秘密の内緒話 ①
信繁が去った後、目下フレイヤ王女は激怒り中である。
「何なのよ!! 一体!!」
完全に彼のペースにはまっていたのが、物凄くモヤモヤ悔しい〜〜〜〜!!
腹が立ちすぎて、気分の悪いのも有り難いことに何処かに吹っ飛んだ程だ。
『また来るのかしら……?
いいえ! 来るに決まってるんでしょうねっっ!』
くっつ……返す返すも腹が立つ!
確かに彼は〜上品で優しげな風貌をしていたが
〜〜〜〜〜っっ実は鼻持ちならない程の〜ッッ 嫌な奴〜〜〜〜ッ!!!
間違いなく相当の自信家だろうと、フレイヤは怒りがおさまらない。
でなければーーーーーー!!
あんな態度を 図々しく 自分に取るはずも 無い!!
それでも冷静になろうと、様々な事を考えた。
くぅううううう、取りあえずは圧倒的に情報量が少ない。
これでは上手くいくものも上手く行かないだろう。
ーーーー世の中 結局は情報戦だし?
『先ずは情報収集よね』
出来る事からコツコツと
あ〜〜〜〜返す返すも……!
虜囚である自分の手元に、ひとっつも電脳電子機器がないのが悔しい。
無くしてみてわかる、こう言うとき実に不便だ。
「あのぅーー済みません」
「??……何でしょうか?? フレイヤ王女様」
ーーーー仕方が無い、近くに居る職員に聞こう。
簡単な差し障りのない程度の経歴ならば、きっと教えてくれるに違いない。
「先程の背の高い職員の方、ご存じでしょうか?」
フレイヤ王女は先ほど入室した、謎めいた東洋人について、本気で調べてみようと思ったから。
出来るだけ甘い声で尋ねながらも、遠慮無く問いかける。
2名ペアで、彼女の病室で警護を行う特殊部隊隊員や、あるいは……
病室を管理総括する看護師(実働の2人組)に早速ストレートに、あからさまに聞いてみたのだ。
個人情報保護の観点で、実はそれ程期待はしていなかったが……
好奇心を満足させる為の、他に手段は無いと割り切った
余りにも退屈だったから、話し相手の確保もある。
ーーーー単純に暇つぶしがしたかった。
だから、ピピピッーーッ、自動翻訳機をセットオン!
これで外丈夫、言語的には何も問題が無い。
『でもーーー教えてくれる筈は無いわよね?』
実は〜それ程は期待していなかった
他人の、しかも城の職員の重要で大切な個人情報を無闇に口にはしないだろう。
ところが……!!
結果は、予想外の収穫。
「先程の背の高い、あの方って〜
あーーー……もしや、ノブシゲさんの事ですか?」
「〜瞳が少しブラウンの方?」
「あぁ、やっぱりっ王女様!!
ーーーーそうです!そうですっっ!彼に間違いないです!!」
ぱぁぁぁぁっと……突如喜々とーーーー
強い尊敬、輝く程の憧れを瞳に宿し興奮し、看護スタッフ組に至っては……
「キャーーーー!!」
それらの態度から考えると、どうやら「ノブシゲ」とやらはーーー
ここの施設内でも、”相当の人望のある有名人”らしいと察しがつく。
自分の見立てでは、かなり頭が切れる食えない男ーーー!!
という……
ただただ腹立たしい、ドンヨリ嫌なイメージだったのだが。
「貴方のお知り合いなの?」
水を向けると、若い警護の隊員はキッパリ強い眼差しで
「ノブシゲさんは 僕の生涯の目標です!」
〜迷い無く、筋骨隆々ーーーー
見事に肉体を体幹を、ビシッと鍛え上げた武官が言い切ったにはビックリだ。
「どうして?」 何で何で??
「それは……ですね?
彼は僕の『教官』なんですよ、武道の。
あの方に体術で勝てる人間は、自分が知る限りーーー
ちょっと見たことは無いですね?」
ーーーー彼だけで無かった。
その後……
数時間おきに病室警護担当になった隊員に、彼の思い出す限りの身体的特徴を並べ立てると異口同音ーーー皆似たような意見で。
「教え方も丁寧で、我慢強い方です」
「『城』切っての優秀な特殊部隊の班長さんです」
「彼の指揮する班員は 勇猛で頭脳派で有名です」
そして……
「彼には『シリュウ』という、懐刀っていうか、なんとも凄みのあるバディがいるんですが……彼等のコンビは無敵です!
皆何とかして、栄えある最強のメンバーに加えて欲しいとーーーー
願ってるんですが。
残念ながら、ノブシゲ班は、チームワークも抜群で結束力も固く、滅多に『空き』が出ないんですよ。
以前1人 家庭の、やむを得ない理由で『技術者枠』で欠員が出たんですが。
このーーーたった1枠を巡る、ポスト争奪戦は凄まじかったですよ。
『我こそは!!』〜〜と、応募総数が半端なかったって話ですね」
目を輝かせる、ぱっと見でも見るからに優秀そうな男達に、いけ好かないあの男!!
ノブシゲとやらが散々に褒めちぎられる状況にムッ!
フレイヤは面白くない物も感じたが、ほんの少しだけ…… 彼の事を見直した
男性の場合
『男が惚れる男』に悪い奴はいない〜というのは、彼女の故郷、惑星フレイも全く同じだったからである。
この事を様々なサンプルから経験的に知っていた。
では彼の女性関係はどうだろう?
「あそこまで褒めちぎられる男性が、綺麗で野心的な女性にほっとかれる筈 無いし?」
こちらも体験的に……!
「〜ある程度の深いおつきあいの関係の、『パートナー』との別れ際が好ましくない、かんばしくない男性に、碌な男はいない」
フレイヤ王女は「少しお尋ねしても良いかしら?」
「?? ……どうぞ??』
”こう言う事”は女性の方が詳しいだろう。
男連中はーーーどうしても同性を何でか庇うのである。
そう言う偏った意見は要らない。
親しくなった看護師スタッフに、さり気なく水を向けてみた
サァどう答えるかしらーーー?
ーーーーこれも半生〜
男性社会でドップリ生きてきた彼女にとっては、いわば哲学とも言える絶対的な思想だった
「「ーーー」」
ーーーーあれれ? おかしいーー
2人ともポカンと顔を見合わせている




