↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

116/130

秘密の内緒話 ③

 

「えっとノブシゲは、こういう『漢字』って言う表記文字でネームを書きます。

どう?素敵でしょ?」

 

サラサラサラーーーっと、用意の金箔で、エンボス加工済みの高級ペーパーに澪花がペンで書く。


「!」

 

つい思わず、流麗なタッチにうっとり溜息を漏らす。


「先輩やっぱり字綺麗です〜……」

 

「そう?」


「知ってますよぅ〜! 子龍様に目をかけて貰って書道、習ってるでしょ?!

コソ練、狡い〜〜〜っっ!」


くっっっ!

ーーーでは最初は定番の『格好いい信繁様』です」


 

「……ふ〜ん」


「信繁様本人には、勿論!!ですが


~男性職員には絶対絶対〜〜〜……ぜぇったい!内緒ですよ?!」


2人はそう言って嬉しげにクスクス笑い合う。



その晩は夜遅くまで、皆で女子トークでワイワイ盛り上がった。

 


「私達 立場上〜馴れ合って良いのかなぁ?」


「勤務時間外だしーーーね。

それに患者様の『精神の安定』を目指してる訳だし、まぁ〜いいんじゃない?」


「モノは言い様ーーーですね、先輩」


可愛い後輩の返しに、結構な手腕の澪花はニコニコと微笑んだ。



「あっそれはダメ!」


「ーーーあんたよくもまあ、こんな映像撮れたわね、捕まるわよこれは流石に」


「あの〜〜〜上官のそれ、済みませんがーーー

私にも見せていただけませんでしょうか?」


「ナスチャそういえば今どこ?」


「ーーー『信繁班』に配属が決まりました」

 

「え!嘘ッ!」


「うわー大出世じゃないの!!」


「ええまぁ、女性の数少ない隊員だからって今夜も急遽特別配置になりました。

……『確かに男性だと夜間気を遣うかもな』ーーーってお試しで」

 

「へ〜〜〜」

 

「こういうの、見たこと無いの?」


「えぇ全然。

案外ーーー私達の中には回ってこないんです。

仲間はずれで寂しいですよ〜〜〜

羨ましい!!」


「ふぅん、でも毎日実物の本物が、好きなだけ見られてお喋り出来るんだもん。

そっちの方がいいでしょ?」


「そんな事ありません!!」

 

「あっっっ! だからそれはーーーーー!!

ドサクサ紛れに 止めて〜〜〜ヒィいいい〜先輩!!」


「だってアンタのパスワード単純だもーん。

持ち主と一緒で チョロいチョロい」



「うわ・・・・・・・・・・・」


「・・・・・・・・・」



「・・・・・・・・」



「大和撫子の方って、結構大胆なんですね」






「「「「 キャーーーーーーーッッッ!! 」」」」






フレイヤ王女は久しぶりに気分がスッキリし、深く深く安らかな眠りにつけたのだった。



悪阻も無く 珍しく気分も悪くない。



祖国を失って以来、本当にこんな楽しくてーーーー


幸せで満ち足りた夜が、自分に再び訪れるとは 思っても見なかった。



祖国の王家ーーー王都を滅ぼしたのは、今自分のお腹に宿っているベビーの父親の国なのだ。


あの華やかなパーティーの夜、私は彼の方と出会い、「貴女は私の初恋の方なのです」と告白され一緒にダンスを踊った。


いつもだったら適当に流していた事柄だったけれど、透き通るグリーンアイズで真剣な眼差しで見つめられて、抱きしめられて、魔法にかけられたみたく呼吸が止まってしまったのだ。


その後のことは全てが熱く朧げで、気がつけばいつの間にか二人で寝所で過ごしていた。


情熱的な甘い素晴らしい嵐が包み込み、沢山のキスの雨と愛の言葉をあび、天にも昇る夢心地で。


私が初めての体験だと知った時、ラファエル殿下は涙をポロポロ流しながらさらに優しく大切に、極上に甘やかし愛し抜いてくれた。


あの素晴らしい一夜の事は決して一生忘れないだろう。


けれども眩く夜が明けた時、私を優しく抱きしめて、「トールに今から一緒に妻として来てください」と、さも当たり前のように告げてきたから腹を立てた。


「私にも都合があるのに!」


その無神経さにカッと頭に血が上った気持ちの幼い私は、「それは出来ない」


〜その他にも、必死に忍んで私に会いに来てくれた彼の気持ちを踏み躙る、強い言葉をいつもの調子で必要以上に言い放ってしまった。


彼はそれでもじっと、黙って全部を聞いて、私の非難を受け止めてくれていたのに。


単純な私は表面上だけしか察せず、あろうことか客人の彼を一人部屋に残し、プンプン怒りながら立ち去ってしまったのだ。


ラファエル様の、軍部のお立場は大丈夫なのだろうか?

拷問とか、力ずくの尋問とか、私のせいで酷いことをされてはいないのだろうか?


もう私なんか全部忘れて、もっと大人しい優しい性格の綺麗なお姫様をお妃様にお迎えすればいいのに。


「初恋でした」と本気で切々と告白してくれた殿方に、散々酷いことをした薄情な女の事など忘れて仕舞えばいいのに。



ラファエル様は、それでも私の命を救おうと、ご自身の命まで差し出さんと今でも戦ってくれている。



私はーーーー彼にもぅ顔向けなんか出来ない酷い女だ。


公開処刑の方がずっと良かったのに。



 

フレイヤは夜は、悔しさと屈辱


……寂しさのあまり、1人声を漏らさず むせび泣くのが常だった。


母親と、彼女自身のきょうだい達とは衝突が多く、折り合いが悪く、余り上手くいっていなかった。


が〜しかしそれでも、いや、だからこそ。


王立宇宙軍・空挺の仕事に全生涯と誇りとアイデンティティーを注ぎ込み、人生を賭けていたのだ。

 


ここで たった1人なのだ

 

惨めで惨めで、勇敢に戦場に散ったーーーー仲間の後を追って

 

自分も死んでしまいたかった

 

どうして私だけが??


何で生きてるのか?



この世からーーーー消えてしまいたかった





城主は、この女子会を、病室に設置されたカメラで『気がついていた』〜〜が、全部綺麗に 見逃すことにした。



「こんな夜も たまには悪くないわね!」



自分で煎れた苦くて全然美味しくないミルクティーを眉を寄せ啜りながら、執務室デスクで 苦笑しつつ見守っていた。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。