番外編3 フレイヤ姫に捧げる富士登攀計画 ②
富士山には有名な登山のルートが4つある。
殆どが、各各「案内板」がクッキリハッキリ色分けされているから、登山者達はそれに従い登頂する事になる。
雅は電脳マップの記憶を掘り起こす。
濃い黄色ーーー吉田ルート
赤ーーー須走ルート
緑ーーー御殿場ルート
青ーーー富士宮ルート
1番人気は山開き ”開山” が最も早い、吉田ルート
吉田口ルートとも言うが、初心者向けのルートで、殆ど約半数がこれを選ぶと言われている程の超大人気の登山道である。
5合目〜より、高山病にならなければおおよそ登りが約7時間、下りが4時間程度の行程だ。
須走ルートは、約6合目の神社前からうっそうとする樹木の中を上がる趣のある登山道。
しかも上りと下りでは……別の道、これがどんな道かと言うと、ジャリジャリの数百メートル続く下りのスペクタクルな砂利道疾走。
”非日常!”
童心に返り大人でもハイになる砂走が楽しめることがファンにとっては堪らないコース。
しかしと言っては何だが、意外な難点があり、キャーキャーはしゃぎすぎて砂に足を取られてゴロン、アイテテテの転倒による怪我〜膝や足首のダメージ。
足回りの故障に要注意の落とし穴がある面白ルートでもある。
こちらは行きが約7時間半〜8時間、帰りが5時間程度とされている。
御殿場ルート……!
これは富士山ルートの中で最も過酷な登山道と言われている。
スタートする標高が他より低い事と圧倒的に足場が悪く、砂にズボズボ埋まる。
そんな、ゆるーい距離がとんでもなく長く長距離コース。
”新5合目” と言いながら「青ルート」富士宮登山口よりも約1,000mも低い……
6合目まで約3時間。
つまり、明らかに体力自慢の上級者向けルートなのだが……
この登山ルートのみの素晴らしい ”お楽しみ” もある。
それは何かというとポツンポツンと見渡す限りの黒い(少し赤い)大地に咲く植物の美しさだ。
コンモリとした、強く逞しく過酷な野生で精一杯生存する美しい野趣溢れる花々
イヤ生きてるって良いね!自分も頑張るっ! 辛いのは自分だけじゃ無い!
この健気な天使達、素敵花達に出会うだけでも超厳しいルートを選んだ価値があるというモノ。
まるでどこかの未知の惑星にやって来たかの様な、近未来的絶望的この世の果て感が凄まじい。
しかも行けども行けども登山者の頼みの綱、山小屋が閉まっている状態、つまりトイレも無いのである。
大体初めての山小屋は時間にして6時間半。
(当たり前だが携帯食は必須、高所で気圧が低い為お湯は中々沸かない)
荒行で、自分のスキルと力と精神力が試される試練道
これぞ登山!ビバ マウントフジ!
体育会系筋トレとダイエットには最適だ
因みに上りに8〜10時間程度を見積もると良いとされている。
なおこのコースで有名なのは、下りの下山道名物「大砂走り」ーーー……!
冬季レジャー用か、もしくはスイミング用・密閉型ゴーグル着用必須、ぶ厚い頑丈なマスク装着の上、靴の中に砂が入らない様に着衣の裾は何重にもキッチリと結わえてガード!
開始地点よりゴンゴンダッシュすると、一歩がゴーカイに3m〜!
但し走行時間ノンストップでほぼ1時間、山岳傾斜ゆえに足が全く止まれない状態。
終了後 違う自分になれるでしょう。
さて富士宮ルート。
1番人気・吉田ルートの次に愛されているのが富士宮と言われている。
山頂を目指す全ルートの中、最も距離と到達時間が短いのだ。
また最高峰の剣が峰へ最も近い。
但し、上りと下りの道が同一な為、大混雑で渋滞有り、高山病に罹患する確率高しの為、それなりの準備と覚悟がいる。
御来光は富士自体の山陰に隠れてしまい、”登山中は絶対に見えない” 為……
見る事を希望する場合、日の出……ベストタイミングまでに死に物狂いで何が何でも山頂に到達していなければならない。
そういうお茶目、有名な ”お約束”、オチ付のルート。
その代わりに?「海」……晴れていればおそらく一生の思い出となる神の絶景が味わえるのだ。
奇跡の如く美麗なスルガ湾を一望、眺望を悠か眼下に楽しむ事が出来る。
舟形海盆が形成された海の中に複雑な谷、裂け目があるという、ジャパンで最も深い湾
ーーー絶景、美しい海原、海を背にして上る道。
まるで人生、手に入るのはどちらか片方と登山者に突き付ける、そんな華麗な素晴らしきルート。
そして他にも有名な……富士登頂の別なルートがある
ヒミツの登山道、それが「プリンスルート」だ。
これは古代、やんごとなき御方が登られたという事で、そう命名されている。
元々〜下山に通人に使われていた登山道だったが〜「上り」に限っては、いと尊きお方様が初代となる。
これは富士宮5合目から横に移動……御殿場ルートを目指し合流する登山道。
両方のおいしい所を堪能出来るが ”道に迷いやすい”
ルートが取りにくい、そう言う難点があり、特に下山が難しい。
信繁は、では、どのようなルートを選択したのか?
ーーーーーどれも選ばなかった。
確かに途中で、合流はするのだが、富士宮口に。
信繁か選択した登山道ーーーは
海抜0m
出発地点は「田子の浦」
つまり……歌人 山部赤人が奈良時代に詠んだとされる和歌。
最初に収録の万葉集で(後に新古今集に手直しし採取→ 百人一首へ採録)
田子の浦ゆ うち出でてみれば 真白にそ
富士の高嶺に 雪は振りける
〜田子の浦を通過してふと高みを見上げてみれば、あの見事な富士の高嶺に純白の清らかな雪が深々とあでやかに降り積もっているではないか。
ぁあ、今見ている光景はなんという美しく雄大、素晴らしい景色な事だろう〜
あの「田子の浦」!!
ズバリ、スルガの海岸から遙々富士山頂まで出発するコースなのである
全長約42km
殆どフルマラソンと同等の距離(距離だけならば)
最終地点3,776の標高が待ち受ける途方も無い道
推奨は全行程で3泊4日コース
祈願で、出発点の海の水に拾った岸辺の気に入った小石をチャプチャプ浸し
とある富士を祀るモニュメントに登山の成功を祈願し奉納すると尚良い。
富士山頂、剣が峰の石碑に、遙々持参した田子の浦の海水を極小小瓶に詰めて達成記念ふりかけ、山の女神に捧げる強者の登山者も居るという。
信繁はこれをヘラッと1日半ですると言ったから皆慌てた。
子龍はしゅうしゅう大激怒
サァどうなる……?!




