Season 3, Episode 8: The Scrimmage
登場人物
エイミー・ヴァーデン/ストイック、サッカー選手志望
ブレイディ・ヴァーデン/エイミーの兄、役者の卵、おバカ
LAインベーダーズ(女子サッカーチーム)
ズラタ・コヴァチ/チーム監督、チームのレジェンド選手 ※ズラタン・イブラヒモビッチとは無関係です
アレッサ・デル・ピエラ/チームのスター選手、父親はイタリアのレジェンド選手 ※デルピエロとは別人です
セルヒア・ラモス/リーグ最高峰のディフェンダー、レッドカード クイーン ※セルヒオ・ラモスとは無関係です
マヤ・カンテ/守備的ミッドフィルダー、規格外の運動量の刈り取り屋 ※エンゴロ・カンテとは無関係です
岡澤真/ゴールの嗅覚抜群のストライカー 利き足は顔面 ※岡崎慎司とは無関係です
シーン1: 練習再開
フィールド。
ズラタが鋭い笛の音で練習を止める。
ズラタ「Break is over! Back to work! I’m not paying you to stand around and look pretty! Unless you’re as pretty as me, which is impossible!(休憩終わり!仕事に戻りなさい!棒立ちで美しく見えても給料は出ないわよ!私くらい美しいなら話は別だけど、あなた達じゃまだムリ!)」
選手たち、散り散りにポジションへ戻る。
エイミーとブレイディ、サイドラインでその光景を注視する。
シーン2: ファンタジスタ・アレッサ
パス練習。
アレッサがボールを受け取る。一瞬の静止。自身の髪をかき上げ、周囲を威嚇するように見回す。
次の瞬間、完璧なバックヒールでパスを繰り出す。流れるような所作で決めポーズ。観客席(空席)に向かって、最高の投げキッスを贈る。
チームメイト「Alessa, there’s nobody there!(アレッサ、誰もいないわよ!)」
アレッサ「Performance is just as important as the play! Great play is expected, but fans come for the celebration! And mine is the best, obviously.(パフォーマンスはプレーと同じくらい大切よ!華麗なプレーはできて当たり前。ファンは私のセレブレーションを見に来てるの!だって、私のプレーが一番盛り上がるでしょ?)」
再び髪を触り、誇らしげに顎を上げる。
「I am the masterpiece.(私は傑作なんだから)」
エイミー、呆れつつも感嘆したように。
「…She plays just like her father, Del Piera. The sense is undeniable.(…お父さんのデル・ピエラにプレースタイルが似てるわね。すごくセンスがいい)」
ブレイディ「It’s not just the play, Amy. It’s those gestures… I can’t take my eyes off her.(プレーだけじゃないよ、エイミー。あの仕草のいちいちが気になって…彼女に釘付けになりそうだ)」
シーン3: The Dog Park (ドッグラン)
守備練習。
マヤがピッチを縦横無尽に駆け抜ける。ボールが奪われ、その瞬間に反対側のサイドでまたマヤがボールをカットしている。
チームメイト「Maya! You were just on the other side! Why are you already here!?(マヤ!さっき逆サイドにいたじゃない!なんで今ここにいるのよ!)」
マヤ「I just… chase the ball, you know?(ただ…ボールを追いかけてるだけだよ?)」
きょとんとして肩をすくめる。
ブレイディ「What is she? She’s running around like a dog chasing a ball. And her tackling is insane…(なんだよあの娘!ボールを追いかける犬みたいに走り回ってるぞ?しかもボール獲るのがスゲー上手い…)」
シーン4: The Red Card Queen (レッドカード・クイーン)
ディフェンス練習。
相手選手が突破を試みる。セルヒアが迷いのないステップで相手の進路を塞ぐ。
激しい衝突音。相手がピッチに沈む。
笛が鳴る。
ズラタ「Sergia! Dangerous tackle!(セルヒア!危険なタックルよ!)」
セルヒア「Dangerous!? I took the ball! She’s just made of glass!(危険!?ボールにしか触れてないわ!彼女がガラス細工みたいに脆いだけよ!)」
ズラタ「…Studs up. Yellow card. Go cool off.(…スパイクの裏が見えてたわ。イエローカード。頭を冷やしなさい)」
セルヒア「WHAT!? That’s a clean play in any other league!(何ですって!?他のリーグならクリーンなプレーよ!)」
セルヒア、イライラしながら倒れた相手に手を差し伸べる。
「…Get up. You’re slowing the drill down.(…起きなさい。練習のテンポが遅れるわ)」
反省の色はゼロだ。彼女の中では、倒れた相手の方が悪い。
ブレイディ「She’s a walking disaster. She doesn’t even know what a foul is.(歩く災害だな。彼女、自分が反則してるって自覚が全くないぜ)」
エイミー「Yeah… she’s definitely the Red Card Queen.(ええ…間違いなく『レッドカード・クイーン』ね)」
シーン5: The Face of the Goal (顔面ゴール)
シュート練習。
アレッサがサイドから美しい弧を描くクロスを上げる。
マコト、ゴール前で飛び込む――が、ヘディングしようとした瞬間にボールが顔のど真ん中を直撃。
ゴンッ!と鈍い音が響く。
マコトはピッチに大の字になるが、ボールはそのまま綺麗にゴールネットへ吸い込まれる。
ズラタ「…Again, right in the center of your face…(また顔面のど真ん中…か)」
アレッサ、近寄ってきてマコトの顔を覗き込む。
「Oh, Makoto. You’re such a mess. But at least you’re consistent.(あら、マコト。本当にひどい顔。でも、相変わらずね)」
アレッサ、笑いながら絆創膏だらけのマコトの頬を軽くペチペチと叩く。
マコト、起き上がる。鼻からタラリと鮮やかな赤がこぼれる。
「Goal! My face did it again!(ゴール!また顔面が決めたよ!)」
チームメイト「Makoto, your nose is bleeding!(マコト、鼻血が出てるわよ!)」
マコト「It’s fine! My face is seasoned!(平気!私の顔は鍛えてるからね!)」
照れ笑いして、ズラタを振り返る。
「Don't worry, Coach! My best foot is my face!(心配しないで、コーチ!私の利き足は顔面だから!)」
ズラタ、頭を抱えて崩れ落ちる。
「…For the love of God. Use your forehead! Consciously! Like a NORMAL player!(…お願いだから。おでこを使いなさい!意識して!普通の選手みたいに!)」
マコト、真剣な表情で考える。
「But… my forehead doesn't have the same accuracy as the center of my face.(でも…おでこだと、顔の真ん中ほど正確じゃないんだよね)」
「IT'S NOT SUPPOSED TO HAVE ACCURACY! IT'S SUPPOSED TO BE A HEADER!(正確さなんて求めてないの!ただのヘディングをしなさい!)」
マコト「I try! But my face is a magnet for the ball!(頑張ってるんだけど、私の顔がボールを吸い寄せちゃうの!)」
ズラタ、天を仰ぐ。マコトの鼻からまた一筋、血が垂れた。
シーン6: Welcome to the Circus
ズラタがエイミーの元へ歩み寄る。先ほどの「顔面ゴール」による疲労が、彼女の足取りに影を落としている。
「So! You’ve seen my team! They are chaotic! They are absurd! But they are MINE!(さあ!私のチームを見たわね!カオスでしょ!不条理でしょ!でも、これが私のチームよ!)」
エイミー「They’re… certainly unique, Coach.(……確かにユニークですね、コーチ)」
「Unique is an understatement! They need discipline! But most importantly, they need ME! Because I am the only one who can translate their madness into victory!(ユニークなんて生ぬるい!必要なのは規律!でも何より必要なのは私!この狂気を勝利に翻訳できるのは私だけだから!)」
ズラタ、エイミーを射抜くような目で見つめる。
「You. Do you want to join this circus?(あなた。このサーカスに入りたいの?)」
「Yes.(はい)」
「Then prove it! Show me you aren't as fragile as you look! Warm up! NOW!(なら証明しなさい!見た目ほど脆くないことをね!ウォームアップ!今すぐ!)」
エイミー、息を呑む。
「Now?(今すぐですか?)」
「I said NOW! I don't repeat my brilliance!(今って言ったわ!二度言わせないで!)」
エイミー、迷わずピッチへ駆け出す。
シーン7: The Arrival (ニューカマー)
フィールドサイド。エイミー、短いスプリントとストレッチで身体を仕上げる。周囲には独特の緊張感が漂っている。
アレッサ、優雅に髪をかき上げながらエイミーを値踏みする。
「You’re a striker, right? Can you actually handle our pace? I’d hate to have to slow down for you.(ストライカーなんでしょ?私たちのペースについてこられるかしら?あなたのためにペースを落とすなんて嫌よ)」
マヤ、穏やかな笑顔でエイミーの横に立つ。
「Hey. Good to have you here. I’m looking forward to seeing how you play.(やあ。来てくれて嬉しいよ。あなたのプレーを見るのを楽しみにしているね)」
セルヒア、鋭い眼光でエイミーの胸元を突き飛ばすように肩を叩く。
「Don’t get comfortable, new girl. I’m going to test exactly how tough you are.(油断するなよ、新人。お前がどれだけ頑丈か、徹底的に試させてもらうわ)」
マコト、絆創膏だらけの顔をクシャクシャにして心配そうに駆け寄ってくる。
「Are you okay? Be careful not to get hurt!(大丈夫?ケガには気をつけてね!)」
エイミー、マコトのボロボロの顔を見て言葉を失う。
「…I think you should be the one worrying about that, Makoto.(……それを一番心配しなきゃいけないのは、マコト、あなたの方だと思うけど)」
シーン8: The Scrimmage (練習試合)
フィールドに緊張が走る。ズラタが口笛を鳴らす。
ズラタ「Listen up! Blue Team: Amy, Maya, Makoto. You’re the 'Chaos Unit.' Red Team: Alessa, Sergia—the rest of you, try not to burn the pitch down!(聞きなさい!青チーム:エイミー、マヤ、マコト。お前たちは『カオス部隊』だ。赤チーム:アレッサ、セルヒア、その他。ピッチを燃やさない程度にやりなさい!)」
ホイッスルが鳴り、試合開始。
キックオフ直後、赤チームのパス回し。アレッサが優雅にボールを運び、セルヒアがオーバーラップを狙う。
しかし、マヤが弾丸のように飛び出し、赤チームのパスカットに成功する。
マヤ「Got it!(貰った!)」
マヤ、迷わず最前線に走るエイミーへスルーパス。
エイミー、そのスピードに驚きつつも、ボールを収めてゴールへ迫る。
マヤ「Go, Amy! I’ll cover the back!(行って、エイミー!後ろは任せて!)」
エイミー、疾走する。
(この人…私の走るタイミングを完璧に把握してる…!)
アレッサ「Oh? A new dynamic? Interesting… but not enough!(あら?新しい化学反応?面白いわね…でも、まだまだよ!)」
アレッサ、苛立ち混じりに猛烈なダッシュでエイミーを追いかける。
シーン9: The Chaos Unit (カオス部隊の反撃)
エイミーがボールを持ち込み、シュートコースを探る。しかし、セルヒアが立ちはだかる。
セルヒア「Not today, rookie!(今日は通さないよ、ルーキー!)」
セルヒアの強烈なプレッシャー。エイミー、突破を試みるが、囲まれる。
その時、ゴール前でふらふらと動いていたマコトが、大声を上げた。
「Amy! Just kick it at my face! It’s open space!(エイミー!私の顔面に蹴り込んで!こっちは空いてるよ!)」
エイミー「…Are you crazy!?(…正気なの!?)」
しかし、迷っている時間はない。エイミーは意を決し、強引にマコトの方向へ鋭いクロスを蹴り込む。
ボールは一直線にマコトの額へ。
――ドンッ。
鈍い音とともにボールはコースを変え、ゴールネットへ突き刺さる。
マコトはまたしてもピッチに沈んでいる。
アレッサ「…That’s just disgusting.(…本当に最低の芸当ね)」
アレッサ、苦笑いを浮かべながらも、どこか楽しげにマコトの頬をペチペチと叩いて起こす。
ズラタ「…Goal. But I’m not praising that! Sergia, wake up! Don't let the 'Face' score!(……ゴール。だが褒めはしないわ!セルヒア、しっかりしなさい!「顔面」に決めさせんじゃない!)」
セルヒア、鼻息荒く立ち上がる。
「Fine! Next time, I’m taking the ball—and the striker!(いいわ!次はボールも、ついでにストライカーも根こそぎ潰してやる!)」
試合はヒートアップし、ピッチはもはや練習試合の域を超えた戦場へと化していく。
シーン10: The Debrief (総括)
ピッチサイド。荒い息を吐く選手たち。ズラタはメモ帳を片手に、眉間を揉みながら全員を並ばせる。
ズラタ「Excellent. We’ve turned a simple scrimmage into a war zone. Alessa, stop posing for non-existent cameras. Sergia, that was a red card! One more like that and you’re banned from training for a week!(素晴らしいわね。単純な練習試合を戦場に変えてくれて。アレッサ、存在しないカメラに向かってポーズするのはやめなさい。セルヒア、今のプレーはレッドカードよ!次やったら1週間、練習まで退場だからね!)」
アレッサ「I was just celebrating my brilliance, Coach.(私は自分の輝きを祝っていただけよ、コーチ)」
セルヒア「It was a clean tackle! The pitch just happened to be in my way!(クリーンなタックルだったわ!ピッチがたまたま邪魔しただけよ!)」
ズラタ、無視してエイミーの方を向く。
「And Amy. You didn’t run away. That’s a good sign. But try to use your feet for goals, not Makoto’s face. (そしてエイミー。あなた、逃げ出さなかったわね。良い兆候よ。でも、次はマコトの顔面じゃなくて、自分の足でゴールを狙いなさい)」
エイミー、苦笑いしながら汗を拭う。
「I’ll try, Coach. But I think I’m starting to understand this team… in a terrifying way.(努力するわ、コーチ。でも、このチームのことが少し分かってきた気がする……恐ろしい意味でね)」
マコト、鼻の絆創膏を貼り直しながら元気に手を挙げる。
「It’s fine! My face is ready for the next one!(大丈夫!私の顔面、いつでも次の準備はできてるよ!)」
ブレイディ、レッドブルの空き缶をゴミ箱に投げ捨て、ニヤリと笑う。
「This is going to be a fun season, isn’t it?(最高のシーズンになりそうだな、だろ?)」
シーン11: The Exit (去り際)
練習終了後。日は沈みかけ、オレンジ色の光がピッチに伸びている。
セルヒアが金網越しに言い捨てる。「Hey, rookie. Don't think you’ve passed yet. Tryouts are soon. Try not to break before then.(ねえ、ルーキー。受かったと思わないことね。トライアウトはすぐよ。それまで壊れないようにしなさい)」
アレッサが優雅に髪をかき上げる。「And try to pick a better outfit. That one’s… tragic. See you there.(あと、もう少しマシな服を選びなさい。今のセンス……悲劇的よ。会場で会いましょう)」
そこへ、ベンチから兄のブレイディが歩み寄ってくる。「Good job, Amy! You really fit in with them. Seriously, they’re something else.(お疲れ!エイミー。ちゃんとチームに馴染んでたじゃん。それにしても、みんなクセが強すぎるだろ)」
ブレイディは遠くで走り続けるマヤを見やって、ニヤリと笑った。「Look, she’s still running? She’s way crazier than you!(おい、彼女また走ってるぞ?お前よりヤバいじゃん)」
エイミーは、遠ざかる二人の背中を見つめながら肩をすくめた。
「Yeah... you’re right.(そうね、みんなすごかったわ)」
最後に、マヤが弾むような足取りで駆け寄ってくる。「Great job today, Amy! See you at the tryouts!(お疲れさま、エイミー!トライアウト、頑張ってね!)」
そして、マコトが鼻の絆創膏を貼り直しながら手を振る。「It was fun today! I hope we can play together again!(今日は楽しかったよ!また一緒にプレーできるといいわね!)」
マヤとマコトが連れ立ってピッチの反対側へと走っていく。その姿を見送る二人の背中を見つめながら、エイミーは呆れたように苦笑いを浮かべた。「...They're all monsters.(……みんな、モンスターね)」




