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番外編2 子龍の学生時代の思い出 ①

子龍の家庭は財力は充分に足りていた。


しかし生憎「銭』」では買えないモノがある。

 

ずばり「それだけ」が、生まれ育った環境にはまったくもって欠けていた。



ーーー幼い時代の惑星間の転園に次ぐ転園



父の転属先に付き添って ”女性以上に美しい” と言う評判の美形の長兄「哲(アキラ)』が母親がわりにきめ細かく、丹念に優しく、愛情深く幼い子龍の日々の面倒を見ていた。


彼等兄弟の実母である母親は、旧家出身の跡取り娘でもある彼女は「付き合いきれない」と艶福家でもある夫から自身を守るべく、「妻」という名目上の籍だけ残しさっさとジャパンの実家に引きこもってしまっていた。


ーーー永続的な別居である。

 


しかし時々は気紛れに、夫や息子が居ない巨大な「本宅」〜


歴史的建造物認定され、季節ごとに銀河中から観光客が押し寄せる屋敷にやって来ては自由気まま、スタッフを侍らせ悠然と風流に暮らしていた。


さて、子ども時代の彼の周りは美しい長兄の哲だけで無く、選りすぐりの腕利きのベテランホームヘルパーで固められ、別段母親不在でも、とりあえず日常生活に困ることは無かった。


普通にホームメイドの美味しい手作りの食事やお菓子も毎日食べる事が出来た。


「こんなもんだ」 その為、子龍はクールに割切っていた。



優秀切れ者外交官の父の傍らには常に母〜正妻である妻以外の「女性」がいた。


晴れて学生に成長した子龍が、学園の事でホログラム通信でアクセスすると「代理」として応対に現れた顔は1度として同じ事はなく、名前も覚えないうちに同じ様な年格好の美人にコロコロ変わるのだ。


そのため失礼が無きよう「お姉様」と呼称を、仕方なく統一していた。



子龍は兄弟中の末子、末っ子である。


例えて言うならば周囲から期待され、厳しく1人で何でも出来るようビシビシ育てられた結果


”努力家”〜かつ甘えるのが下手。

自分で体験しないと気が済まない 根っからの長男気質の人間が「信繁」


その真逆がーーーー


何でも周りがお膳立てしてくれると信じて疑わない、甘えて頼るのが極めて上手い、典型的末っ子体質だったのが「子龍」


そんなこんなの、大きな気質の相違があった。



性分も ”大らかな性質”〜

しかもコドモの頃から抜群に要領が良かった可愛らしいルックスの子龍。


甘やかな気質と末っ子特権を充分生かし、楽しいそれなりにウキウキな毎日を幸せに過ごしていた。


成績も大して勉強しなくとも、テストは常に満点だったから学校も担任も何も言わなかった。



ーーーしかし殆ど放置子〜 ネグレクトと大差ない家庭状態だった。



そんなこんなの小学校6年生3学期

当時子龍は漸く地球に腰を落ち着け、縁のある〜ジャパン某地方都市で生活していた。


しかし〜卒業を控えーーーー

目出度く難関、中高一貫教育の名門学園に合格した時も、父母両方共、遠い空の下だった。

 

合格祝いが直接手渡されることも無く、母からの祝いの品は、贔屓のデパート外商部、配送サービスで送り届けられた。


父親からは、子龍の所有するバンク口座に〜

「チャントツカエ」

メッセージ付き入金が、あったきりで終了だった。

 


「そんなんで いいわけないだろ!!」


ただ〜うんと年の離れた弟をベビーの頃より掌中の珠の如しに大切に守り育ててきた兄、優しい哲は流石に怒り心配もした。


〜心底可愛くて可愛くて仕方が無い様子だったが、既に彼自身も忙しい大学生〜


それから地理的事情で、弟の子龍とは当時別居をしていた。


彼の通学する大学所在地はジャパン首都トーキョー


当然愛する弟に何か有れば 自分の事は二の次で直ぐにすっ飛んで来たとはいえ


「面倒も見る」と言っても、自ずと限度限界があった。



**************



「こんにちわ」


〜長兄から父が相当にプッシュされたのか?   


小学校卒業間近のある日、とても可愛らしい家庭教師が子龍の元にやって来る。


艶々のサラサラヘアの、最新流行のデザインの洋服を身にまとったお洒落な若い女性。


ウワァ〜〜!! 物凄く綺麗!


誘うように瞬く魅惑的な睫毛、黒目がちの瞳、柔らかそうな唇に浮かべるキュートな微笑み


滑らかなすべすべの長い手足に映える、清楚な完璧な美麗ネイル。


何もかもの全てがーーー眩い大人のオーラと色気たっぷりで、子龍は初対面の時は彼女の事をまともには見られなかった。


子龍が知っているクラスメイトや、高学年先輩女子など比較対象にもならなかった美しい女性。


「これから貴方のお勉強を見る事になりました!よろしくね!!子龍さん♡」



〜年上の、19歳の清楚で優しい人にその日から夢中になる。


初めての安らぐ「居場所」が出来た気がしたのだ。

子龍はウキウキし言われたとおりに勉強にスポーツにそれはもぅ頑張った。


そして中1の夏休み、とうとう彼女に告白。


ーーー13歳の出来事だった。



「いいわよ、ただし!!

ーーー子龍さんが全教科で学年1位を取ったらね!」


勇気を振り絞っての「おつきあいして下さい」という真面目な告白に、大人っぽい素敵な彼女にはニコリ、そう言われたのである。


〜その日から熱烈に恋をした少年子龍の、無謀とも思える人生初めての猛勉強が開始される。


ところがーーーーー

全ての教科で結果を出したのだが、たった1つだけどうにも思うに任せない教科があった。


「書道」〜毛筆である。


教育システム改正、ジャパン古来の伝統文化を尊ぶ心と集中力の鍛錬を!


ーーーという省庁の理念により、政府肝いりで新たに重要視され俄(ニワカ)に始まった正式科目である。


人工知能に頼らず、頭の中で記憶や考証で済む教科でなく、技術、体を使う技能教習である。



ーーー子龍はどうしようもない悪筆であった。



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