十一話目、7&???階層
「ぁ゛あ゛」
トモノリの目が開いた。体の訴え、凄まじい喉の渇き、空腹感に襲われ立ち上がり、おもむろに周りの血肉に手を伸ばした。手にはべっとりと緑の血が付いているが、塗り重ねるように血肉を掴み、口いっぱいに食らい、血を啜る。不味い、不味い......常人ならば悶絶する程の肉を胃に押し込みつづけ、ようやく胃が空腹感を失い、手を止める。
「......」
そして、奴の体内から出る。しかしトモノリは未だ、呪いに掛かっていた。そして首輪の強制力でダンジョンを、強き者を求めダンジョン内を徘徊する。
少しする枯葉に塗れた階段が見えた。枯葉は進む事で舞い上がり、視界を塞ぐが気にせず次の階層に進む。
そして次の階層は————湿地帯。
地面は水に浸され、濁った水の上に蓮の葉が無数に浮かぶ。そして、細いストローのような足をもつ大きいアメンボが漂っていた。
ビチャリ、ビチャリと水をかき分ける音。トモノリは水面をガンガンと進んでいくが蓮の葉が思ったより固い。意を決して、蓮の葉の上に立つ。
すると蓮の葉は沈まず、立つことが出来た。
しかし、次の蓮の葉に飛び移ると、その蓮の葉は衝撃で沈んでしまった。
高速で水面を移動する敵を仕留めるため、トモノリは次の次と蓮の葉を沈めつつ、アメンボを追い掛ける。
すると静水であった濁った水が球体と形を成してトモノリに向けて襲い掛かる。
「ぐぁ゛!」
しかし、トモノリの打撃によって崩される。しかしその水は落ちるのは蓮の葉。慌てて、次の蓮の葉へと足を伸ばす。
すると追い掛けていたアメンボとの距離はかなり遠くとなり、次の水球は来ることは無い。
どうやら、あのアメンボは近くに寄ると付近の水で水球を作り、当ててくるようだ。
もう一度、追い掛けジャポン、ジャポン、ジャポンとリズムを立てて、蓮の葉を駆け抜ける。速度はトモノリが上。しかし、相手は遠距離攻撃手段を持っており、水球を無数に放つ。がそれを避けるために右へ左へと蓮の葉に乗り移り、回避していく。
「がァ!!」
そして、追い付いた瞬間。体重を乗せたレヴィによる一撃を細長い胴体に加え、さらにその上から踏み付けた。
アメンボとトモノリは水中に入ったものの、トモノリはしっかりと胴体を切り裂き、アメンボを倒す。そして、レヴィを引き抜き、勝利の余韻に浸る間も無く横槍が入る。
「がァ゛!?」
足へと痛み。そこを確認するとまるで蛹のように茶色い六本足の虫。腹は蜂や蟻のように大きい。ヤゴだ。オタマジャクシも食らう肉食の水生生物であり、トモノリに噛み付いたのであろう。
踏み潰す為にもう一つの片足を持ち上げ、勢いよく落とす。しかしそれは踏み潰せず、硬い音が鳴るだけだ。しかし捕えれはした為、レヴィを突き刺すと容易に突き刺さった。
突き刺さったヤゴを思いっきり振って遠心力で遠くへとぶん投げる。
今の状態は水中に使っている状態である為、そこから蓮の葉に乗る。すると何処からか、水球が飛んできた。反射神経で腕を使い、破壊。
すぐさま見渡すとアメンボが漂っており、そいつに向けて走り出す。水中を叩き付ける音と蓮の葉が沈む音が忙しく鳴り、追いかけてる途中でヤゴが顔を出す。
前方に顔を出すヤゴがおり、そいつに向けて蹴りを放ち、次の蓮の葉へと渡ろうとする。
「グァ゛ア゛!?」
しかしその足ごと噛み付かれ、急ブレーキが掛かり、顔から水面に叩き付けられる。
そして、なんということだろう。地面がガパリッと開き、トモノリとその足に付いたヤゴごと飲み込まれていくではありませんか。
そして、トモノリは水とヤゴと共に落下していく。
この図、少し違うだが一度見たモノに似ているだろう、それはモンスターハウスだ。
落下すると地面に叩き付けられる。どうやら草原に行ったようだが、上からヤゴがボトボトと三体落ちてくる。そして、周りはヤゴに囲まれている。
「ガァああああああああ!!」
まずは恒例となってきた『咆哮』を放ち、近くのヤゴに、未だ足に噛み付くヤゴをぶつける。
そして、周りの二体をレヴィで切り裂き、ようやく、モンスターハウスで生成されたヤゴと対立する。
わしゃわしゃと足を動かして近付いていくヤゴであったが、陸ではトモノリに勝てる可能性はほとんど無い。
蹴りにて牽制しつつ、隙あらば一体ずつレヴィの紫の刃で仕留める。一体、二体、三体そう仕留めていった、しかし四体目に差し掛かる瞬間。強力な一撃がトモノリの顔へとヒットした!!
「がァ......!?」
その衝撃により、五メートルは悠に吹っ飛んだ事だろう。トモノリは草原の地面に叩き付けられる。
すぐさま、その相手を恨むようにジロリと見た。
それは緑、緑の生命体だ。長い触覚にギョロりとした目を持つ頭部。それはある生命体に似ていた。バッタ、その中でもキリギリスと言えるだろう。
長く、巨大で棘が生えた鋭利そうな足。合計、四本の前足にも棘が生えており、鉤爪のような物もあった。腹は緑と茶色の縞模様。半透明の長い茶色の羽を背負っている。驚くべきは、その姿。二足歩行をしており、佇まいも違和感を感じることは無い。それはまるで人のようだ。
「ギギギギィ......」
半人キリギリスはその素晴らしく長い脚部で地面を蹴り上げ、高速で移動をする。その速度はトモノリの倍であった。
まるで瞬歩のように転がっているトモノリに、棘だらけのその脚で連撃を加える。
「がァ!グァ......!」
「ギギギギィ......」
トモノリは腕をクロスさせ、半人キリギリスの猛攻を防いでいく。しかし反撃する暇はなく、耐え忍ぶだけだ。
「ガァああああああああ!!」
もう一度、『咆哮』を放つが相手は怯むことは無い。
「がァ!!」
「ギギギギィ......」
棘が生えた足をレヴィが交差し、急接近するが近くで見ると忌避感を感じる容姿をしている。半人キリギリスは他、四本の前足をの鉤爪で攻撃しようとしてきた為、突っぱねて半人キリギリスを宙へと浮かすが、半人キリギリスの羽を羽ばたかせ、衝撃を吸収。
その隙を狙い、レヴィでまだ柔らかい足の根元、股関節を切り裂く為、突き上げようとするも、またしても脚部に塞がれる。
そして、また脚部とレヴィの攻防戦が始まる。『狂化』はいつの間にか発動していた。しかし、半人キリギリスはそれにも追い付く。
半人キリギリスの方に残ったヤゴが食らいつくが一閃し、一瞬でおわらせる。コイツはどうやら遊んでるようだ。
し半人キリギリスは遊んでいる場合では無いはずだ。ご自慢の足は近付けば、紫の水に溶かされ、生命力を奪う。なのに、なのに何故、遊んでられるのか。
それはモンスターハウスで飛んだ階層分の実力差であるだろう。ここは一体、何回なのだろうか。
これでは埒が明かないとばかりにトモノリは二つのギアを上げた。『肉体活性』を使用し、肉体を膨らませる。そして、半人キリギリスをジロリと見た。
実はダンジョンを長くするつもりでしたが、飽きてやる気が起きませんでした!!そうだ。モンスターハウスしよう。
現在、そういう流れっす。




