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Season 3, Episode 5: Nick & Carol (Part 1) - カオスとの再会

登場人物


 アラン・ゼンズバーグ/詩人、シンディの叔父

 ※アレン・ギンズバーグではありません

 ジェイク・ケンドリック/作家、詩人、アランの親友

 ※ジャック・ケルアックではありません

 田所トシキ/東大休学中、シンディの恋人、マザコン好青年

 シンディ・ゴールドバーグ/アランの姪、カヨの弟子


 ニック・キャシディ/ジェイク達の古い友人、ビート仲間のカリスマ

 ※ニール・キャサディではありません

 キャロル・キャシディ/ニックの妻

 ※キャロリン・キャサディではありません


☆なんちゃって参考文献

 アレン・ギンズバーグ「HOWL」

 ジャック・ケルアック「路上」

 キャロリン・キャサディ「ハートビート」

 ※読んでなくても大丈夫!

 

シーン1: コロラドへ、車内


ハイウェイ、昼。

マスタング、走っている。

ニューメキシコからコロラドへ。

山が見えてくる。

「About an hour to Nick’s place.(ニックの家まで1時間くらいか?)」

「Long time no see. Better mentally prepare.(久しぶりだな、心の準備しとかないと)」

「Come on. You don’t need to prepare for anything.(なんだよ、心の準備って。そんな必要ないさ)」

トシキが、前のシートに身を乗り出した。

「What kind of person is Nick?(ニックってどんな人なの?)」

「Well… he’s intense. Before you know it, everything revolves around him. And no matter how insane things get, there’s something almost sacred about it.(まあ、濃いな。気がつけばアイツを中心に物事が進む。どんなに無茶苦茶な事やられても、何故か神聖な感じがするんだ)」

「I can’t picture that at all.(全然想像できないんだけど)」

「You’ll see when you meet him.(まあ会ったら分かるさ)」


シーン2: ニック&キャロルの家、到着

コロラド、小さな町

山の中。

ニック & キャロルの家

一軒家。

古いけど、手入れされている。

庭に車が数台。

マスタング、停まる。

家のドアが開く

ニック・キャシディが飛び出してくる。

60代。

ひげ。

作業服。

工具ベルト。

エネルギッシュ。

「ALLAN! JAKE!(アラン!ジェイク!)」

大きな声。

走ってくる。

アランとジェイク、車から降りる。

ニック、二人をハグする。

強いハグ。

「Good to see you! So good!(会えて嬉しいよ!ものすごく!)」

アラン「Good to see you too, Nick.(こっちもだよ、ニック)」

ニック、ジェイクを見た。

「New York! You’re actually going! To see Stella! After all these years — what the hell are you thinking!?(ニューヨークに向かってるんだって?ステラに会うために。何十年も前の話だろ?今更どうしようってんだ)」

「It’s ancient history, yeah. But it matters to me.(確かにな、大昔だ。だけど俺にとっちゃ大事な事なのさ)」

「Then GO! Just GO and DO it! That’s all there is! You go, things happen, that’s LIFE!(まあいいさ、やりたいようにやれ!そうすりゃなるようになるのさ!)」

「You’re either completely full of it or the wisest man alive. I still can’t tell.(相変わらずテキトーなのか深いのか分からんこと言うヤツだな)」

「Not full of it. It’s the TRUTH!(テキトーじゃないさ、真実だ)」

「Alright. Thanks, Nick.(わかったよ、ありがとう)」


キャロルが、家から出てきた。

60代。

落ち着いている。

静かだが存在感がある。

「Carol. Good to see you.(キャロル、会えて嬉しいよ)」

「Allan. Jake. Welcome.(アラン、ジェイク、ようこそ)」

「And these young ones?(それでこの若い子たちは?)」

「I’m Cindy. Allan’s niece.(シンディです。アラン叔父さんの姪です)」

「Good to meet you, Cindy.(会えて嬉しいわ、シンディ)」

「I’m Toshiki. Cindy’s boyfriend.(トシキです。シンディのボーイフレンドです)」

「What a lovely couple. Nice to meet you, Toshiki. Japanese?(素敵なカップルね、よろしくトシキ。日本人ね)」

「Yes. Thank you.(そうです。ありがとう)」


ニックの足が、止まった。

マスタングを見ている。

「Wait. Wait wait wait. Is that…?(待て。待て待て待て。アレはもしかして…)」

「Yeah. That’s it.(ああ、アレだ)」

ニックは、ゆっくり車に近づいた。

ボンネットに手を当てた。

「Still alive. After all this time.(懐かしいな、まだ生きてたのか)」

「Still running.(まだ現役だ。覚えてるな、流石に)」

「Are you kidding me? How could I forget! I gave it to you!(そりゃ忘れないさ!オレがお前にやったんだからな!)」


シーン3: マスタングの話


ニックは、車の周りをゆっくり歩いた。

ボンネットを撫でながら。

「Late seventies, maybe? Found this thing on a dirt road. Just sitting there. Abandoned. Some idiot left it and never came back. And every day, it just kept staring at me.(70年代後半だったか?コイツをみつけたんだ。農道の脇道に捨てられてた。どこのバカかは知らんがな。そしてずっとオレのことを見てるんだ。毎日毎日)」

キャロルが、シンディに耳打ちした。

「And then he brought it home.(そして彼が拾ってきたの、あの子をね)」

「Brought it home?(拾ったってどういうこと?)」

「Stole it.(盗んだの)」

「Really?(ホントに?)」

「Yes. But it had been sitting there for years. Abandoned.(ええ、だけどずっと放置されてたのよ、それこそ何年も)」

「So that means…(て事はもしかして…)」

ニックの声が、続いている。

キャロルは、もう聞いていない。

「I rescued it. Fixed it up properly. New engine, new transmission, fresh paint.(オレはコイツを保護してやったのさ、そして丁寧に治してやったんだ。新しいエンジン、トランスミッション、それに塗装も)」

「It was the coolest car around. Nothing else came close.(そうだな、他のどの車よりもクールだった)」

「Then I gave it to you two. You and Stella. You’d done a lot for me.(それをお前らにやったんだ。ステラとお前には色々世話になったからな)」

「I remember. You just showed up one day. Said ‘Here, it’s yours.’(懐かしいな、突然きて、やるよ、お前んだって)」

ニックの顔から、笑いが消えた。

「You two traveled everywhere in this thing. But in the end…the William Tell incident.(お前らは色んな所に旅にでてたな。だが、結局…例のウィリアム・テル事件で)」

「Yeah. Everything changed fast after that.(そうだな。あそこから人生が急激に変わったんだ)」


ニックが、ボンネットを開けた。

エンジンを見た。

そのまま、固まった。

「This engine — it’s dying.(このエンジン、死にかけてるぞ)」

「But it runs. Got us all the way here.(だが走ってる。実際ここまでだってこれた)」

「BARELY! Listen to this sound — does this not bother you at all!?(ギリギリだろ!この音を聞いてなんとも思わないのか!)」

ニック、エンジンをかけた。

ガラガラガラ…

「That’s the death rattle of a dying man.(これはもう瀕死のヤツの呻き声だ)」

「It’s been like this for years.(何年もこんなだ)」

「YEARS!? Why didn’t you fix it!?(なんだって!何故直そうとしない!)」

「I thought this was just… how it sounded.(これがコイツの音だって思ってたからな)」

「You’ve been driving this thing half-dead for YEARS?(何年もコイツを瀕死のまま運転してたって事か)」

「Yeah.(そうだ)」

ニックは、両手で顔を覆った。

「Jake. Jake. This is a crime.(ジェイク。ジェイク。これは、犯罪だ)」

「But it runs. That’s enough.(だが走る。それだけで充分だ)」

「NO! This car is part of your history! Part of your story! Don’t treat it like this!(ダメだ!コイツはお前の歴史の一部だ!物語の一部だろ!こんな乗り方するな!)」

キャロルが、溜息をついた。

「Here we go…(始まったわ…)」


シーン4: 家の中、夕方

ニック&キャロルの家、リビング

シンプルだけど、居心地がいい。

壁に写真。

若い頃のニック、キャロル、アラン、ジェイク。

シンディ、写真を見ている。

「You were all so young…(みんな若かったのね…)」

キャロル「A long time ago.(ずっと昔よ)」

「What were you doing in this photo?(この写真、何してるの?)」

写真: ニック、車の上に立っている。両手を広げている。

キャロル「Nick was… being Nick.(ニックは…ニックだった)」

「…That doesn’t explain anything.(それ、何も説明になってない)」

「Exactly.(そうかもね)」


キッチン

ニック、料理している。

フライパン3つ同時。

アランとジェイク、テーブルに座っている。

トシキも見ている。

ニック「So! Toshiki! You’re from Japan!(それで!トシキ!日本から!)」

「Yes.(はい)」

「I’ve always wanted to go to Japan! Never made it! Too busy!(ずっと日本に行きたかった!行った事はないけどな!忙しすぎた!)」

「What were you busy with?(何で忙しかったんですか?)」

「THIS! THAT! EVERYTHING!(これ!あれ!全部!)」

ニック、フライパンを振る。

そして。

火が出る

「Oops!(おっと!)」

火を消す。

また料理を続ける。

トシキ、少し不安そう。

キャロル、ワインを飲みながら見ている。

「Nick, the stove is on fire again.(ニック、またコンロが燃えてるわよ)」

ニック、振り返る。

本当に燃えている。

「Oh. Yeah.(ああ。そうだな)」

火を消す。

また料理を続ける。

アラン、小声でジェイクに。

「He hasn’t changed.(変わってない)」

「Not at all.(全く)」


シーン5: 夕食

ダイニングテーブル

料理が並んでいる。

ステーキ。

野菜。

パン。

ニック「Eat! Eat! Don’t be shy!(食え!食え!遠慮すんな!)」

全員、食べ始める。

ニック、話し続ける。

「So? What’s the plan when you see Stella?(それで?ステラに会ったらどうするんだ?)」

「First, apologize. Then… I want to hear what she has to say. And I want her to hear me out too.(ああ、とりあえず謝る。できれば彼女の話を聞きたい、そして俺の話も聞いてもらいたい)」

「I see! And Allan! What about YOU? She hated all of us, you know!(なるほどな!ところでアラン!お前は?俺たちみんな彼女に嫌われてたからな!)」

「I’ll just stand next to this guy and smile. Besides, we’ve got Cindy and Toshiki with us — she’s not gonna throw us out with them around, right?(オレはコイツの横で愛想でも振り撒くさ。シンディとトシキもいるから、ブチ切れて追い返されたりはしないだろ?)」

シンディが、笑いながら言った。

「So that’s the role we’re playing.(私たち、そういう役割なんだ)」

ニックが、テーブルを叩いた。

「I love it! You know what? Whether she forgives you or throws you out — it doesn’t matter! You’re all living the best kind of life. That never changes!(なるほどなるほど!お前らの行動、尊敬するよ。和解しようが追い返されようが、何が起ころうがお前らは最高の人生を生きてる事にかわりない!)」

キャロルが、ワインを一口飲んだ。

キャロル「Nick, let him eat.(ニック、食べさせてあげて)」

「I’m just talking!(ただ話してるだけだ!)」

「You’re always ‘just talking.’(いつも『ただ話してるだけ』ね)」

ニック、笑った。

そして、トシキに。

「Toshiki! You like cars?(トシキ!車好きか?)」

「Um… not really.(えっと…あまり)」

「What!? How can you not like cars!?(何だと!?どうして車が好きじゃない!?)」

「I don’t even have a license. Not really my thing.(免許もないし、あまり詳しくないんです)」

「Then tomorrow I’ll show you! Can’t send that Mustang back out on the road the way it is — you’re gonna watch me fix it!(じゃあ明日教えてやるよ!あの車をこのまま送り出すわけにもいかないからな!直すとこ見とけ!)」

シンディが、小声でトシキに。

「Just say yes.(イエスって言って)」

「…Yes?(はい?)」

ニック「Great! We start at 6 AM!(素晴らしい!午前6時に始める!)」

「6 AM!?(午前6時!?)」

「That’s the spirit! Early bird grabs the wrench!(そうだ!早起きしてレンチを掴め!だ!)」

「What kind of saying is that?(それ、なんの格言?)」

「Mine! Always has been!(俺の格言だ!いつだってそうだろ?)」

キャロルが、溜息をついた。

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