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脱出 ③

遡る事ーーー約1時間と少し前ーーー


信繁は樹海への護衛を済ませた直後に城主から執務室に1人呼び出され、その後、この様に告げられていた。

 


「たった今『親父さん達』から入った連絡よ?


ーーーーということだから。


信繁、フレイヤ王女様の靴、無粋な国防に変えさせてないわよね?」



「それは無いでしょうね?普通は」


「何と言っても〜不夜城謹製!『発信器付き』の特別製よ。


あぁ 妊婦さんにも影響の無い品だから安心してね?


全くーーートールも帰国にワープ航法だなんて!!

マタニティードレスのレディに対して、思いやりがなさ過ぎるわよね。


『影響が無い』ってロームルス閣下に 簡単に言われちゃったけど?

アレホントかしら??」


城主はブツブツ恨めしげに恨み言を並べた。


「嘘ついたらーーー閻魔様に 舌引っこ抜かれるでしょうね」



「ああそれダメ、だって『もう2〜3枚』

ーーーーきっと彼、『付いてる』から全然こたえないでしょうよ?


信繁、これが〜『受信機』よ、じゃぁ〜 がんばって!!



今回私も出動するから、で〜こちらの計画書はーーーー」



城主はニヤリと微笑むのだ


このように信繁は〜たった今『親父さん達』から入った連絡〜


『城』収監者からもたらされる緊急情報と、今後の計画案として、今回の暴漢の襲撃に関する暗殺計画の全容を知らされた。


完全防御システムを保持する『城』には 何人とも手出しが出来ない。


多国籍軍の駐屯する、しかもトール軍の精鋭が1万も待ち構えたスペースコロニーでは暗殺襲撃も不可能。


トール王宮内も既に、狼とあだ名される惑星トール軍・軍事参謀長官がくまなく目を光らせている。


ーーーーそう


元々『暗殺』の機会は、ネオアメリカ軍・ジャパン国防軍共同の手厚いガード下を離れ、フレイヤ王女がシャトルに乗り込むコロニーへ出発までの、ほんの僅かな時間しか チャンスが無かったのだ。




暴漢は 確実にこの機会を逃さず来るだろう。



その危惧を裏付ける、トール国内の某有力者が傭兵部隊と秘密裏に交わした、契約書の写し〜がどうした訳だか?


ジャパンにーーー何故か流出した事で 城主は即座に動く。


〜しかしあくまでジャパン内閣府その他が 全くあずかり知らぬ隠密的極秘救出計画である。


つまり何があっても「ノータッチ」


「こっちはしったこっちゃない」というスタンスである。


その非常に危険な極秘作戦に城主は、城きっての精鋭・信繁班を迷わず抜擢、投入した。



信繁は 実験機を駆り、城からヘリが絶対にレーダーに捕捉されないように、出来うる限りメインローターの限界ギリギリの高速飛行スピードで、かつ超低空飛行で飛ばせ続けた。



ヘリの高速飛行には回転翼機の性能上、宿命的に出せるスピードの限界値が存在する。


それを越えるとヘリは失速して墜落する。


構造としては例えばプールで水泳 自由形ーーー

クロールを泳いだ場合、手の掻く水の量及びスピードが均一では無いがこれとよく似た状況だ。


腕の捻れや水の摩擦、肉体的不可能など様々な理由があるが、これがメインローターで起きている。


前方へ勢いよく推進する部分になったプロペラ部分が入水したばかりの腕の掌。


掻かれた水流は後ろに流れ、腕は水中から飛び出し前へ回され、再び水の中へ、この順番繰り返し。


メインローターの前方が、入水ばかりの腕、強い推進力で体を前に押し出し浮かせる。


水から抜き去った腕ーーー水流のパワーが交錯した部分が、後ろ半分のメインローターの揚力〜浮く力となる。


回転しているから厳密には違うが、空気中の摩擦が激しく衝突〜激突し片方は浮く力が強く、もう片方は無しに近い。


ローター前後の間で 空気摩擦と揚力〜空中に浮かせるパワーバランスが違う。


結果、速度を出すように速く回せば回す程、機体はバランスを崩し不均衡アンバランスな状況に陥る。


プロペラを安定して回すには 相当な頑丈な回す機能・回転軸がいる。


スイマーで例えると、上腕の関節部分にあたる。


高速と超強力馬力を出すために、軍用ヘリはプロペラを大きくし、バランス良く安全に回すために、モンスターじみた強力エンジンを1機に付き1つでは無く2つも搭載する場合がある。


そうなれば巨大ローターだけで無く、エンジンの莫大な重量を支える為、他全てが巨大と言えるほど大型化。


構造上 どうしようもない事なのだ。



優秀なスイマーの肉体的故障の部分も 回転翼機はそっくりである。

 

高速で限界値ギリギリまで飛ばした場合、ペラと機体を繋ぐ軸にかかる負担が半端なくそこが壊れる。

 

毎度毎度検査と整備、修理が欠かせなく、当然莫大な経費〜ランニングコストがかかる。


オマケに機体は全く安くない。


壊れやすくて高額で手間暇等々、非常に維持にかかる構造体。


地球のどの政府も それについて問題になるが、回転翼機しか絶対に出来ない 目を見張る優れた素晴らしい性能が、固定翼機とは別に数多くあるのだ。


その為、しょうが無いーーーー


掛け替えのない 二つとない人命の方を取るか?

銭・カネを取るか?


そのどちらか、選択を選ぶ、二者択一なのである。


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