信繁班の作戦会議 ③
「僕ちょっと調べてみます。
理由ーーーーっていうか?
本当は実際、何があったのかある程度、わかるかもしれません
信繁さん、データもっと無いですか?」
急にそう言いだしたのは、「城」の誇るとんでもない解析能力を備えるコンピューター前に未だ陣取った雅だ。
「「「 ? 」」」
「どういう事だ?」
??〜の表情の信繁に、雅はニコッと天使の笑みを浮かべる。
ざわつく部屋内
「フレイヤ王女様、今『何週目』ですか?
アァ、妊娠中の場合のカレンダーの数え方は通常とは違います。
計算方法は必ず28、28日周期でですよ?」
雅は平然とタッチパネル上、素速く指を動かす
「雅……!
お前男なのにどうしてそんな事知ってんの?」
「わかったっ!さては年上の隠し恋人がいるんだろ?!」
「お前〜 でも産婦人科医じゃないだろ?」
そーだそーだという大合唱の他の男性班員に対し、雅はプイッと鼻を鳴らす。
「そりゃ〜僕んち実家家業が幼児教育の一翼を担う、まぁまぁ大手の教育産業営んでるからですって!
おまけに姉やら妹やらーーー多数の、言葉は悪いですが、”臨床例”最前線
〜日々散々見聞きしてるんですもんッッ、ホント女系家族なんです!!
でオトコノコとして、大切に守っていく為に、知ってて当然って言うか?
逆に知らない方が無責任って言うか、まぁそんなところ〜」
「ふ〜ん、そりゃ凄い、大変だなーーーーっっ」子龍が思わず言葉を洩らす。
「でも……いいですね?そこそこ覚悟しておいて下さい。
少し、いいえかなり、エグイ事を仕方なくお聞かせするかも知れませんから」
雅は済まなさそうに、悲しげな貌でシュンとするのだが、しかし高速でテキパキ動かす手を止めず、その後は案外ハッキリした声色で話し始める。
「今の銀河法の1部の最大保健機関の前身は WHO……世界保健機関と言ったそうです。
で当時、今現在僕らの暮らす世界の、”銀河連邦”みたいな役割の国際連合。
ーーー略して『国連』。
〜国際連合憲章第57条条項の範囲内での専門機関として設立する〜って憲章前文で。
WHO憲章がハッキリ各国代表、61ヵ国に現ネオアメリカニューヨークで署名されました。
1948年4月の第1週最終日、4月7日から効力が発生。
まだ”日本”と名乗っていたジャパンで。
れっきとした国際間の条約、国と国との間で交わす重大な条約として公布したのはそれから遅れる事少々の3年後・1951年6月26日です。
まず憲章を、ビックリしないよう条約第1号として ”幸福であれ”
全国の人々の、今度こその健康と、平和の祈りをこめ、そうしました。
で前置きが大変長くなりましたがーーー
このWHOで定める”妊娠週数”で、女性が妊娠がわかった後の、最後の生理日開始日を ”0日”。
生理2日目を ”1日”
で……
トータル6日間を、妊娠0週。
”7日目” は
でーーーー……妊娠0週
”7日目”
7日目以降の、その後のどこかの日に ”性交渉を行い”
排卵した卵子、どうも卵へ受精したらしいから、そこで初めて、妊娠1週と書類上は数えるんです。
7,8,9,10,11,12,13日ーーー
新たなる日々の連なりで ”プラス7日”
どうしてこう考えるって言うとチャンとした理由があって。
男性のスペルマ〜
これは多くの欧州の言語でザーメン、ジャパンの言葉では、精液。
男性の分泌液に生存する精子って言うのは結局、彼等って案外しぶとく長命、長生きなんです。
結構知られていない事なんですが、精子の女性の体内で生存期間は、WHOの定め〜仮定ではおよそ72時間
つまり3日
しかも長い長期の場合は7日間、これは、”だからの日数”です。
14日目に当たる日、受精成立で漸く ”妊娠2週”
ここでまた14日目を、0日
1,2,3,4,5,
そして6日
20日目に当たる、妊娠2週最終日
この日を着床、ここで、妊娠が成立したと考えて妊娠3週
〜21,22,23,で、24日目。
〜間違い有りません、おめでとうございます、なのです。
hCGホルモン
女性の体内に妊娠検査薬が反応する、特殊なホルモンがこの頃から少しずつ出始めるので目印にしているのです。
3週ラストの ”3日” を足して24+3=27
トータル、27日。
これが妊娠1ヶ月の内訳です。
僕が思うに……男性の性器がああした独創的形状なのは、別に男性的快楽中心の為じゃないんだと思ってます。
しぶとく〜精子はジッと忍者みたく潜んで、お嫁さん
〜卵子の到来を待ち構えて、3日も生きてるわけですから『そうはさせじ!』
自分以外、胎内に居るかも知れないライバル遺伝子を蹴散らし、圧迫して排出させる為。
もしくは自分自身の劣化したパーツ、スペルマをより条件の整う素晴らしい鮮度と品質の良い物に入れ替えて、どうぞ!って、愛する女性に提供する為。
だってだってそうすれば、健康で強く逞しく生まれる赤ちゃん!
望んでも出産が上手く行かない事も激減、愛した人の心と体の負担が大幅に減ることになるし、気が狂いそうな辛い目にもあわないですむ訳です。
男性が愛の行為を行う女性の胎内を、自分が内側からユルユルマッサージし。
排卵直前の良好な卵子を柔らかく揺すって卵巣、卵管から出るように柔らかな刺激を促して。
お互い最も条件の良い状態で幸福にマッチングさせる。
これにより将来の赤ちゃんのベッドである子宮も、トロットロに愛される事で、フッカフカに柔らかく充血し着床しやすいよう厚みが出るそうなんです。
僕ーーーへ……って思いました。
産婦人科の専門家の人達から説明を姉の傍で聞いていて、何だか胸がいっぱいになりました。
別に嫌らしい快楽オンリーで淫らに見える、ああした行為をしてるんじゃないんです。
女性を大切に、将来きっと大切に愛そうと思いました。
レディは体を張って、本当に命がけで子孫を残すんです、男なんか足下にも及びません。
その度胸において、人類創世の遺伝子が合理的にプログラミングして、何とか強い遺伝子を持つ子孫を必死で残そうと考えた。
例え自分、母体は出産時に死んでしまったとしても……そういう事なんです。
信繁さん、フレイヤ王女様は推定何週かは、わかってないんですね?
それから、いつーーー
相手国トールの王子様と愛を交わし、夜を共にしたかも記録には無いですね。
ヒントとかはーー……
このエコーの映像と、状況証拠だけですか?」
「あぁ、悪い雅、先方も王女様も未だ告白はしてくれていない。
だから、おおよその現状の見た目からの、予定日しかわからない」
「ちなみにいつですか?」
「この様子では地球時間の12月に入った、直ぐあたり〜じゃないかって事だ。
元々生理不順だったとは、城主に王女様は言っていたそうだ」
「フーーーン……」
雅は数多の画像を検索しながら考え深そうな顔を見せる。
ーーーと急に、表情がポンッとうつろ、ぼーーっ……無表情に変化する。
あれ程喧しく、正解を得ようと動き回っていた大きな手の、細い指先が織りなす素早い動きもピタッーッと止まる。
『来るか!』 信繁はゾクッと身構え震える。
「どうも、憑依、雅 ”来た”ようだな……」
「ああ子龍」
子龍の仄暗い笑みの問いかけに信繁も頷く。
雅の精神が究極に研ぎ澄まされて、意識が一点に集中する様。
そんな時の雅は目を見開き、瞼は瞬きもせず、まるで空っぽのがらんどうの抜け殻のような無防備な表情を晒す。
ーーーー 一種のトランス状態が到来するのだ
皆息を止めて。
狭い場所にギュウギュウ詰める部屋中の人間は、異様な過集中の光景を伺う。
「〜まず最初に、ラファエル殿下のプロファイリングから始めます」
魔法が解けたかに、「声」は不意に始まった。
雅の声も眼も通常に近く、ほぼ元に戻っている。
『開始……か』
信繁は心の中で呟く




