表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

67/68

第67話 優しい沈黙

和葉の言葉を聞いた後の、Bar Havenの静かな夜です。


カラン。


扉を開ける。


店内へ戻ると、

カウンターの向こうで湊とマスターが顔を上げた。


「お帰りなさい」


先に声を掛けてきたのは湊だった。


「ただいま」


そう返す。


マスターが面白そうに笑った。


「帰ってきたね」


咲也は苦笑する。

「はい」


そのままカウンター席へ腰を下ろした。


湊は何か言いたそうに咲也を見る。


けれど口は開かない。


代わりに。


「どうせ高宮さん、追いかけて行ったんでしょ。

あのお客さん」


マスターが言った。


「どうだったの?」


遠慮なく聞くマスターに、咲也は少し困って笑う。


湊を見ると、話して大丈夫だというように頷いてくれた。


和葉が泣いたことまでは言わない方がいいだろう。


「……仕事でまたここに来るって言ってました」


「へえ」


マスターが目を瞬く。


「あと」


少しだけ考える。


「お兄さんには幸せになって欲しいって」


湊の肩が僅かに揺れた。


けれど何も言わない。


「優しい弟さんだな」


咲也がぽつりと言う。


湊は俯いた。


「ええ。本当に」


短い返事だった。


マスターは何も言わない。


ただ少しだけ目を細める。


店内には静かな音楽が流れている。


磨かれたグラスが灯りを映す。


誰も何も言わない。


優しい沈黙。


Bar Havenらしい静かな時間だった。

読んでくださりありがとうございます。


言葉にしない優しさもあるのかなと思いながら書きました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ