第1章妖怪飛脚 とある男 その4
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とある男 その4
このところ、全くYOSIWARAは変わってしまった。その理由として、紅毛人の存在があるかもしれない。
郭経営者の子供として生まれた、河造は、案山子男に出くわすまでこんなことを考えていた。河造は、何かを考え出すと、思考の深みにはまり込むというのが常であった。河造は、考えに没頭してしまい、自分の周りで起こっていることに完全に気にしなくなる、関心を持たなくなってしまうのである。実際に、河造は、案山子男に出くわしたときにも、案山子男にぶつかりそうになるまで、案山子男に気づかなかった。
ところで、河造は、YOSIWARA、YOSIWARAの本当のところの現在というものが、分からなくなっていた。どういうことかというと、YOSIWARAと言う場所が、YOSIWARAというものの在りようが、河造が子供の頃に知っていたYOSIWARAとはまったく様変わりしてしまってしまっていたのである。
ひとつには、YOSIWARAはにぎやかになった。EDOという町が発展するに連れてYOSIWARAという町も発展してにぎやかになった。
その一方で、YOSIWARAの遊郭は急速に格が上がり、この遊郭の利用は、EDOの一般庶民にとって、敷居が高いものになってしまった。
客として有力なYOSIWARAの遊郭に出入りできるのは、主に将軍家の関係者、諸大名、有力旗本、札差などの大商人、あとは、なぜか傾いたというか、プライドが高そうな洒落た若者の一群に限られていた。
面白いのは、有力な遊郭に出入りした若者たちは、必ずしも、大金持ちの子弟というものだけに限られていたわけではないということだ。
有力な遊郭に出入りした若者の多くは、実は、生まれも素性もハッキリとしない、怪しげな身分の若者が多くいた。このような身分のハッキリしない若者たちは、YOSIWARAの影の実力者であった紅毛人とののつながりを持っていた。
紅毛人たちは、飢饉や、天変地異、疫病がうち続くジパングの中にあって、安定した経済力を保持していた。紅毛人たちは、ジパング国内では、たしかに非合法な、影の存在である。紅毛人たちは、おおざっぱに言ってしまうと、ジパングの外、つまり彼らの祖国に大事な金庫を持っていた。そのために、ジパングの不幸とは関係なく、紅毛人たちは、ジパングにおいて、裏社会において一気に力を付け始めていた。紅毛人たちは、おもにYOSIWARA遊郭で、活動を活発化させていた。
このような紅毛人たちの存在というか、力に、いち早く気づいて、紅毛人たちもとに集まってきたのは、地方の荒廃した町や村から逃れ、EDOに流れついてきた若年の子供たちであった。
紅毛人たちは、浮浪児たちを受け入れ、浮浪児たちに、施しを与えたばかりではなく、紅毛人たちは、この子供たちに教育を与えた。
この子供たちは、やがて、成長して、若者となり、YOSIWARAの街をわがもの顔で歩き回るようになった。この若者たちの背後には、確実に、紅毛人たちの力が存在していた。
YOSIWARAの女たちにも、最近、大きな変化があったことを河造は、つくづく感じていた。
YOSIWARAの遊郭の客たちは、いずれも大物ばかりとなった。大物のYOSIWARAの遊郭の客たちは、YOSIWARAの女たちを妻として、妾として、自分たちの家に入れるようなことが頻繁に起こるようになってきた。
YOSIWARAの女たちは、各界の一流の人物たち、有名人たちと交流、交際するうちに、YOSIWARAの客たちに刺激を受け、高い教養を身につけるようになった。このようにして、YOSIWARAの女たちは、自分たちの考えというものを持つようになった。




