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番外編3 フレイヤ姫に捧げる富士登攀計画 ①

フレイヤ姫のバースデイ時に信繁は詳しくは語らなかったがーーー……

と言うか丸々見事にカット。


フレイヤがたくさんの機材が必ず必要になるホログラム撮影からうっすら察したように。


信繁は実際は富士山頂ーーー…

それも山頂で最も高い場所である「剣が峰」へは、とある事情で1人で行った訳では無かった。


いや最初は確かに一人で行くつもりで、キチンと全行程準備万端、それに関係場所等々に許可申請も行なっていたのだが、物言いがついたのだ。


信繁はフゥーーーっと諦観のため息を吐く。

 

『姫君に詳しい事情は ”言ったとしても”  まぁ後からだな……』


妊娠中の姫に心労をかけたくないし、妙な大きな誤解を招くかもしれない。


細々気の回る信繁はそう考えたから、先送りにしたのである。



信繁は有給休暇を取り、富士山登頂にアタック、登攀(トウハン)はインチキでは無い。



コレは当初の計画の侭だ、だがしかしーーーー……





明らかに「やり過ぎ」なのだ。


      



有給休暇を1日半取ることの内容を聞き、ここ迄は信繁班、班員皆快く大絶賛で了承をする。


会議場所〜 打ち合わせ場所は、いつもお馴染み、あのコンピュータールーム。

 

ここがもう、完全に班の便利なたまり場〜 ”詰め所化” しているので、元々いる部屋詰めの技師技官達も、今ではすっかり彼等を下支えする優秀な裏方〜

 

とっくに「信繁班第2チーム」非公式メンバーと化している。


彼等もそんなふうだから当然ニコニコと顔をほころばせ嬉しげに口を挟むのだ。

 

「是非行ってきて下さい!」

 

「そうですよ〜〜〜!」

 

「今の時期イイですよ〜〜!

それにもう直ぐ、今年分の山開き、終わってしますしーーー」


「ですよね?!」ーーー明るい賛同を引き継ぎ雅もウンウンと頷く。


「お姫様きっと喜ぶしーーー?」


「あ〜〜素敵にロマンティック!」

アナスタシアは両方の掌を組み合わせ情景を思い浮かべてウットリ。


「……凄」

普段極めて無口ーーーー

現在信繁の「特別保護観察中」続行中のヨンも、珍しくボソッと感想を唱える。



「いいじゃね?

それくらい何とか、お前が抜けた穴 俺らでフォローするわ」


子龍は腕組みをし、事情を察している故、ニヤニヤしながら面白げに突っ込む。



ところがーーー……ところがなのである。



「えええええええええええええ〜〜!」


「ちょッマジっすか?」


「それは……えぇえっとぉ…?」


「?、何か問題点でもあるか?

行程的に片道15時間もあれば俺的に充分、前日の昼から開始すればいいさ」


「!!!!〜〜〜〜ば〜〜〜かか?お前!」


「……!何言っちゃってくれてんの?」

 

「危険すぎる」

 

「ーーーー弾丸登山」

「フツーに考えて無いし?」

 

「……クレイジー…」


皆が全く思ってもいない事ーーーーを、信繁がツラツラ平然と語り出した事から座が一気に紛糾したのである。



彼の立てた ”詳しい登山計画” を聞いて、今回最も大反対をしたのは心配性の雅では無く、何と相方である子龍。



彼が顔を真っ赤にし猛然と異を唱えたのである。



「……お前サァ、もうちょっと普通の事が出来ない訳?

俺はゼッテー反対だ!!」


「???どうしてだ?」


「”どうして” も” こうしても”ーー……ってか、常識的に少々考えてみりゃわかるだろ?」


「?何が」



「〜〜〜! 何でフツーのルートじゃいけない訳だよ?

……富士って五合目まで何処もチャンと公的の『足』、あったよなぁ?

ソイツで行けば良いだろ?」


「今回の場合、俺の立場でソレやったらインチキだろ?

自分としてはあくまで祈願、それからバースデーのお祝いだから、出来ればこの巡礼的コースで今回登頂したいんだ。


もうシティへの手続きは済ませてあるし、有給申請も終了し日数は抑えてある」


「!……確かに登山ではなくて、登攀だよなぁ全く。

お前が超〜〜〜クッソ頑固だって事、俺様とあろうものがすっかり忘れてたぜ!

 

ぐっっーーー不覚!

ォイ、それにダイイチ事後報告って卑怯〜だろっ〜〜〜信繁!」


「?まだ向こうに行ってないだろ? 今〜だからこうしてお前に言ってるし?」


「〜〜〜〜〜〜〜〜〜!」



正に「ああ言えばこう言う」状態、これを果たして議論と言えるのか?!


子龍は『コイツ心底ムカつくわ〜〜〜〜〜〜!』と言った風情で美しい黒髪の頭をガシガシ掻き、最後にぶるんと大きく頭を振る。


 

それを見た雅がボソッと「わー滅茶苦茶ワイルドで奇妙にセクシー」

 

変な突っ込みを小声で入れるので、アナスタシアが目線だけで ”ウンウン”

しっかり同意、頷いたのが部屋中のメンバーに見える。

勿論彼らもそれについては丸ごと同意である。


雅は心の中でこんな事を考察するのだ。


『参ったなぁ……信繁さん困ったよ、この調子じゃぁ絶対折れる気は無いもん。


も〜〜〜時々ホンットワガママなんだからっっ!


僕ら本気で心配してるのに! 多分子龍さんの心配は杞憂じゃ無いもんッ!


でもまぁ、信繁さんの言い分も一寸はわかる。


子どもの頃から散々登り馴れてるからこそ、通常のルート取りではもぅ全然つまんなくってーーー


”飽き足らない” のかも知れないもんねぇ』

 

 

彼とて信繁のチャレンジ……!


〜フレイヤ王女の誕生日の御来光を撮影する〜


コレについては最高のアイディアだと感じ、反対ではなくて。


むしろ素晴らしい!


きっと嬉しくって胸がいっぱいになって……

厳しいに決まっているこの先の人生、惑星トールでの難局を支える心の灯火、大切な綺麗な思い出になるに決まってる!



ーーーーーー……でも


『でもなんだよねぇ……』




雅はこめかみを押さえ、この場合の何か妥協案はないか必死に頭を巡らせる。



ーーーーぁあ 頭が痛い。



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