番外編3 フレイヤ姫に捧げる富士登攀計画 (13)
「きゃーーーーー格好いい 子龍ーーーさーん!」
私物の超極小カメラで嬉しそうな声、ウッキウキのご機嫌で全てを面白おかしく撮影していたのはアナスタシアだ
カメラはブレスレッド式端末にセットされているのだ。
取り扱いも楽で良い。
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「イイ感じよね!」
階段の少し高い位置からなので絶好調に丁度良く広範囲が撮れる。
サクサク砂を蹴立てて駆け下りて、今度は角度を変えズームアップ
ウンッッ〜これなら爽やかな表情もバッチリ!
サーーーッと流して ”目的の人物達” を映像〜フレーム内に収めた。
キラッキラの笑顔がい〜んじゃない?
撮影場所、ロケーションもロマンティックで最高だ
『日時や作戦目的は秘密なんだけれどね』アナスタシアは心の中で呟く。
そう、”彼女の目当て” は なにも子龍や信繁だけでは無い。
普段はバイプレイヤー、本当の被写体は信繁班 ”愉快な仲間達”の方である。
フレイヤ王女との警備上の関係性で、アナスタシアは最近新たに友達が増えた。
共通の「王女付きスタッフ」と言う事で、信頼出来る仲間になった医療スタッフ陣の伝手でグンッと、普段全く接点の無い一般職の女性達とも深く親しく豊に交友関係が広がっていた。
それで驚いたことがある 「そうなの?!」ーーーと。
何と言っても精鋭信繁班、日々の誠実な仕事ぶりを見ているヒトは見ている訳で
信繁・子龍・雅以外の超有名班員以外も、実は結構なファン〜隠れファンが量的にいたのだ。
だからアナスタシアはビックリ!!
「え?素敵な方よ?」
「そうなの?」
「うん」
「え〜〜〜〜〜??」
「ナスチャーーーあのさぁ信繁様が基準過ぎるのよ!」
「そうよ!」
「そうそう」
「あんなすっばらしい人だなんて他に居ないし」
「理想が高過ぎ!」
「贅沢」
「目の前の本当に素晴らしい大事なものを見落とすタイプよね」
怒られたり薄笑いされたりして、散々に文句を言われてしまった。
ーーーーー確かに! ーーーーそうなのかも
むしろ王道では無いだけに、彼女らの恋心は熱い。
なのに王道で無い故に、滅多に情報は上がってこない。
常に裏方として陰に隠れた存在「縁の下の力持ち」
そんな目立たぬ立場の、日々の真面目で誠実な仕事ぶりの彼等を良く知ってるからこそ……
寄せる共感も本気のリスペクトもひとしおだった。
「ねーナスチャ 〜あの御方の映像は無いの?」
「そりゃ信繁様や子龍様、雅君は人気有るのわかるけど……」
「でも彼だって素敵なの」
「そうっっっ!」
「ステキステキ、目があったらドキドキしちゃう」
「たまのフッと笑った顔! 見れたら死んでもい〜もん」
「わかるーーーーーーーッッッッ!」
「ぁーん1日1回でもチラッっと会えたら〜モット私お仕事頑張れるのにぃ!」
「それ無理」
「週一でも大感謝よね、奇跡だし」
そうだ、こんな熱い心を寄せているのに報われずーーーー
出会ったり遭遇の機会はある筈無い。
控えめに表だって出てこない
彼女らの言う通りの奇跡だ。
「へーーーー……?」
そんなモジモジしてる健気な恨み言を聞き、”ちょっとしたお宝映像”
出来たら、撮影してきてあげるとついつい約束してしまった。
〜お喋り出来なくとも女子としては姿くらいは見たいわよね!
「「「「「いいの!!」」」」」
彼女らの瞳はキラッキラの星ーーーーー
とんでもなくかんわいい〜〜〜
「ヨシ私に任せて」
「「「「「キャーーーッッッッッ」」」」」
これで一肌脱がねば女が廃るでしょ?!とアナスタシアは思うのだ。
しかし〜『何であんなおバカ連中が、そんなに格好良く見えるのか?』
ーーーーイマイチ納得がいかないのだが。
この子達〜健気で良い子ばっかりなのに?
もっといい相手が居そうなのに??
そうは思ったが……恋心はわかる。
『〜!』
急にフッと、ピカッと”万能班長”の顔がアナスタシアの脳裏に浮かぶ。
「いや違う違う違う」と大急ぎでブンブン、信繁の極上の悪戯っぽい笑みを振り払い、余計な煩悩と妄想を頭から追い出す。
さてーーー
”採取する映像は”ーーなるべく自然体が良いだろう。
言っては何だが……まるで植物とか昆虫採集のようだ。
「さてと」
アナスタシアはゴソゴソっと自身が背負っていたリュックを降ろす。
中からそれは大切そうに、小さな包みを取り出す。
フカフカなおくるみの縮尺版
丁寧にマジックテープを剥がすと、中から可愛らしいウサギのぬいぐるみ!!
「お〜ナスチャ『俺の嫁』!」
「今日もかわいいねぇ」
「ふーん ”新作”だろそれ? 洋服作って貰ったのか?」
「わかる?」
子龍の指摘にニンマリ笑う。
「うん、アパレル部のデザイナーとパタンナーさんに作って貰ったんだ!
”美術部の師匠”に メイクも少し……
ホッペも今の最新流行に似せてピンクっぽくしてもらったし
それにあわせて瞳もツヤツヤにプクンと見えるように今流行りのグリースでの艶出し、ほんの少しだけポイントに塗って貰ったんだ〜!
でも、ぬいだから、ケバいとイヤ!
……だから匙加減難しいよね〜」
「だよなぁ〜今回特にかわいいなぁーーー」
感心したように子龍も同意する。
事実、子龍が最初に見た時よりも、もっともっと瑞々しく進化していたから感想は本当のことである。
ふわんと微笑むつぶらな瞳、もはやカテ的にオモチャとは思えない程、飛び抜けて愛くるしく可愛らしい。
アナスタシアが取り出したのはご小型なぬいぐるみで、カワイイ物大大大好きの彼女の目下の心のオアシス。
但し ”行き着いた感のある”……
彼女が愛して心から愛でている、ぬいは少々普通の物ではなかった。
全てが全力で「カスタマイズ」
ふわふわなボディも、洋服も、アクセサリー等の装飾品も、全部細かく途方もない種類の部品から指定し選んで組み合わせた物。
つまり……プラモデルに近い作品なのである。




