↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

196/344

団結 ③


海里(カイリ)はボソボソと他の兄弟がどうしたのか?を、城主にこう続ける。


*************


まず一番下の弟の渚(ナギサ)が、スッと立ち上がりました。



「泣かないで凪(ナギ)兄……」


跪き優しくそっと凪を抱きしめ、そして僕にこう訴えかけました。



「お兄はーーー海里は、知ってて何もせず黙ってるの?? 


凪兄が……かわいそうだよ、あんまりだよーーーこれじゃ酷すぎるよ」



「ーーーー俺もその事件、よく覚えている」



次に、兄弟中の次男、碧(アオ)が。

物知りで多趣味、キリリと理知的な風貌がファンの心を蕩かしている彼が腕組みをし強くこう発言、ギシッと座り直す椅子が鳴りました。


「ーーー未解決だろ?今でもその事件。


テロリストの名前すら、不思議な事に所属セクトすら定かでないだろ??


そりゃ犯行声明は一応あったが、自分はあれはダミーだと思う。


まさか凪が関わっているとは思わなかったから、全くの興味本位で。

総ての事件の通信記事、あらまし、どんな小さい記事でも、俺のファイルに入れてある。


人工知能解析と考察と共に記録チップ〜 とりあえずの薄い奴だが、昔作った奴でいいならまとめ保存してあるからすぐ出るぜ?」


〜次男の碧は、今のような音楽アーティストにならなかったら、夢は鐡の何者にも屈しないジャーナリスト集団、電脳ジャーナル付きの記者だったのですよ。


〜彼らのように銀河中を又にかけて、隅々まで取材に飛び回る事でした。


碧の鋭い洞察力と調査能力の執念と実力は、実際もの凄いものがありました。



四男ーーー

スポーツ万能、すらりと背の高い活発な海音(カイト)は、堂々こう口に出しました。


「ONE FOR ALL 〜 ALL FOR ONE!」



〜ですから 「1人は皆の為に、皆は一人の為にーーーか??」


僕が聞くと、海音は 「違う違う〜〜〜!」

ニコッと笑いながら僕にこう続けました。



「海里、ALL FOR ONE 〜の ONEは、本来の出典元を読み直すと違うんだ。


”勝利” の ”Victory” を指し示す意味だぜ! 


ジャパンの古い意訳も、格好いいから大好きだけどさあ〜


”1人は皆の為に 皆は勝利の為に” こっちが実は元々の解釈として正しい。


一人では到底無理な事かも知れないけれど、全員でかかったら『勝利』が掴めるかも知れない。


出典元は、”三銃士”

地球フランスの3人の個性的な勇者と1人の正義の味方が、ベースは尊いレディの名誉の為に一致団結して戦う物語だ。


事件のあらましといい、テーマ的に結束の固い俺達兄弟にはぴったりの言葉だろ??

 

ジャンルの違いこそあれ、音楽の志を持った同志の不幸を見過ごすのは男が廃る


ーーーー俺は構わない、行けるところまで行ってみて、やれるところまでやってみよう。


兄弟の犠牲の上に築かれた栄光なんて何の意味も無い、そうじゃないのか?


自分は是非、凪の味方になりたい。

この先は海里〜、俺達の頼れるリーダーの、海里兄の決断に従う」


海音は、燦々と輝く太陽の様に大きく逞しく笑いました。



僕、碧(アオ)、海音(カイト)、渚(ナギサ)


ーーーギラギラ底光りする凪(ナギ)の目と、兄弟全員の意識がピタリと合いました。




僕達は全員の特技を生かし〜頭脳、情報収集力、諜報、行動力、時には色仕掛けで犯人に至る痕跡を長い間、ずっと諦めずに探し続けました。


そして真実ーーー

テロの本当の実行犯及び、その陰にいる黒幕〜


本当の主犯、事件の真相を知った時、自分達で結末をつける以外、どうしようも無い事を知りました


罪を犯した、消えない哀しみを創り出した彼らを明るい光の下に引き摺り出し。


何十何百もの、大勢の人々に流させた涙の償(つぐな)いと報(ムク)いを。



ですが被害を受けた人々の前で〜正々堂々と正しき司法で裁く事はーーー



ーーー正義の鉄槌を振り下ろす事が。


あって当然、罪を償わせることが絶対に不可能だと知った時の絶望感、無力感。


〜貴女にわかりますか??



僕達は証拠が残らないーーー

射程距離の最も長いエネルギー銃を用意し、毎回5人同時に狙撃しました。


古代の地球における、死刑執行官の方式です。


そうすれば、一体全体誰の放ったものが、実行犯達に対する致命傷になったか?


銃を撃った僕達自身にもわからないからです、答えようもありません。


つまり『暗殺者』は永遠の謎です……



**************


海里の長き独白の終わりに「わかりました」


城主は単純にごくシンプルに答え、白く美しい指を両手共キュッと絡ませる。



「もう暫く、この話、私に預けさせて下さい」



すると海里は、また悟りを感じさせる透明な微笑みを浮かべ笑みを浮かべる。


城主背後に控えていた信繁に立つように促されるまま、やはり特に大きく抵抗するそぶりを見せる事なく静かに腰をあげる。


海里は、城〜第5次元独居房ーーー

ここに入ることは死よりも辛いとされる、特別牢に大人しく連行されて行った。




海里の事情聴取から数日後の昼下がり、信繁は城主から執務室に呼び出された。


「信繁は海里の告白ーーーどう思う?」


すると信繁は言葉を選びながらも、毅然として話し始める。


 

「ハッキリ言いましょう。

海里達兄弟全員は、自分達の生命人生、今までの血のにじむ努力、全キャリア全てを、Bet〜


復讐のための賭け金として一点賭けし、最後の大博打に出たのだと思いました。


最終局面の盤上では、残念ながら自ら達では勝てない、ですから『I'm all in』〜


今回の収監されるに全賭けし、本当の目標をおびき寄せる餌にしたのでは?」


「ーーー続けて?」


「リーダーもご兄弟も、話を聞く限り世界に与えるインパクト、影響力、自分達の価値を知り抜いていました。


だから『向こう』〜警察で動機を決して吐かずに、敢えてここに全員が収監させる事を、ワザと仕組んだのでしょう。


確かに最善と言える良い一手です、自分達は代償に暗殺はされませんしね。


しかしまぁ蛇の道は蛇とは云え、よくぞここの闇の存在まで辿り着き、城への収監に至るルートを知り得たものですよ……


自分達の命を総て総決算の為の囮に使うだなんて、すわおそろしい事を良くもまぁ〜……と 」


「やっぱりそう思う?」

「ええ」


「ふぅん」


「彼方の、事件に反応する相当階級が上位に位置する彼等のシンパが、上手くこっちの情報を彼らに渡し、手を貸したことも考えられます」


「ーーーあり得る話ね」


「政府要人まで同情で突き動かした、つまりそこまで切実に思い詰めていた、それだけ此度の作戦の為にトコトン肝が据わっていたって事でしょうね。


俺には男兄弟はいません。


ですがーーー

居たら彼らと同じ様に考え実行、行動したかも知れません。


……しかし俺は裏でこうも思ったのですよ。


あの仲の良い綺麗なご兄弟は、切った張ったの修羅場を生き、どこまでも血の臭いのする自分とは根本的に生き様が違います。


平和の象徴〜 例えて言うなれば人々に幸福と愛を唄う事が使命の、麗しい童話登場、小夜啼鳥《サヨナキドリ》


……清く心優しい愛くるしい鶯、ナイチンゲールなのです。


本来は、彼らが手を汚すべき事ではありませんでした。



戦闘では訓練すら、特殊技能を何一つ持たない素人同然です。


よくぞーーーテロのプロ、非情な殺し屋達を相手に今まで、ご兄弟1人も欠ける事が無く無傷、ご無事でおられたと。


聞いていて特殊部隊・班長職の自分は、あまりの向こう見ずっぷりに対してゾクゾク恐ろしかったですよ」


「全くその通りよねぇ〜〜〜ホント嫌になっちゃう!」



ブゥブゥ言いながら、城主は美しい黒髪を左サラリと形の良い耳にかけるのだ。



「信繁ーーー実はたった今『五人会議』に於いて重要な決定が下りました。


『幸村』、行けますか??」



戦国時代、〜ヒノモトイチの勇者〜と讃えられた真田幸村は、本名を真田信繁という。


城主が信繁では無く、彼の事を幸村とハッキリ別名で呼ぶ場合〜


難しい、最重要の作戦決行「GO! 」サイン発令である。


とは言えーーーソモソモの執務室の呼び出しの最初から粗方こうなる予想をしていた。


信繁の表情が、一段とキリリ引き締まった。


「今回の作戦はどのように?」


「とりあえず生きたまま、捕縛をして。

コロニー政府 RURI-Aの首相からも、正式に先程、瑕疵のない書面にて、そのまま収監を希望する依頼がありました。


ーーー闇における弱みを知り尽くしている人物、下手に逮捕して裁判になったら色々と不味いのでしょうね。


とは言え、死なせたら死なせたらでシンパが偶像崇拝、でそれ以外がテンでバラバラに好き勝手覇権を目指し暴れ出すとまぁ困るって事でしょう。


叩けば埃が出ない国なんて無いし?


でも落とし所がやっぱり城ってのは、まぁいい加減にしろとは言いたいけどね」



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。