第1章妖怪飛脚 とある男 その7
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歴史の教科書には、そのようなことは記載されてはいないのだが、妖怪飛脚の事件が起こる少しまえ、幕府と紅毛人を中心とする外国勢力との間で戦争があった。
幕府は、この戦争で痛い目に遭い、紅毛人たちの力を思い知らされた。ジパングにおけるうち続く天災飢饉の中の、紅毛人たちとの戦争は起こった。
そのため、農村は、ますます荒廃していった。
その一方で、この戦争の結果であるのだが、ジパングの幕府や国民は、自分たちの祖国、永遠に安泰だと考えていた自分たちの国の未来に不安を抱き始めた。そういう不安のジパングにおいて頭角を現した勢力がいた。
彼らは、西欧の大きな影響力が生み出す危機から祖国、ジパングが生き延びるためのを新しい戦略を模索していた。
ところで、とある男、案山子男の富三の両親も、実は、この戦争が原因というか、この戦争がらみで殺されてしまった。その結果、とある男、案山子男、富三は、孤児になり、妖怪村で育てられることになったのだ。
ここで、話題を変えよう。
同じ頃の話であるが、荒廃した世界を背景として生まれた荒くれどもの集団がこの頃力を付けてきており、荒くれものどうしの、我がもの顔の、小競り合いというか、闘いが頻繁にあった。ここで、痛い目を見たのは、まっとうな暮らしをしていたジパングの普通の人びとであった。
このように、この時代のジパングというのは、真っ当な一般庶民にとっては住みづらい世界であった。
このような飢饉と、争いの不快な世の中を忘れるためか、YOSIWARAは、繁盛した。
YOSIWARAには、非常に金持ちという人たち、セレブが集い、彼らはエンターテインメントと芸術と紅毛人たちがもたらした新しい価値を好んだ。
こういうYOSIWARAのセレブらの好奇心が好む種類の賑わいには、これまでの時代、大名、豪族、寺社関係の人びとがその中心にいた。
しかし、天冥時代という今の時代には、大商人と、大商人がパトロンとなっている役者、学者、絵師、歌人、太鼓持ちたちが、天冥時代の流行の象徴とも言うべき、YOSIWARAの賑わいの中心となっている。
また、この天冥時代の特徴として、人間と妖怪の接触が頻繁に起こるようになったということがある。
代表的なものとして、化け狸、化け狐の類がある。生まれつき妖気を持つ狐狸は、人に化けて、人に接触し、人の間で生活をする。このようなことは、この天冥時代に始まったことではない。ずっと昔からあった話ではあるのだが、この物語の舞台でもある天冥時代には、狐狸の類が人を化かすような出来事が目立って頻繁に起こるようになっていた。
それどころか、この天冥時代に暮らした人びとは、狐狸の類にとどまらず実に多様な妖怪と接触するようになったのであった。
紅毛人たちが、妖怪現象に強い関心を持ち、紅毛人たちが独自のやり方で、妖怪に接触し、妖怪の研究をすすめているという話は、ジパングの住民にも知れ渡っていた。
その結果、ジパングの人間たちには、紅毛人と妖怪たちの友好的にも見える関係が、妖怪たちの頻繁なる出現につながっているのではないかと疑うものもいた。




