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終章 ②


精鋭信繁班が城に光学迷彩を搭載した特殊ヘリ〜通称「実験機」で帰還する際


今回復路のパイロット〜

機長をつとめている、信繁のバディかつ親友である子龍《シリュウ》が、不意に哲学的な発言をした。



「〜天の歯車は回るのは遅いが いつか必ず回ってくる〜って言うぜ? 


俺の昔住んでた国ではな、神様の運営するお役所は、なにせお役所だから仕事はまぁまぁ遅い訳だ、しかもそっこら中から常時なんだーかんだーあれこれお願いされるし?


でもさ、必ずいつかはなんとかしてくれる訳、依頼者が忘れちまうっつーくらいの果てしなーーーい後になってだけどさ? だって神様だから」



『全くその通りだ……』


隣でサブ、フォローをつとめている信繁は、相方の発言に心の中で同意する。


信繁は今はナビ役で副操縦士役なので、多少は他へ思考を回す心理的余裕があった為だ。



『ここならば邪魔する者が居ず、他は誰も聞いてはいないからな』


ヘリ内部は結構な爆音で五月蠅い為、全員イヤホン型特殊な通信機器で会話が聞き取れる仕組みになっている。


深夜、怪人への重大な航空支援及び、最前線の歩兵役の一仕事を終え、今はほっと寛ぐ状態である。


信繁はタイミング的にも最適とみて、機内に同乗する頼れる班員達にあの美しい兄弟達の今後の話を行った。



執務室の城主から直接自身が聞いた〜

現在城収監中、五兄弟の行く末の極秘未来を班員に告げたのだ。



「五兄弟ーーー

彼らの狙撃における弾道計算は、改めて城、秘密兵器の記憶の転送移植装置で不夜城がデータ解析を行ったんだが……



彼等の頭脳の中に入り、過去の見た記憶を検査、その上でホログラム再現データと、様々な角度視点での検査を専門チームが念入りに行った。


その結果、これが直ぐにわかったんだ。

つまりだな、誰1人、狙撃時のヒットした銃の弾道が2名分に重なっていた人物はいなかったそうだ。


おまけに毎回、急所への致命傷は一発もなく〜

というより、実行犯達の死因は、こちらが思っていたのとはまるで全然違ったんだ。


世界各国における『検死記録ハッキング』によると……!


緩慢な複数の裂傷による、手当てを拒んだ末の失血死。


傷口からの細菌による感染症。


〜銃撃の衝撃で下界へ転落における全身打撲、それによるショック死。


ーーーーそれらがテロ実行犯達の直接の死因だった。


よって、遠因ではあるがせいぜい傷害罪、それも人数も一名が最多、法律の穴や矛盾を突く訳ではないが死刑にはならない」


「はァ?!」


子龍が鼻を鳴らす


彼はサイクリックレバーとスロットルを大胆に調整しつつ、絶妙にラダーペダルを操作しながら、ブツクサ心の底から呆れたようにぼやいた。



「5名で銃で狙って傷害罪?!〜

それはそれで、ちょっと情けなくないか?!

〜敢えての狙撃の意味ないじゃんか!! 


もしも俺が射撃訓練中、そんなクソダサ腕前だと、信繁お前普通ーーーにガミガミ、めちゃ口うるさく怒るだろ??」


「五月蠅い、それは言わなくてもよし」


信繁は文句をブイブイ言う子龍をジロッと睨む。



「〜それから彼らが狙撃した犯人達は、実は皆札付きの国際手配書の凶悪犯。


仏蘭西リヨンに本部がある国際刑事警察機構(インターポール)からも目をつけられた、年期のいったとんでもない筋者だった。


知っての通り、あそこは単なるお役所だから手配書発行は各国に通知してくれるものの逮捕権は現地警察にある。


つまり逮捕令状って訳じゃないから、後は自分達でなんとかせねばならない。


で、某ヨーロッパに住む大富豪から、亡くなった息子夫婦のそれも忘形見〜


たった一人の大切な孫を正体不明のテロリストに殺害されたという理由で、事件解決者には多額の懸賞金を支払うと公言していたんだ。


沢山の悲しみをそこら中にばらまき、世界中の大勢の人々を、不幸のどん底に突き落としてきた極悪非道の『賞金首』だった。



で〜

顔がひろい城主がコネ使って直接コンタクトを取ってかくかくしかじか状況を話したら、ホログラム回線で『現当主』


ーーーマダムは涙を流されたそうだ。


〜ありがとう ありがとう〜ーーー


最愛の息子夫婦の残した、守れきれなかった私の宝物。


〜自慢の孫の仇がこれで取れました。


スペースシャトル爆発で亡くなった愛するあの子も、やっと安らかに……


夭折した息子達も、親として天国で安らかな眠りにつけるでしょう〜 


その様に号泣されていたそうだ。



マダムはーーー凪と箏の人前結婚式の事を、まるで昨日の出来事のように記憶していたんだ。


是非自分の命ある限り、五兄弟の今後の音楽活動における大スポンサー


大陸での最大の支援者となりたいと、力強いオファーがあったそうだ。



勿論五兄弟達がそれなりの『罪のみそぎ』が必要なのは当然だ。


真実が表に出ずとも、失った信用を回復させるのは容易な事ではない。



『城』で一定期間収監され、その後はパトロンに名乗りを上げたマダムが、今や遅しと首を伸ばして待つ超大国ーーー


ヨーロッパに安全に安心して、彼らが旅立つ事が出来る手配を城主は行ったよ。


ジャパン政府が散々期待する彼らが稼いで元々支払っていた税収がどうなるかはまぁ、神のみぞ知る、といった所だが。


〜あの城主が海里に大きく一点貸しを作ってる訳だしまぁな、上手いとこ収まるべき所に無事収まって行くだろうな。



で、俺は、その時はーーーー送り届けるその時は。


是非『俺達で』、彼らの安全が無事確認できるまで、しっかり現地まで護衛をしたいと申し出た。



城主もニッコリ笑って 『それが一番いいわよね!』


ーーーー万全の了承が取れた。


俺も先日の試験、航空機飛行艇上級試験、この度めでたく無事合格した事だし、海外でも飛行艇操縦ができるしな。


皆での盛大な合格祝い、本当にありがとな」



「ソリャいい!!」


子龍がヒュウゥ〜〜〜♪

軽快な口笛を吹く



「鋼鉄のジャーナリスト集団『電脳ジャーナル』も〜スペースシャトル事件の事をリークしたことで一点貸し。


城主が事件に関わりの深い五兄弟の事を、またわけわからん適当なあの人の天才的プランで、暫く無期限で活動休止する世間に向けての理由付けを披露し。


〜『事情聴取』時のコピーしたホログラム映像添付で調書と合わせて転送すると


アッチの主宰より、心から『箏』に対しての丁重なお悔やみがあったそうだ。


そもそものきっかけとなったロミオとジュリエット的、高校生カップルの純情の行く末と結末を知り。


〜つまり電脳ジャーナル主宰自ら、彼ら兄弟が決して不利になる様な偏向報道は今後一切しないと確約がとれたって事なんだよ。


〜あの豪腕任侠ジャーナリスト集団が眼を光らせ、そういう姿勢ならば、浮動票的な風見鶏の他は、そうそうは無茶は出来ないだろうな」



信繁は『これでよかったんだ』 〜フゥと心の中で胸の内を吐露する。



「へー ソリャスゲーじゃんか?!


ぁそだ、飛行艇だがさーーー

うちの兄貴の一人が、一回乗ったきりで女に振られて要らなくなったって子龍乗るか?欲しい?ーーっていうアウトドア系の最新式デカいのがあってだな?


どうせなら信繁に直で合格祝いにやるわー


相続税対策で最初っから信繁名義にすりゃー譲渡部分が税法上安く済むしさー


城の格納庫に入れときゃ、兄も莫大な保管料とかの今後コストかかんなくなるし誰もこまんねー」


子龍がすかさず合いの手を入れるので、信繁は驚いた。


「高いだろ!ほとんど新品の、それも最新式飛行艇だなんて!!」


「?アイツ始終最新型ばっかに乗り換えてんから、んなのいつものことだしー


じゃみんなでどっか信繁に操縦させて、ドンドン遊びに行こうぜー


あーこんなのもいいなぁ。

五兄弟の復活コンサートに、それに乗ってみんなで押しかけよーぜ!


きっとあの魔女もぜってー行きたいって我儘言うしさぁ、だから名目は俺達出張護衛扱いでいいんでねーーー??


んで古参ファンの前で楽屋に入って記念撮影し、偉っそうにサイン貰うんだー」


「子龍、お前って奴は」 信繁はフゥッと再びため息をつく。



「ではこの先も……いつか再び 彼らの楽曲が聴けるんですね!!」


雅《ミヤビ》が、キラキラの喜びで瞳を輝かした。



「ああそうだ〜それも近い将来に確実にな」


信繁は確信を込めて振り向き、雅に微笑みかける。



「やったぁ!僕 彼らの大ファンなんですーーーー!!


よかったーーーー

ホントに良かった……」



信繁のバディ、同期で親友でもある子龍は、フンフンと機内で音響機器を作動させる。


流れ出したのは〜現在銀河連邦 諸惑星間で大ヒット中のアーチスト集団瑠璃が紡ぎ出す素晴らしい楽曲だ。


甘く美しいバラードが、切なくヘリ機内を満たす



 

「ーーーーー外部、ノイズキャンセラ-発動 光学迷彩 オンにします」

   

雅は、実験機の繊細で重要なコントロール装置を起動させる。




実験機ヘリは、Mt.フジ樹海上空で跡形も無く フッと突如消滅した。




「木の葉を隠すには森の中」


元々国防の軍事演習地上空空域だから、例え目撃者が存在したとしても誰も何も特に不審には思わないだろう。


後には普段通りのーーーー



早朝の清涼な空気をまとう、静寂な美しい広大な原生林が富士の裾野に広がっていた。





〜カリスマ音楽集団五兄弟編〜

<終>


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