ハッピー バースディ ⑧
「信繁は、なんでそんなに詳しく知ってるの??」
フレイヤはウキウキしながら輝く瞳を向けると、謎解きの答えが返ってくる。
「それはですねぇ、親が、私達兄妹につけた国語の家庭教師が、勉強の課題として出したからです。
『貴方方も、7,7 〜7,7 〜7,7の構造の、3つの節での替え歌を作りなさい』
ーーーそう言って作らせたからです。
ぇえ確か、古来からジャパンに伝わる短歌、俳句という詩の勉強の変形バージョンだったかな?
短歌は5,7,5,7,7でーーー…
俳句は、5,7,5の数の季節感を入れた、文字数を当てはめる言葉遊びです。
で、私は、自分が作った作品は、すっかり忘れてしまいましたが。
妹はその時作った替え歌ソングを、家族のバースデイに必ず唄ってくれるようになったんです。
これが結構好評でーーーー
普段は我が儘で、ま〜生意気な妹でしたが。
この時だけは本当に、素晴らしい優しい天使でした」
フレイヤはキラキラ興味津々の瞳で信繁を見つめる
「信繁は今でもそれを覚えてる??」
「勿論です、祖父母も両親も、とても楽しみにしていました」
「じゃぁその歌!!
『星』のほうでなくてそっちが聞きたいわ!! 現在も歌える??」
「ええ……言ってみれば定番曲〜妹の持ち歌状態でしたからね。
当然〜覚えてますからしっかり歌えますよ?
ただし〜連邦英語でなくジャパンの言葉です、宜しいですか?」
「えぇ、翻訳機を通すから何も問題ないもの!
私、貴方の母国語でそらんじる唄が聞きたいわ?構わないかしら?」
「わかりました」
信繁はフッと照れたように優しく微笑み、フレイヤが普段使用している翻訳機を持ち出し コトンとベッドの彼女に渡す。
「でもーーー本当に眠って下さいよ? いいですね??」
耳に届く柔らかで甘やかな声
「!わかってるわ!!」
急いで寝具の中にバサッと潜り込む。
『どんな唄なんだろうーーーー??」
わくわくする期待で、胸が早鐘のようにドキドキときめいてしまう。
「ーーーでは行きます」
彼の優しい甘い歌声が再び始まる。
ふんわり蕩ける響きにーーーー堪らなく幸せを感じる
幸福でーーー満ち足りて、極上のーーーーそれは天国で
「♪〜きらきらひかる すてきなあなた〜
ぎんがのなかで いちばんきれい〜
わたしがすきな だいすきなひと〜」
〜翻訳機の力で総て内容は幸運にも理解出来た。
小さな女の子がいかにも作ったというカワイイ真心のこもったハッピーソング。
大好きな声に守られて直ぐに深く、フレイヤは安らかな寝息を立てた。
「お休みなさい、お姫様、私のーーーー王女様」
肩まで寝具の上掛けを そっと掛け、眠りに落ちた彼女を起こさないように食器類を回収、入口の自身の荷物と共に 静かに信繁は病室を後にする。
信繁は部屋の外の警護、医療スタッフに丁寧に会釈をし、その場を離れる。
信繁は誰もいない廊下で一人、かつて妹の持ち歌だった替え歌を小さく囁く。
♪〜綺羅綺羅光る 素敵な貴女
銀河の中で 1番綺麗
私が好きな 大好きな人ーーーー
私が好きなーーー大好きな人〜 ♪
大好きなーーー貴女・・・・・・




