担仔麺と昆布
香港では、昆布は主に漢方薬でした
蝦夷地で育ったりんには。動物系と昆布で出汁をとるのは、常識でした
黄は、港の入り口に屋台を出している料理人だった
腕には自信がある
事実沖仲仕や近くの商会の使用人で、昼時には大混雑になる
昼時も過ぎ、今日は店仕舞いにしようかと思っていた頃だった
常連の、張志豪が周りを警戒しながら近寄ってきた
「問題はなさそうだ。」
そう言って、張は手を挙げた
すると、何度か見たことのある商会のボーイが、お嬢さんを前後に挟んでやってきた
張
「りんお嬢様、どうぞお掛けください。」
黄は、何が起こったかわからなかった
なんで、イギリスのお嬢様が俺の屋台に来るんだ?
「担仔麺をいただけます。」
とお嬢さんが言った
「みんなも一緒にどう?」
張
「お言葉はありがたいですが、私は食べたばかりで。」
りん
「じゃあ、阿遠と輝阿は?」
李 明輝は、チラリと張を見て
「張哥、良いですか?」
張
「構わん。」
黄
(何が起こっているんだ?)
りん
「それでは担仔麺を三つお願いします。」
黄
(えっ、お嬢さんが食べるだけじゃなく、ボーイも一緒?!)
「はい。」
(張のやつ、周りを警戒したままだな)
りん
「ご馳走様、美味しかったです。」
そう言って、お嬢さんと奇妙な三人組は帰っていった
その翌日、ボーイの確か楊 文遠とかいう奴が来た
「これを、お嬢様から。」
昆布の束だった
俺は訳が分からず聞いた
「薬種をどうしろってんだい?」
楊
「出汁をとる時、これも使うと味が深くなるとお嬢様が言ってました。」
黄は半信半疑で、受け取った
翌日試しにやってみたら、確かに一味違う
「薬種だとばかり思っていたが、こんな使い方もあるんだな。」
色々試して、味も決まってから屋台で出す様にした
すると、今まで以上の大繁盛になった
黄が、表通りに店を持つ3年前の話だ
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