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雅の考察 ③

雅はフーーーっと息を吐く


「ラファエル殿下の心情は状況証拠で推察するしかないんですが。


長年一途に恋していたからこそ、性質を理解していたと思います。


ええ、王女様の気質を考えると、戦端の第一線に自ら出るのなんてわかりきってた。


それに『新人』ですもん。

幾ら王家の人間でも、下っ端の扱いなんか知れた物。


それに”常勝軍”のーーーー

 

銀河最高と自負する自分達の宇宙艦隊の実力がどんな物かを考えれば〜

『彼女の運命』がこの先どうなるか?だなんて


そりゃー恋する青年としては、考えたくも無かったでしょう。


だから、なんとか、『彼女だけでも助けよう』と必死だったんだろうと。


フレイヤ王女様お1人だけならば、しかも自分の”妻”という立場になれば〜


『きっと何とかなる』ーーー!!


いちるの祈るような 泣きそうなお気持ちで、必死で様々考えを巡らせたんだと考えられるんです。


ーーーその為の”お忍び”です。

 

周囲の、軍中枢の年長の大人達が、密やかな自分の思惑に気がつかぬ内に先手を打てば、確かに勝機はありました。


もしも軍幹部連を出し抜く形で『既成事実』を作る、結べばーーーーー

 

周囲も『まぁしょうが無いなぁ』と、そんなに好きなんだったら〜って納得するんじゃないかと?


ええーーーー!

結構冷静に判断して それ位は考えていた筈です」


「かもな」 信繁も納得の表情を浮かべる。


子龍はウンウンと頷く

「そりゃーあり得る話だ」


 

「しかし手段・策、言い分としては確かに『正しい』が、何だか姑息で嫌な考えだな。

女性を罠にはめたようで聞き捨てならない話だ」


信繁は腕組みし、険しい顔でムッツリと答える。

 


「それに王子様は〜きっと何処かで。

自分の苦しくも、自らを成長させてくれた初恋を、一旦終了っていうか?


『女神様』に直接会って恋心、思い悩む意識に区切りをつけたい気分もあったと思うんです〜絶対

 

ーーーー無意識的に。


頑張ったご褒美のトロフィーを得たいって言うか?

それに近い ”男の欲”です


だからーーー


だから


案外冷静に彼女に再会した時、暴走。

 

感情の歯止めが利かなくなるだなんてホント


ーーーー彼だって、想定外だったと思います」



「何が?」

〜ちょっと聞いていてムカツク、腹立たしい「雅案」に、アナスタシアが不満げに鼻を鳴らす。

彼女は卑怯な裏工作が嫌いなのである。


ロマンティックでカワイイ物が人一倍大好きの彼女には、どうにも許せない話だった。

同時に正義感も強いのだ。



「これが、普段のフレイヤ王女様のご様子です。

ラファエル殿下は、これは当然ご存じかと。


その野生美……が逆に好感が持て、特に好ましかったと考えられます。


例えるならば、野に咲くワイルドフラワー

ムーアの丘に咲くヒースの花 

〜和名エリカのような、荒削りな素朴な輝き。


僕なんかは大好きです」


 

雅はそういいつつ、ピピッと新たなホログラム映像を中空に投影。


見事に美しい長い髪を無造作に〜

惜しみなくザックリ、頸の後ろで縛り、清潔な洗いざらしのTシャツ〜

 

サッと軽く羽織った、フライトジャケット。

 

飾らないからこその瑞々しい、野性的な零れんばかりの若さと美しさがそこにあった。

 

「!!…ーーーぇ 可愛いじゃないですか……!」


「素材いいですねぇ…〜〜…」

 

「そりゃ もてただろ?」


「ですよねぇ〜なんなんでしょうね、素朴の中にすら耀く華のある美しさは!」


「他国の王子様に見事かっさらわれるまで周囲の野郎ども 一体全体何やってたんだ?


これは電脳で大量生産大量消費されまくりのファクトリー美女ではなくって。

掛け値無しの、本物の天然物の絶世の美少女だろ??


っったくマジで見る眼がねーーーーわっっ!」



雅はフイッと顔を上げる。

奇妙で平穏で……眼には不思議な表情を浮かべていた。



「ーーーで……これが ”就任パーティー当日”


滅多にない〜というか


本気で『パーティー嫌い』な為に なかなか見られない、フレイヤ王女様の


『ドレスアップの』お姿ですーーーーー


『これを見れ』……ば


皆さんも全部、納得出来ますよ?

 


あの日『どうして』


『だから』


『どうなった』ーーーーのか?


……ラファエル王子様の真面目な、衝撃を受けたお気持ちが」


雅はピッ!と 新たな映像を引っ張り出した。



「電脳ジャーナル記者の配信記事に、正規に公式アップされたものです。


是非僕に見た結果〜


”感想を” お聞かせ下さい」



今度は意外にも小型では無い『等身大の姿』

 

”部屋の中央”

 

床に被写体主がスラリと立つ設定で、大きく鮮やかに浮かぶ


途端、喧しい部屋中の声がピタリと止んだ。





ーーーーーーーー静寂ーーーーーーーー




暫くは誰も


1人も口を利くものは居なかった。



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