↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

103/133

聖王の証という名の瞳


資料によるとフレイ王家、国王は戦死。

他は一族全員、激しい王宮総攻撃の戦火の中で死亡。



第5王女フレイヤ姫は王家である家族と近しい親類縁者の中、生き残った最後の唯一の1人。



そして姫は尚も「特別」ーーーーーーー!

 

いいや……

この世に生を受けた瞬間、王家末子に産まれた事が既に特権階級だが、それすらを飛び越え、唯一無二 


”特殊な立ち位置”〜であった。



フレイヤ王女の瞳は本当に美しい。


この色彩はフレイ王家、直系血族に起こる独特の遺伝である。


国民には「聖王の証」と敬愛を込めて崇拝、語られている色調だ。


資料映像を見た瞬間……「成る程、これがそうか」、信繁すら感動した程。


 

7色の瞳ーーーー

「聖王の証」という名の虹彩を、フレイヤ王女は自身の目に持っている。



時間や環境の違いでクルクル、総ての色彩が出現するという幻想的な雰囲気の眼差し、その該当の瞳をしている事。



仄かなヴァイオレット


グリーン


輝くグレー


ブルー


コニャック色ーーー


ヘーゼル〜


ーーーー人間の目の色彩に、こんな事があり得るのか?


もはや凄いとしか言いようが無い。


資料ですらこれほど美しいのに、近くで見つめた場合の本物はもっと凄まじいと追記である。


どんな人間も引き込まれ、誰しも瞬時に恋する美しく、幻想的、特別な眼。


”聖王の証”の持ち主〜惑星フレイの伝承、語り続けられたメシア伝説。


王家及び惑星の危機的状況になる際に必ず降臨、星を守るという伝説的聖王が居るのだという。


ーーーかの星惑星フレイへ

 

移住を計画、広大な銀河を旅し苦労して入植、”銀河法で認定される正規の国家”を打ち立てる事に成功した、初代国王。

 

国家創世の立役者である「彼」が、この7色の瞳の持ち主だった。



資料にもある「7色の瞳」、これは由緒正しき血脈の誇りの体現だ。


過去の持ち主としては、惑星フレイには近くではふたり居た。


それは亡くなられた国王の”父親”ーーー姫の祖父に当たる人物。


もう一人はというと、現国王と血の繋がる、”実の弟”、王弟殿下。


しかし遠い昔、ざっと20年近く前に、いやもう少し前?、辺境の反乱鎮圧に出兵し命を落としてしまった。


〜フレイヤ姫にとっては、父親の弟〜叔父に当たる人物がそうだ。


最も近しい血縁者では、この二人とも「聖王の証」と褒めそやされる七色の瞳の持ち主。

また彼等は容姿的にも共通項が多くあり、アポロンに似た輝く金髪に白い肌だったという。


神秘的な、たぐいまれに美しい姿形。

 

「国を造った英雄」と同じ色目の眼差しをした彼らは、国民に凄まじい人気があったと資料のうんと端に申し訳程度な記載がある。



「しかしーーー?

 

亡くなられた国王と王妃〜

フレイヤ姫の両親、兄弟姉妹達、皆、データによると容姿の見かけが全然違うよな?」


ーーー特に瞳の色が。



信繁はしばし考え込む

 

『どういう事だ?』


添付の資料によれば父親の目は濃い、ハッキリしたブラウン、母親である王妃も似た感じで、それだけでなく。姫の兄弟姉妹全員、全く同じ色味の茶系だ。


姫はおそらく遺伝子の悪戯、”隔世遺伝”なのだろう。


映像ではフレイヤ王女の髪の色彩も明るい亜麻色。

こちらも何と綺麗な色なんだと、つい惚れ惚れと映像を見てしまう。


つまり遺伝子学的に言う所の ”劣性遺伝” を、姫はモロに引き継いでいるのである。


 

遺伝学上ーーーー

例えば薄青の瞳、アイスブルーの瞳の母親と、ブラウンの父親のカップリングからは、明るいブラウンの瞳の子どもが。


〜もしくは、グラディエーションの目を持つ子どもが誕生するケースが多い。


淡い色合いの瞳というのは黒色系を造るメラニンが少ないからである。

色素の粒も小さい。


これは自分達兄妹がそうなだけに、体験的に強く納得、理解出来る。


信繁の今は亡き妹は、遺伝子学的にメラニンそのものが欠損した状態で誕生、単純には”アルビノ”と括られる。

 

金色の髪、薄いパープルの瞳。


個人差があるが、彼女の場合、紫外線に少しでも当たるとあっという間に皮膚が腫れて大変な事態になった。


眼を紫外線から99.9%カバーするサングラスと、全日、光をブロックする薬剤を塗布、特殊な仕様の長袖の洋服が欠かせない不自由な生活を送っていた。


「だから何とかならないか?」

 

改善を目指し、遺伝については個人的に、かなり掘り下げて必死に研究をした。



信繁は思う。


『今現在、彼女の宿す、これから生まれてくるベビーも資質として同一の瞳を持つ可能性が極めて高いだろうな』


〜というのも、夫とされるラファエル殿下も巻き毛のブロンドで、しかもトールではかなり珍しいとされる輝くグリーンの瞳の持ち主だ。


”滅多にない”ーーーという事実は、とりもなおさず遺伝子学上、劣性遺伝という証明だ。


共にそうした彼等が子をなしたら、生まれる以前に容姿は概ね、既に決まったも同然だろう。


が、もしも遺伝学上強いタイプと劣性遺伝とされる弱い者、2者が結ばれた場合、こういうケースでは弱い遺伝子は淘汰される。

 


ーーーでは一体、どういう事なんだろうかーーー?


 

両親とも瞳に濃いメラニンを持つ者が結ばれて、話に聞く姫の祖父や王弟殿下のような瞳と。


金で無いにせよ、淡く耀く亜麻色に似た髪質を持つ子どもが、現実実際に生まれてくる事はあるのか?



ーーーーー”確率的に” 限りなく低いのを、信繁は自身で学んだ座学により知っている。



誕生した直後は金髪で、透き通る瞳でも、成長後、産み育てた実親ソックリに似てゆくのだ。


そんな風に体内の遺伝子は内包するパワーの強いものに合わせて変貌、見た目がガラリと変化する場合が多い。


つまりーーー彼女の様に。

子どもの頃の特徴、容姿を保ち続けることは先ず無い。



あくまでも仮定の話だが、フレイヤ王女の産むベビーが同一の奇跡の色彩の持ち主となれば、どうなる?


きっとその件に関しても、様々な議論が既になされ、次弾を計画されている。


だからこその「戻ってこい」

ーーーー政治的、そう言う意味も含むに決まっている。



占領地〜フレイ国民もこうなったら、如何に強硬反対派と言えど、最早トールの直轄領とする統治に反対しきる事は無理だろう。

 

だって”理由を失う”のだ。


「仮に」ーーーーこういう事が考えられる。


かの銀河1の軍事大国〜

自らを滅ぼした憎い強国とされる国に、自分達の心の拠り所、誇りであった救世主が突如君臨、実権を握る。


内側から、言葉は悪いが「乗っ取る」

創始者直系、聖王の血を入れられる最大のチャンス到来なのだ。


結果、そういう下心が嫌らしいまでにあれば、黙らざるを得なくなるだろう。


そうなれば超現実的トール側政府も

「メランコリックで朧気な伝説など、そんなくだらない妄想など、この際だから大いに利用する」に一択。


想像するだに面倒な占領後の統治も、反抗すら無く容易く思い通りに進行するだろう。

自分達の尊きムダな血をイタズラに流す事無く、また今後反乱対策の巨額な軍事費、延々とランニングコストもかからない事が約束されるのだ。


おそらく「聖王の証の瞳なんぞ下らない世迷い言、迷信でしかないのに?!」


迷信だと馬鹿にし、ニヤニヤほくそ笑む事だろう。


ーーーこんなウハウハな、オイシイ話を見逃すはずが無い。

 


信繁はここまで考えてゾッとする。


彼女には実際には、極秘に臥せられた、本人すら知らぬ、出生の秘密がある気がしたのだ。


『本当は、姫は誰の子どもなのだろうか??』

 

信繁はゾワッと背筋が寒くなる。


母親である王妃の年齢を逆算して考えれば、出産は実際かなり無理のある話だ。


ではーーー戦死したという父の弟が外でもうけた婚外子、フレイ王家で何かの理由にて歓迎されない立場の、薄幸の子どもなのか?


或いはーーー

ひと世代飛び越えた、祖父と禁断の若い恋人との間に成した秘密の隠し子なのか?


そうなれば戦死したフレイ国王陛下とは、片親繋がりの異母兄妹ということになり、変な話、卒業祝いにわざわざ新造戦闘艦まで用意し与えた理由にも納得だ。


実際は歳の離れた妹ーーーー


しかも自分を信頼、何も知らずに無邪気に父親だと頼る薄幸な美しい存在に、兄はどうしても甘くなるだろう。


「第5王女」ーーー

 

自分と同じ古き王族直系の血を引き継ぐ存在。


〜しかも誰が見ても厄介な事に、全フレイ国民全員が一目で由来がわかる特徴的な瞳の持ち主。


そうなればその辺に無闇に捨て置く事も叶わず、誰かが悪しき政治利用をたくらむ前に仕方なく自らの実子として引き取る事にした。


ーーー王家末姫というのは「そういう事」だと。

 

 

なのに、結果的に祖国もフレイ王家も全てが滅亡してみれば、危険極まるこの世界に彼女はたったひとり。


誰も、心身を守る側近はいない。


 

『一体全体、この先どうするのか?』

 


城主はこの疑惑を知っていて、というかあの滅茶苦茶な、凄腕天才肌の人が、俺でもすんなり辿り着く事が可能な仮説を立てないはずがない。


その上であえて沈黙し、俺に彼女を守れと任せたのか?!



魑魅魍魎蠢く壮絶な茨の道の行く末を案じ、信繁は急に心が痛くなった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。