番外編2 子龍の学生時代の思い出 ③
子龍は直ぐに<結果>を回線で先生に連絡した。
ーーーー待ちに待った天にも昇る高揚する気持ち!!
どうしてもあの人の姿を見たい!
それに愛する人のよく頑張ったわね!」の声が聞きたい!!
ホログラム映像付き音声回線で、当然ーーー
「絶対先生喜んでくれる筈!!」〜だったのである。
子龍はそれ以外の可能性を、全く考えてもみなかった。
自分の事を彼女も又、期待し愛しているとーーーーー心より信じていた。
「告白の時の約束 覚えてる??」
「うん〜……っっそうね!……勿論よ!」
『……?あれっつ??』
ーーーー?? 微妙な……違和感、なんだか変な気がした。
どうも浮かない口ぶりーーー子龍はドキドキ気もそぞろになってしまう。
『?? もしかしてーー……本当は僕が嫌いなの??』
いやまさかそんな馬鹿な……!
子龍はゾワゾワする不穏なな気持ちが巻き起こるのを、それでも必死に意志の力で押し殺す。
これって何か理由があるに違いない……!
〜〜そうだ!!大人の女性だもの、きっとお忙しかったんだろう〜……!
しまった……!突然の〜自分勝手の連絡で怒ってたのかも!!
子龍はそうに違いないと自分に必死に言い聞かせ、慶事とは言え〜
かなりな身勝手。
子どもっぽさの塊の、幼稚な言動に今更ながら気がつき、カッと頬が紅くなる。
「相手だって都合があるんだしーーー」
気もそぞろの子龍は連絡後、頭を抱えてヘナヘナ〜、その場に座り込んでしまい涙が出てしまうのだ。
『うん……チャンとごめんなさいって謝らなくちゃ!』
今後は僕は先生に相応しい、うんと格好のいい大人の男になるのだ!
失敗なんか出来ない
”正式にお付き合いする” これからは〜 僕だけを見てくれる筈!!
子龍は心臓が喉から飛び出しそうにドキドキする。
期待と希望で胸がはち切れそうにいっぱいでーーーー
『先生に早く会いたいっ!!』
ーーー子龍が次に連絡した、若手書家の師匠は結果を既に知っており、なんとまぁ彼の知り合い全員大集結し、ホログラム映像の向こうでシャンパンをポン!!
手放しで「おめでとう〜〜〜〜!」と全力で褒めちぎられた。
「こんな事が私もね? 〜ぃやぁ〜本当にあるとは思わなかったよ!
だからね?坊ちゃんの受賞祝いが、そこら中の書家仲間から続々と入ってきてるんだよ!
……ア、又来たようだ……!」
子龍はそんなこんなを正直に〜
普段は非常に厳しい師匠から、驚喜の悦びに震えるハイトーンの声で打ち明けられる。
「うん……」
「?……どうしたの?……本当に君すごいですよ?
何故なら彼女は我々の世界で 〜百年に1人の逸材〜 と大いに期待されてる子なんです。
……既に生徒も取り 個展を何度も開催しているしーーー
書の販売会は直ぐにsold out。
作品が電脳番組の題字にも採用されています。
マスコミでも華々しく天才少女と取り上げられ 大人顔負けにめざましく幅広く活躍していますしね?
子龍君は本当に善く頑張られました
ぃやあ君は偉い!」
「……」
今のこの言葉〜
「先生」から本当は全部聞きたかったと通信終了後、ガックリと項垂れる。
〜その日は運が悪く
学校の教師からの泣かんばかりの頼まれ事ですっかり家〜
高級タワーマンションへの帰宅が遅くなってしまった。
住居は防犯もかねてワンフロア全て買い上げ
眺望素晴らしい絶景の最上階。
そして、どんな時〜 ”いつ滞在してもいい様に”、他の家族〜
多趣味多芸でならす哲の部屋もあり
更に ”滅多に来ない父親” の、大きく豪華な仕事用の部屋ーーー
他には付属として広々とした私室が設けられ、高級ホテル以上のバスルームやミニバー、高価で立派なリネン類が隅々まで整えられた清潔な寝室込みで備わっているのだ。
『もう先生来ている時間だ!!』
イライラがつのる子龍は本気で焦った。
彼女は、この日特別にフリーパスにしてくれとコンシェルジュにもお願いしておいたから、もう家に到着し待っていることだろう。
ーーーー心臓がばくばく爆発しそうに踊る。
『とうとう〜恋人になってもらえるんだ!!』
気持ちばかり急ぎ目も眩みそうで、自宅にたどり着いた時〜はもう1歩も歩けないほど足がガクガク震えた状態で……!
だだっ広い、無意味にスペースを取る、玄関に通じる天井まで到達する巨大ドア
震える指で開閉装置にナンバーを打ち込み、ピッ♪……端末でロックを大急ぎで解除する。
見覚えのある華奢な女性物の靴ーーー
「先生は矢張り、もぅ既に到着していたんだーーー!」
子龍は自分の間の悪さと大失敗に、くらっと目眩がした。
……と……
『あれっ?』
どっしりとした外国製ブランドの男性靴。
ほっそり華奢なスタイルのハイヒールの隣に、行儀良く共に並んでいる。
父の物はブランド本店にて木型で足の形を作るオーダーメイドの高級靴……
嫌と言うほど、転校先の理事長室での挨拶時に見慣れた〜父親愛用
ーーーピカピカの靴
「先生??…… 父様??…… 」
子龍は今までとは違う意味で心臓がドキドキ、いやな汗が掌にジクジク滲む。
『来るだなんてーーーー全然聞いてないっっ!』
少なくとも祝いに来てくれたのでは無いはずーーーというか、今までの事柄を考えれば「絶対にありえない」
……おかしい
何かが変だ……!
ーーーもはや不穏な空気しか存在しない。




