第三章 団結 ①
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海里からの兄弟に関する、長い打ち明け話が終わると、城 取調室はシンと重い沈黙が流れた。
一番最初に無音を破ったのは城主で、ハァーーーッと深く長い溜息をついた。
「そういう事でしたかーーー」
音楽アーティスト集団「瑠璃」、グループリーダー海里は淡く悲しそうな微笑みを浮かべる。
「やはり〜今の僕の話でお気づきになられましたか?」
「それはもぅ 職業柄という事でご理解を。
貴方方が、どうして『復讐者』に転じたのか感情的には理解出来ます。
出来ますが、でもーーー同時に愚かだとも思います」
城主は真っ直ぐ迷いのない瞳で、ハッキリと男に告げた
「そうですねーーーやめるべきだったかも知れません。
でもそれは出来ませんでした」
海里は、城主の瞳を真っ直ぐに見つめながら静かに答える。
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弟から『告白』を聞き続けた僕は、話の中に次第にいいしれぬ何か不吉な影〜
闇?というのでしょうかーーー
昏い気配が次第に濃厚にユラユラ立ち上って行く様に、ぞ~~っとしました。
音楽リーダーとしての感覚……カン〜というか?
いわゆる第六感のようなものが、ガンガンそれを伝えて来ていました。
悪いシグナル
悪しき警告音~~が、頭の中に響き渡るのを止めようがありませんでした。
さっきから全て、過ぎ去った遠い昔の話として『過去形』で全部を懐かしげに話す弟。
しかし明らかに内容が内容のーーー心を打つ真の、弟の誠実な真心が感じられる恋物語でした。
喧嘩っ早いが性質が真っ直ぐな凪が、その少女〜
自身の半身でもある箏と別れられるなど考えられません。
この話は時期的にいうと何年も前、でも過去ではありますがおそらく時間軸で言えば、多分今時分の日にちの出来事でしょう。
特に弟が昔、シャトル搭乗直前に告白したのは、ざっくり今日か昨日、それ位?
誤差はせいぜいその程度の時間軸の筈でした
瑠璃グループリーダーとして、名が世に大きく出る前、兄弟にスキャンダルになりそうなことは一切避けることは自分に課せられた命題でした。
それがずっと習い性になっていました。
だから……電脳配信の記事は今まで、どんなベタ記事も万が一を考え残らずチェックしてきたのです。
愛読する、電脳ジャーナルの基幹記事に何かなかったか?
それも特に、弟が卒業年度の、今日の日付で大きな発表が無かったか??
ーーー必死で記憶をたぐり寄せました。
こう見えて、僕は記憶力にだけは自信があり、一度見たこと聞いたこと……は基本的に忘れません。
それのお陰で、大量の歌詞と楽曲を細部まで正確に間違えずに記憶し、美しく再現させる事が宿命と言える音楽の仕事が可能、出来たのですから。
『よく思い出せ自分!』
ゾッと流れる不吉さにザワザワ心乱れながらも、必死に自分に渇を入れました。
様々な媒体で配信される電脳ニュース
一面トップと三面ーーーは特に……
『まさかーーーー』
さっきからまた凪はグダグダと、喋り倒すだけ喋った弟は再び強い酒に耽溺、浸っているばかりでした。
何か言えとしきりに目配せをしましたが、もう何も言いません。
僕は彼が脱ぎ散らかした着衣に飛びつき、ポケットを鬼のようにまさぐりました。
探した目的の品ーーーー
男性用の虎瑪瑙〜タイガーアイの、重厚な暗い房がついた数珠がゴロッと出て来ました
紫の房、華やかに明るく在りし日の死者を悼む法要〜
ーーー法事用の煌びやかな賑々しい房ではありませんでした。
「何で黙っていた!!!」
僕は怒りにまかせ ガッ!と 今にも凪に殴りかかりそうになりました。
「どうしてそんな大事な事を、今まで言わなかったんだ!!!」
私は大声を出し仁王立ちし、激しく弟 大声で凪を問い詰めました。
怒りと興奮の余り、ワナワナ震える声が更に裏返りそうで。
『怒髪天を突く』とはああ本当のこと、実際に経験するとこう言う心理なんだと意識をワザとちらし、奥歯を噛み締めるのがやっとで。
そんな私の姿をどこか面白げに目を細め、凪は金色のウィスキーの残るグラスを見つめながらポツポツと呟きました。
「じゃあ聞くけどさ~
にーちゃんだったらーーー言える? 本当に?
爆弾テロがあってーーー
宇宙空間でバラバラに爆発したスペースシャトルの中に大切な人が乗ってたって
自分の命以上の 愛する人がそこにいたってーーー
現実の被害者の、直接の関係者になると、案外にさー茫然自失でーーー
当時俺はそれどころじゃあ 無かったよ……
それにさーーーー俺、海里兄達、丸ごと裏切って、箏と結婚して捨てようとしてたんだぜ?
それからはーーー 一杯一杯だったお兄達、兄弟全員支えてさあ……
脇目も振らず 『銀河連邦NO.1・理想の音楽集団』にすんので〜
ーーー他は考えている余裕なんて無かったよ。
だってそれは『彼女との賭け』〜約束だったしい
あいつとのーーー約束、『銀河1の妻』……
もう一つはーーーどうしても
どうやっても 叶えてあげられないーーーんだから、それくらいはねえ?」
ーーー僕はもうそれ以上、昏々と眠り込もうとする弟に何も言えませんでした。




