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番外編3 フレイヤ姫に捧げる富士登攀計画 (28)


さていよいよーーーー

山神社前を通過。


階段を上り参拝はしなかったが、皆で一応、立ち止まり柏手は打った。


すると、そのあたりからか? 

土地の様子ーーー空気が明らかに変わった気が……!!


しかも藤が全く予想外だった、緑の魔境ーーーワイルドな景色が目の前に広がった。



『何だこれは……!……」


吉田口のように、半ば登山道と観光客向けの緑地公園というような甘やかな楽しげな洒落た雰囲気はそこにはまるで無かった。


と言うよりも本当にーーー……

”山”ーーーー!!


本格的な里の山の世界が、どっしりと待ち構えていたのだ。


左右ガッチリ深い〜幽玄な奥深き重層な植林で固められた、何所を向いてもうっそうとした森……


背の高い木、木、木、木、木、木ーーーー

前方左右後方〜 ”木しか無い”  


そんな圧倒的な気配を放つ山裾の中に、舗装された林道が続くと言うか入ってゆくのだ。


深夜こんな所をたった1人で歩いたら さぞや恐ろしいだろう〜〜!!


藤をビビらす、そんな光景が延々と連なって、うんと向こうまで、何所までも果てしなく広がっていた。


「この辺、熊が出るらしいから賑やかに行きましょう」


「!!」


熊ーーー本当にシャレじゃなく本物の猛獣まで出るのか?


少なくとも自分が守備範囲である、吉田の方では聞いたことがない!!


とーーー、信繁の言葉に嘘が無いと言わんばかりに、まるでそれを裏付けるかに 「熊に注意」の立て看板まで、しっかり道端に有るでは無いか!!


藤はゾッと、思わずーーーゾクゾクゾクッと、背筋が凍り付く様に悪寒がし急激に寒くなった。


「きゃ〜〜〜〜〜!」

その時 突然の甲高い悲鳴、それらは藤の部下からである。


『そりゃそうだろ?』……彼は心の中で小さく呟く



ところがーーー

この「きゃ〜!」は藤の感想とは実は全く真逆だったのだ。



「何コレカワイイッッ!!」


「きゃッッこの熊さんお目々ぱっちりで、ちょ可愛くない〜〜〜?!」


「熊のイラスト何だかユーモラス!」


「ほんとーーーっっ! ねっっ信繁さんこの看板映像撮ってもいいですかぁ?」


「私もとりたい〜〜〜〜!」



!!……何て事だ!


『……〜〜〜オイオイオイ』


藤のあわてる不安を余所に、彼の部下達はキャッキャキャッキャとワーワーキャーキャー大喜び。


慎重な彼の〜山に住む危険な野生の猛獣に対する心配なんぞ何処吹く風!!


わーーーいいものみーつけたっ!!とばかりに、ドドドドドッと意識が向いたのである。




「ええ、みんな此処で1度は必ず看板の写真を撮るんですよ」

「ホント?!信繁さんっっっ!」


「はい、ですんでーーー『ここ』はこのルートの隠れた『名物』なんです。

コイツを『記念』に〜”通行手形ゲット”


〜関所通過〜みたく結構自慢げに『本当に行った記念』

ビラッと電脳サイトにアップする人が自分が知る限りザクザク大勢居ますよ?」


「なら私も!!」

「撮らなきゃだわっっ!」



ワァワァワァワァ結局そのまま全員で、かしましい〜 ”記念看板・祝通行!!”

一気に、大記念撮影大会に賑々しく突入したのである。


この想像を絶する状況に藤は密やかにーーー人知れず溜息をつくーーー


『こんなに賑やかじゃ熊もビックリって所だよなーー』


その後、延々とうっそうとした森林地帯が暫く続くのだが、テンション上げ上げの彼女らにとって物珍しきリアル冒険脱出ゲームーーー


もしくはRPGの良く出来た架空の世界を旅する旅人気分でしか無いようだった。


ーーーそりゃ確かに、世界観の雰囲気は絶妙に演出されているとは思うのだが。


しかもどこもかしこも紛れも無き本物。



藤と〜そして彼の部下のような人種〜

ソモソモ仮想現実世界が性分的に大嫌いだったら、複雑で根気の要るPCルーム勤めなんか最初っからしないのである。


「元々ーーー大好物!」

ーーーつまりはそんな彼等の今目の前に。


子どもの頃よりずーーっとずーーーっとずーーーっと憧れて来た世界感がババーーーっと目の前に、今まさに朗々とドッシリ広がっているのだ。


でもって、実に丁度良く「信繁班」ーーーという運の良さ!


どっち向いても ”究極の実力者揃い”!

〜これがまた何とまぁおあつらえ向きに〜

ルックスだって超〜ハンサムで腕っ節が良い本物の「勇者」の集団まで取り揃えられているのだ。


その上、「RPG」に必須の役割、お仕事キャラクター 

……予言者や或いは賢者の如く!……


〜ストーリーをウキウキ楽しみながら、万全に優位に進める為に絶対的必須の、必要不可欠な”人材”


〜豊富な知識だって彼等のように溢れるほど、信繁達はじゃーん♪ 備えているのである。


だから安全は、エンドロールまで確約されてるも同然ーーーー!!


オマケに、自分達は体力だって一応は日々ジムで鍛えているから有る!!


事実これで盛り上がらなかったらソッチの方が〜余程おかしいとも言えるのだ。



リアルRPGはどんどん先にーーーー無問題でサクサク進む。


時折水の道? 微かなせせらぎ音と共に耳に心地よい野鳥の声も美しく麗しく繊細に聞こえるようになって来るから、いよいよ気分は絶好調である。


その後、信繁の説明から自分でも何となく予想した以上の規模の某学園敷地の端を通り過ぎると付近近隣。


ジャパンが最後に経験した大きな戦争があった際に ”石油掘削があったとか?”


ーーーという曰く付きの場所にたどり着く。


さぁいよいよワクワクが止まらない。


周囲はどんどんと濃密な山の気配に塗れてゆくのだから。


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