよ、こう言う場所の飲食は本当に特別なんです。


売店も開きますので、ぜひ想い出の品を買い求めて下さい」


「!!!!! いいのか?、そんなの?」


「揃って滅多にない事ですので。

藤班の代わりに入ってくれた方々にも後で食堂のフリーチケットを渡しておきますから大丈夫ですよ。


うちの班はいつもナンダカンダとコンピューター室の皆に助けられてますし、五月蝿いですよねぇ。

ですのでーーーせめてものって事です。


今後ともどうぞ、良い年してガキみたいな喧しいうちの班員の事をよろしくお願い致します」


「ーーーそんなの全然良いのにな、では有り難く頂戴するよ」


藤は信繁と硬い握手をガッチリ行い「こちらこそ宜しく」藤は言い添えるのだ。


日の出前、ドンドンと各各ルートより大量の登山客が嬉しそうに上がってくるのが見える。


見る見るうちに大混雑、次第に山頂もほんのりと明るくなり、見る間にあれほど輝いていた星空も薄く消え始めるのだ。



「そろそろかーーーーー」


「ふぅ、やれやれやっとだなぁ。

今日は適度に雲海も広がって、そこらじゅうが綺麗でいいなー

正に夢のようだな、信繁?」


「ああ全くだ」



チカーーーーーーー


雲間と地平線が鋭い光を輝かせ、みるみる色合いを変える。


地球の大自然が行う奇跡の時間、マジカルタイムが到来するのだ。


素晴らしき美が この世の奇跡が目の前いっぱいに広がり始める。



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