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悲劇の発端


国王の慢性的な 長年にわたる飲酒による中毒症状ーーー!


思うにまかせない肉体反応の衰えと震えの為、引き金から愚鈍な指が離れなかったのだ。




野獣の如く血まみれで叫びながら飛び起きた伯父は形相を変え、弟の固く握りしめていた指を1本1本父王の手首から引きはがし一気に銃を取り上げた。



銃をテーブルに置くと、年若い震える華奢な体の弟を逞しい腕で抱え上げた。


 

ーーーー目を見開くクリストファーの父親



1番近い、閉まっていた窓を全開にすると


「お前は何も言うな!!

ーーーここにお前は居なかったんだ!


何もせず、何も聞かず 一切何も見なかった

いいな?!


お前はここには居なかった!」




抱きかかえながらそう言い放つと


ーーーーそのまま窓枠から。


庭の深い植え込み目がけて、力任せにドンンッっと渾身の力で弟を突き落とす。



父王に撃たれた腹部をかばいよろよろと窓を閉める。


 

「……達者で暮らせよ」



最後の残された余力を振り絞り、全ての窓とーーー

 

庭に面したガラス扉

 

遊戯室の扉の鍵を内側からガシャガシャかけた




「お前は生きろよーーーー命ある限りに!」




衛兵の靴音が部屋の外に響き渡る中、室内の飾り柱にグッタリもたれかかり、床材に向かって 

 

僅かに、未だバッテリーに残存するエネルギー全容量分が空になるまで、敢えて角度を変えて乱射した。




彼が 壁面や天井を打たなかったのはーーー


万が一にも、その外側や上部に人間がいるかも知れないからだった。


特に、可愛がっていた弟ーーーが、居ないかと。




伯父はーーーー

 

内側から閉鎖した遊戯室に、最高温度に設定されたバーナーで扉を溶解した衛兵がバラバラと強行突入後に「武装解除」


その日の深夜の内に「裁判」にかけられた。





判決は、死刑


正当防衛は認められなかった




その後の結果は見なくともわかっている。




少年だったクリストファーの父親の決死の嘆願


しかし下った判決は覆らなかった

 

裁判後、「恩赦」による「追放刑」





伯父は「父王殺し」の全ての咎の責任をかぶり


誰しもが、その『通り名』を聞いた瞬間顔を強ばらせ色を無くすーーーーー


銀河宇宙ーーーー究極の監獄!



「城」に収監されたのだった      




クリストファーは頭が真っ白になった。

 

世界がぐらりと反転した





ーーーー今まで純粋に信じていたものは、一体何だったのか??


自分は隠蔽された国王殺しーーーーー


殺人者の息子だったのだ。


クリストファーは装置から無事に回収された。


ーーーーーーーだが、まるで無反応だった。





城主は城常勤のドクターや研究員らの大反対を押し切って、口腔内に映像用チップ内蔵の銀色の「箱」をクリストファーに取り付けさせた。




城からの出発は夕方。



「いくら何でもそれはちょっと・・・・・・」

 

「…せめてーーーーもう少し体調が回復した後にしては? 


今のままでは余りにもお可哀想だとーーーー」



「何考えてんだ 魔女は!」





ーーー…様々な意見を誇りある専門職の人間としてまとめたドクターは切々と、城主に医師としての意見を強く訴えた。

 


当然聞き入れられると疑わなかった。



ところが


「ーーーーだから何?

彼の背負った現実が変わるっていうのかしら?」

 


フンッ〜!!、なんと即答


ーーーーーーーにべもなく却下されたのだ



出発それまでの時間、最初に休んだ病室の部屋で待機、決定は覆らなかった。


クリストファーの呆然とする体。

底部に埋め込まれた最新式超小型水素エンジンで無重力状態にし床からフンワリ浮く医療機器、通称”無重力チェア”に乗せられた。

 

自分では自力歩行が困難だったからだ。



「ーーー……」


クリストファーの側につく誰も口を利かない


ただ無言


信繁も恐い顔をしたままだ。


そのままの重苦しい小集団が特別病棟、特殊医療棟・滞在中の病室に到着すると


「ぃよぅ信繁」

奇妙に嬉しげに笑う子龍が待っていた


「見つけたのか?」


「オゥ 格好いいだろ俺っち」


「お前なら何とか出来ると思ったよ」

 

「へぇ〜ーーー珍しいな」

 

「何が?」


「まぁいいけどさ」


子龍は得意そうに鼻を擦る

 

見るからに誇らしげに信繁に微笑みかけた


子龍は滅多に自分を褒めない信繁が、それもあろうことか、大勢の人前で”認めた”事が唯々嬉しかったのである。


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