流星 ④
謎の光の帯はユラユラ闇をうねりながらヘリに速度を上げ高速で近づいてグングン接近して来る。
「信繁、城主だ」
子龍の言葉に、信繁は頷く。
「雅、宜しくな」
「わかりました! チェンジしますね!」
コックピット前全面のモニタースクリーンの面積をカチカチ指先の操作で拡張すると途端に黒いサテンリボンのように。
外部の映像が、ヘリの機体内部から360度見られるように変化する。
その時初めてフレイヤはーーーーーー!!
信繁が本当に海面すれすれの超低空飛行で危険を犯してレーダーを避け、自分を救出に動いていた事を知ったのだ。
低空飛行で飛ぶと、様々な障害物による反射でレーダー照射が四方八方拡散される。
しかし途轍もない危険が付き物だ。
『私にはーーこんな無茶な高等技術なんか無いわ!』
信繁は最も危険な時間帯でパイロットとしてそれを行ったばかりか、現在も夜間飛行にて目的地に航行しているのだ。
申し訳なくてーーーー身を固くするばかりだった。
そんな懺悔の気持ちで項垂れる彼女の視界の中に、きらきら輝く光の帯は今や ハッキリとした姿を表し始める。
『これは夢???』
それはフレイヤにとって意識がハッキリ覚醒した状態で、起きながら見る不思議な夢の中の光景だった。
遠く光輝くトーキョー湾岸の沿岸の夜景をバックにーーー流星だと思った正体。
「今夜は月夜だな」
「ホント綺麗ですね・・・・・・!!」
「そりゃな〜!
全身、レーザー拡散も狙った特殊カットの高級ダイヤモンド製だからな〜!!
美貌の白龍ちゃんは!」
子龍の言う通り、クリーチャー「白龍」の鱗は透き通っており城主が手を触れる滑らかな首筋以外。
全身全て戦闘用に研磨した、ジャパン某研究機関で製造されたこの国純正の最高難度技術〜特殊強化ダイヤモンド!!
ダイヤより硬質なダイヤと言わしめる、超高硬度ナノ多結晶ダイヤモンド製である。
ダイヤモンドの微粒子を より一層特殊技術で結合、強度を更に上限に上げた多結晶体故に、単結晶のダイヤの持つ致命的な弱点、劈開性〜
一方方向にガンッと衝撃で割れるという厄介な癖もないのだ。
但し、レーザーによる高温度結晶熔解、酸化蒸発が唯一の弱点で、これに対する防衛も巧に考えられている。
『なんてきれいーーーーー』
フレイヤはゴクッと言葉も無く息をのんで見惚れてしまう。
月夜の下で全身を燦然と輝かせ飛行する、その美しき奇跡のクリーチャーから片時も目が離せないのだ。
『信じられない!!』
月光を全身に煌々と眩しく浴び白銀の煌めきを放つ龍が、深い永久の仄暗い闇の中に悠々と体をうねらせ高速でヘリに寄り添い飛んでいる
その後急にいきなり、フイっと夜の闇から溶ける様に消えてしまい、フレイヤを残念がらせた。
後には輝く星の川のような夜景が前方に急接近して来るのが、眩くフレイヤの瞳に映ったのである。




