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雅の考察 ①

雅は忙しく検索と解析を見せ始める



「どんな感じだ?」


「んーーー信繁さん。

ラファエル殿下は、まぁ普通の ”女子に優しいエレガントなオトコノコ” ですね。


〜ルックスも、まるでイタリアルネッサンス絵画から抜け出たような巻き毛で金髪、グリーンのエメラルドみたいな瞳の綺麗な好青年です。


殿下が、”癒やしの大天使様”ーーーって言われるのも納得です」


「そうだな」


「あの星トールは『恋愛大国』でも有名でしょ?


いつ戦死するかわかんないからしょうが無いんですが、未亡人救済システムから『一夫多妻制』ですし?


資料でもありますが、ラファエル殿下は父親の大王だけでなくって、伊達男で有名な宇宙艦隊総司令のお気に入りでもあります。


ーーーつまり、かなり柔らかい思考

奔放な恋に対して批判的でない、柔軟な見識を持ってるって事でしょう?


でなければ大人達の自堕落さにムカついて、腹が立って副官なんか務まらないし?


潔癖すぎて ”一々突っかかるのはメンドクサイ”


ピッタリ付く側付き要員として、まず御側に選出されないでしょうね。


だって『王子だなんて腐る程居る』んですよ?


ですよね? ”換えなんか幾らでもある”


ーーーーなのに特別に可愛がられている。


彼名付け親でもありますが、ラファエル殿下だけが特別扱いされる本当の理由は、大王陛下お気に入りというのもそのへんかなっと。


だけど……不思議なのは、そんな事が察せられるのに、勉学や訓練に非常に真面目で、随分しっかり取り組む姿です。


彼ああ見えてーーーー


頭カラッカラの、昼夜問わず馬鹿見たく遊び惚けてそうな、超〜派手な見かけによらず学生時代の成績、どの教科も優秀なんです。

 

トップテンには必ず入ってました。

ちょっと見直しますよ?


それに、彼自身の身辺は綺麗なもので、只の一人も、恋人どころか寵姫の1人も居ません。


これって変です……はっきり言って異常!!」


「そんなことないだろ?」信繁はウ〜〜ンと悩ましく首を傾げる。


 

「……『勉強と仕事が恋人』ですか?


直感的にですが、彼はハッキリ違うと思います」


 

雅は再びタッチパネルに向かい指を忙しく動かし始める


「で……僕

『最初っからなのか?』

『元々天才肌なのか?』


ーーーって、ソッチも調べてみたんです。


たいして何もしなくても〜っ、て充分考えられるし?

 

別に有り得ない話でもありません。


でも……違いました。

彼の素晴らしい好成績は、相当恵まれた立場で有りながら、更に上を目指して将来を見越し鍛錬する、一にも二にも努力の賜、結晶なんです。


『何故?』

『その動機は?』


僕はそう思うんです

何かどうしても叶えたい望みがあったから、辛い様々な事に頑張れた。


『それって何?』


いつから頑張ったのかな〜?って深掘りしてみたところ、ハッキリ激変した時期がありました」


「それっていつの事だ?雅」


子龍の問いに雅はくるんと振り返って真面目な声色を出す。



「11歳、ジャパンでは小学校5年〜6年の頃です。


いわゆる思春期の入り口の反抗期〜だったんだろうと思うんですが、まぁ通過儀礼だから仕方有りません。


で僕、その時期に意識を揺るがした『何かがあった』と、つついてみたんです。


すると、息子の暴れっぷりに手を焼いた大人達が、まるで ”追い出すように”


文化都市で名高い惑星フレイに、短期の視察旅行に行かせてます。


で、取り出した”検索映像”がこれです。

今すぐ大きく出しますからしっかり見て下さい」



雅はそう言うと、元は小さな電脳ジャーナルのベタ記事からと思われるホログラム映像を、ガーーッと大きく引き延ばして中空に投影する。


目一杯、これ以上拡張すると画像が乱れる一歩手前まで大胆に拡大を掛ける。


 

「動画はないのか?」


「そんなもの無いです。

だって高々、11歳の末っ子王子ですよ?


カワイイカワイイで、ルックスだけがアイドル的に ”大フィーバー”


だからまだこうして消されず、小さくても当時の資料が奇跡的にあったんです。


他王子は全然、もっとゴミみたいな扱いで、一切そんな事ないですもん?


ほらここ!!

殿下を見るんで無くって、周囲こそ注目して下さい。


チラッと隅に見えるこの一団、これは衿バッジから学内自治会みたいな役目の生徒

 

で〜 ”2種類付けてる子ども” は、学内主席の最優秀の生徒です」

 

 

「何だよそれ!」

 

「ケッ…嫌な制度だな」

 

「だよな〜〜〜〜!」


皆口々に盛大なブーイングをする。


「ーーーーそんな事もわかるのか?」


「ええ ”そう言う生徒” が元々自治会組織に呼ばれてますから。

 

生徒会でしたら僕も経験者ですーーーいい思い出は無いですが」


 

「俺が雅と出会ったのも ”生徒会がらみ” だろ?」



信繁がフフッと優しく笑う

 

「ーーーそうでしたね、いじめ事件で信繁さんに助けていただきました。

そうでなければ僕、自ら死んでいたと思います」


一呼吸置き 悲しげな貌で雅も微笑んだ


「人生色々あるさ、会えてうれしかったよ」


ポンポンと信繁は雅の肩を柔らかく愛おしげにタップする。



そんな雅が見せた静止映像は、どこかの学園の式典の様子だった。


「これは王立宇宙軍の幼年学校です。

ここから更に優等な成績を得たものが選抜され、指揮官やエンジニアを教育する専門教育過程に移ります。


ここに写ってるのは男女4人。

一回り大きな年長っぽいカップルと、その下らしき年齢の2人組。

 

で、片方の子どもの制服の衿には、2つバッジが付いてるでしょ?


ついている子どもは『手ぶら』

で……ほら、そうでない子は綺麗な花束を各各抱えてます。


つまり ”何でか?” っていうと、この子達は王子様に歓迎の祝辞を述べるのがお役目なんです。


これぐらいの年格好では、花束も渡して同時に祝辞〜だなんていう役割

 

”役割分担”は絶対にしません。


本当は1人で出来る仕事も、敢えて二分割する、2人で分け合ってする


ーーーそういうものですから」


「だな…」


「え〜〜〜?何で何で?どうしてそんな手間をかけるの?」


「あ〜〜〜〜めんどくせ〜っっ!」


「それは〜 ナスチャ?『独り占めは狡い!』

生徒の父兄から、猛烈なクレームの猛攻が来るからです。


ですから学校側も頭を捻り、そつなくまんべんなく目が行き届いている事のアピールもかねるんです。


目立つ晴れがましい美味しい役〜

挨拶関連は必ず男女ペアの複数、もしくはそれ以上で皆で一言づつ。


これも男児の親から『逆差別だ!』

女子ばかり狡いって、同じく物言いが出る可能性があるからです。


バッジ付の大きい方の子は『男の子』

 

この時選抜されたのは、だから学校側としても願ったり叶ったり〜

さぞや丁度良かったことでしょう。


で、この隅に隠れて、多分偶然、退屈そうに余所を向いている子ども。


”バッジ2個付き” の、一際小柄の、手ぶらのこの子です。


ーーーー皆さん気がつきませんか?」


雅は言葉を切り、狭い部屋に詰める皆の顔を順々に見渡した。



「……え?」

 

「ーーーアレレ?」


「これひょっとして……!」


「そういう事か」


「ええ、今と髪型が違う、スーパーロングヘアですし?


人垣に埋もれちゃうみたいに、うんと小柄で可愛いでしょ?

〜スッゴくキュート!!


そう〜これは ”フレイヤ王女様”、御年11歳の頃のお姿です。


ろくにキラッキラの殿下を見てないからどうやら、どうも全く関心が無さそうですね。


反面ラファエル殿下はポーッと、全く視線外してないけどさ」


 

子龍がボソッと呟く


「つまり、こう言う事だろ? 雅?


”島流し”で ドンブラコッコと流されたその先で、”鬼ヶ島” ならぬ惑星フレイで桃太郎〜


ーーーーじゃねーな?この場合。

一寸法師様は世にも美しい乙姫様、眩い成績優秀なお姫様に出会ってしまった。


反抗期で、現在大人に子どもっぽく跳ねっ返るばっかりの卑小な自分なんぞ足下にも及ばない、到底敵わない高嶺の花。


一目会ったその時に、彼は生涯初めての熱烈な恋をした。


一寸法師は不甲斐ない、しけた自分にやるせなく思って以後死ぬほど頑張ろうと心に誓い、いつかお姫様に再会する事を恋願う。


何とか好きですって『告白し』

ーーーあわよくば娶ろうと……!


それからは心を入れ替え乙姫様と、晴れて ”めおと” になる事だけを目標


『まるで人が変わったみたい!!』


『どうせ三日坊主さ!』


以来、周囲がビックリ仰天する程、真面目に勉学や訓練に勤しんだ。


一寸法師もお年頃になり、何だかんだと言い寄る姫には事欠かなかったが全然心が動かなかった。


彼が想いを遂げたいのは、あくまでも大切に心の中に住むたった一人の乙姫様だけ。


更に更に、遮二無二頑張って、とうとう素晴らしい美丈夫の賢き青年にと成長した。


『生まれが高貴な王子だからじゃない!』


必死に積み重ねた努力、実力で、同年齢としては最高位に近いポジションまで晴れがましく『大出世もした』


ーーーーそんな感じか?雅?


その先は ”現代版一寸法師” はどうなる??」



子龍はニヤッと笑い先を促す。

 


「オイ子龍、そのへんにしとけ」


「へーーいへい」

 

コフッと信繁は咳払いをする。


「つまり、ラファエル殿下は10年近く。

ひたすらフレイヤ王女様に憧れて生活を厳しく律し、頑張ってこられたというのか?」

 

雅は信繁の、フーーーッと胸一杯の息を吐き溜息をつく、困ったような問いにフフッと切なげに笑う。


 

「えぇ 多分そうかと。

心から愛した女性の前にせめて『わーすてきっ!』って言われるような、格好いい自分でありたかったんでしょう。


ロマン〜純情ですよね?

派手な外見にかかわらず頑固で根性もあるし、手近な恋に流れない意志の強さに僕凄い!と感動すら覚えます。


無責任で浮ついた方じゃないようです。

恋する人は強いですね。


トール在住の人々、そういうところ、かの国民はホントよく見てますよ?

 

どなたにも優しくって、ちゃんとしたお綺麗な方だって。


他の浮気ばっか繰り広げる、お妃様だらけの浮気者のご兄弟とは全然違う!!


そんな推しの王子様が、初めて熱愛している姫〜と言うことで。


だからこそーーーー


『何とかしてあげようよ?』

 

『可哀相でしょ?』


トール国内の世論も大きく動いたようですね。

 

悲恋の国と国

大人の思惑に翻弄されてしまった、板挟みの『ロミオとジュリエット』


こんな清らかなロマンスなんか、滅多にありません。


”恋には国境も無い” 〜でしょ?


女性からの支持が凄いんです。

 

そんな国民お気に入りの王子様が ”唯一1人ーーーー


王国の後継者を、愛する人との間にもしも設け、ベビーを成したという事になればもれなく間違いなく国をあげて大フィーバー


もはや彼の、ラファエル殿下の影響力は政治的に確定でしょ?


『アイツ上手いことやりやがった!!』


チッッ…!

面白くないご兄弟姉妹、いっぱい居るでしょうね」



「お前の仮定ではいつ?どういう状況で恋愛関係に2人が恋に落ちたと思ってるんだ?


下世話だが関係が成立ーーーしなけりゃ妊娠はしない」



「まず順を追って、わかりやすいように時系列を追って今から話します。


ちょっとばかり複雑な経緯をはらみますので待ってて下さいね?


まずーーーですが、感情的に王子様は嬉しかったでしょうね。

御自分がトール軍宇宙艦隊総司令の副官に任命された時。


これで大手を振って、堂々愛する人の元に出掛ける事が出来る。


”条件的には”、優等生の彼女に対し、決して見劣りしないでしょ?


ところが、栄えある副官の職について、とある重大な機密情報を知ってしまいます。


あぁ大変な事になったと、絶対に青ざめた事でしょう。


ええ

自分の国と彼女の国が一種触発の、実は”開戦一歩手前” だと言う事。


戦争に向けて着々と、その準備をしている事を、最重要軍事機密を職務上知ってしまう。


そんな折、心から愛するフレイヤ姫が、新人艦長として新造艦艦長に任命。

 

この彼女の艦長就任パーティーが惑星フレイ・父王の主催で開かれることを知ります。


ーーーーこの先は言うまでも無い事です、密かに彼は作戦を立てました」



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