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第83話 再会

今回は再会のお話です。



昼過ぎ。


ロビーは比較的落ち着いていた。


チェックインにはまだ早い時間だ。


咲也はベルデスクで到着予定表を確認していた。


VIP客の到着予定。


連泊客から預かっている荷物。


送迎車の手配状況。


午後のロビーを滞りなく回すため、頭の中で段取りを組み立てていた。


その時だった。


「高宮さん」


声をかけられる。


顔を上げると黒崎支配人が立っていた。


「少し時間いいですか?」


「はい」


「応接室で」


「分かりました」


特に珍しいことではない。


VIP対応の打ち合わせや業務連絡で呼ばれることは時々ある。


ロビーの古澤に声をかけて支配人の後を追う。


応接室の前で支配人が足を止めた。


「失礼します」


ノックの後、支配人がドアを開けた。

咲也もその後に続く。


中には既に数人が座っていた。


いつも温和な笑顔を浮かべている中年の女性はフロント責任者の茅田。


見覚えのないスーツ姿の壮年の男性。


そして――


窓際の席に座っていたスーツ姿の青年が顔を上げた。


「……高岡様?」


思わず声が出る。



しまった。



仕事の場であることを一瞬忘れてしまった。


青年はこちらを認めて微笑んだ。


「高宮さん。お久しぶりです」


数日前。


宿泊客としてホテルを訪れていた青年――高岡和葉だった。


湊の弟だと言っていた。


そして、合気道道場の跡継ぎだとも。


ーー今度は仕事でホテルに伺います


そう言い残して彼は帰っていった。


その彼が、今、自分の目の前にいた。


和葉は小さく会釈した。


「この姿では初めまして」


そう言ってから、


和葉は改めて背筋を伸ばした。


「蒼井和葉と言います」


お読みいただきありがとうございました。


ロビーでの再会ではなく、応接室での再会となりました。


和葉が何の仕事でやって来たのか。


続きもお付き合いいただければ嬉しいです。

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