Season 3, Episode 3: The Zen Lecture (禅の説教)
登場人物
アラン・ゼンズバーグ/詩人、シンディの叔父
※アレン・ギンズバーグではありません
ジェイク・ケンドリック/作家、詩人、アランの親友
※ジャック・ケルアックではありません
田所トシキ/東大休学中、シンディの恋人、マザコン好青年
シンディ・ゴールドバーグ/アランの姪、カヨの弟子
ジェイミー・ストーン/禅僧、ジェイクたちの友人
※ゲイリースナイダーではありません
☆なんちゃって参考文献
アレン・ギンズバーグ「HOWL」
ジャック・ケルアック 「禅ヒッピー」
ゲイリー・スナイダー 「亀の島」
※読んでなくても大丈夫!
シーン1: ニューメキシコ、タオス近郊
ハイウェイ、午後
マスタング、走っている。
砂漠から山へ。
景色が変わってきた。
ジェイク、地図を見ている。
「We’re close. About 10 miles to Jamie’s place.(もうすぐだ。ジェイミーの家まで約10マイル)」
アラン、運転しながら。
「You ready for this?(覚悟できてる?)」
「For what?(何を?)」
「Jamie. He’s… a lot.(ジェイミー。彼は…濃いからな)」
トシキ、後ろから。
「What do you mean?(どういう意味?)」
ジェイク、笑った。
「You’ll see.(見れば分かる)」
シンディ「Is he nice?(いい人?)」
アラン「Very nice. But… exhausting.(とてもいいヤツだよ。でも…疲れるがな)」
シーン2: ジェイミー・ストーンの山小屋、到着
山の中、小さな小屋
質素。
でも綺麗。
周りに畑。
禅ガーデン。
マスタング、停まる。
小屋のドアが開く
ジェイミー・ストーンが出てくる。
60代。
長い白髪。
ひげ。
シンプルな服。
裸足。
でも、エネルギッシュ。
「ALLAN! JAKE!(アラン!ジェイク!)」
大きな声。
走ってくる。
アランとジェイク、車から降りる。
ジェイミー、二人をハグする。
強いハグ。
「Good to see you! So good!(会えて嬉しいよ!すごくな!)」
アラン「Good to see you too, Jamie.(こっちもだよ、ジェイミー)」
ジェイミー、トシキとシンディを見た。
「And who are these beautiful young people!?(この美しい若者たちは誰だい!?)」
シンディ「I’m Cindy. Allan’s niece.(シンディです。アランの姪)」
「Nice to meet you, Cindy! Beautiful energy!(会えて嬉しいよ、シンディ!いい空気を纏ってるな)」
トシキ「I’m Toshiki. Cindy’s boyfriend.(トシキです。シンディの彼氏)」
ジェイミー、トシキの手を握る。
強い握手。
「Toshiki! Japanese name! Beautiful! I lived in Kyoto! I studied Zen there! Did Allan tell you!?(トシキ!日本の名前!美しい!京都に住んでたんだ!禅を学んでた!アランから聞いた!?)」
トシキ、少し圧倒されている。
「No… he didn’t…(いえ…聞いてません…)」
「Come in, come in! I made tea! Green tea! Matcha! From Japan! Very authentic!(入って、入って!お茶を淹れた!緑茶!抹茶!日本から仕入れた!とても本格的!)」
大きな声。
全員、小屋に入る。
アラン、小声でジェイクに。
「He’s still intense.(相変わらずだな)」
ジェイク「Yep.(ああ)」
シーン3: 小屋の中、抹茶
小屋の中
シンプル。
畳。
座布団。
禅的な装飾。
壁にピューリッツァー賞の証明書が飾ってある。
ジェイミー、抹茶を点てている。
本格的。
茶碗、茶筅。
「This is ceremonial grade matcha. Very expensive. Very pure. I order it from Uji, Kyoto.(これは茶道用の抹茶。とても高級。とても純粋。京都の宇治から注文してる)」
シンディ「That’s impressive.(すごいですね)」
ジェイミー「Yes! Mindfulness in every sip! In Zen, tea is not just tea. It’s meditation!(そう!一口ごとにマインドフルネス!禅では、茶は単なる茶じゃない。瞑想だ!)」
抹茶を配る。
全員、受け取る。
ジェイミー「Now. Drink slowly. Mindfully. Taste every molecule.(さあ。ゆっくり飲んで。マインドフルに。全ての分子を味わう)」
トシキ、飲む。
「It’s good.(美味しい)」
ジェイミー「GOOD!? It’s TRANSCENDENT!(だよな!?超越的だ!)」
大きな声。
トシキ、少しのけぞる。
アラン、溜息をついた。
シーン4: ピューリッツァー賞
ジェイミー、壁の証明書を指差す。
「See that? Pulitzer Prize. 2003. For poetry. Did I mention that?(あれ見える?ピューリッツァー賞。2003年。詩で。言ったっけ?)」
アラン「No, Jamie. You didn’t.(いや、ジェイミー。聞いてないよ)」
「Oh! Well, I won the Pulitzer Prize! For my collection ‘Stone on Mountain.’ The judges said it was ‘profound and enlightening.’(まあいい、ピューリッツァー賞を取ったんだ!詩集『山の石』で。審査員は『深遠で啓発的』と言ってた)」
ジェイク「Congratulations.(おめでとう)」
ジェイミー「Thank you! It was a validation of mindful writing. Writing with intention. Writing with PURPOSE!(ありがとう!マインドフルな執筆を評価されたんだ。意図を持った執筆。目的を持った執筆!そういう事だ!)」
シンディ「That’s amazing. Can we read it?(すごいですね。読めますか?)」
ジェイミー、目を輝かせた。
「YES! I have copies! Signed copies! I’ll give you one!(ああ!コピーがある!サイン入りだ! 君にやろう!)」
棚から本を取り出す。
シンディに渡す。
「Read it mindfully. Every word has meaning.(マインドフルに読んで。全ての言葉に意味がある)」
「Thank you.(ありがとうございます)」
ジェイミー、アランとジェイクを見た。
「You two. You write. But… no Pulitzer.(君たち二人。書いてるな。でも…ピューリッツァーはないだろ)」
アラン、少し笑った。
「Not everyone needs awards, Jamie.(みんなが賞を欲しがってるわけじゃないよ、ジェイミー)」
ジェイミー「Awards are proof! They show the world your work is great!(賞は証明だ!偉大な作品である事を示してる!)」
ジェイク「Or maybe you’re just good at playing the game.(もしかしたらゲームが上手いだけ、って事もあるだろ?)」
ジェイミー、少し考えた。
「That’s… that’s not the Zen way…(それは…禅的なやり方じゃないな…)」
アランが、小声でジェイクに。
「He caught his own contradiction.(矛盾に気付いたか!)」
ジェイク、笑いを堪えている。
シーン5: 1990年代の話
ジェイミー、座った。
「So. Tell me. What have you two been doing?(さあ。教えて。君たち二人、何してたんだ?)」
ジェイク「We’re heading to New York. To see an old flame.(ニューヨークに向かってるんだ。昔の妻に会いに)」
「Stella?(ステラの事か?)」
「Yeah.(そう)」
ジェイミー、頷いた。
「Facing the past. Not bad. Very Zen.(過去と向き合うって事か。悪くない。とても禅的な事だと思う)」
アラン「And we’re driving. Cross-country.(それもわざわざ車でな、大陸横断だ)」
「Like the old days.(昔みたいだな)」
「Yeah. That’s right.(ああ、その通りだ)」
ジェイミー、ジェイク達を見た。
「The old days. You two and Nick Cassidy. You were CRAZY.(昔。君たち二人とニック・キャシディ。狂ってた)」
ジェイク「That was a long time ago, Jamie.(昔の話だよ、ジェイミー)」
「1995. Denver. I remember. You crashed that party. Broke a window. The POLICE came!(1995年。デンバー。覚えてるぞ。パーティーに乱入、そして窓を壊した。警察が来た!)」
アラン、溜息をついた。
「We were young…(若かったんだ…)」
ジェイミー「You were THIRTY! That’s not young! That’s old enough to know better!(30歳だったぞ!若くない!分別がつく年齢だ!)」
「It was just… a wild night.(ただ…ワイルドな夜だった)」
ジェイミー「Wild!? You involved INNOCENT PEOPLE! Nick drove drunk! Carol was crying! The neighbors called the cops! That is NOT the Zen way!(ワイルド!?無関係な人を巻き込んだ!ニックは飲酒運転!キャロルは泣いてた!近隣が警察を呼んだ!それは禅の道じゃない!)」
大きな声。
トシキとシンディ、目を丸くしている。
ジェイク、小声で。
「Here we go…(始まった…)」
シーン6: 『裸の晩御飯』とステラ
ジェイミー、少し落ち着いた。
座り直した。
「Jake. 'The Naked Dinner.' I read it. When it came out. 1981?(ジェイク。『裸の晩御飯』。読んだぞ。出た時。1981年?)」
ジェイク「Yes. 1981.(ああ。1981年)」
ジェイミー「That William Tell scene. With the apple. And the model gun. And Stella. You were INSANE.(あのウィリアム・テルのシーン。リンゴと。モデルガンと。ステラと。狂ってた)」
アラン、小声で。
「Here we go...(始まった…)」
ジェイミー「You put an APPLE on her HEAD! And shot a MODEL GUN!(彼女の頭にリンゴを乗せた!モデルガンを撃った!)」
ジェイク「It was a plastic pellet... I didn't think...(プラスチック弾だった…そんなに考えてなかったんだ…)」
ジェイミー「You SHOT her in the FOREHEAD! Plastic or not, you SHOT YOUR WIFE!(額を撃った!プラスチックだろうがなんだろうが、妻を撃った!)」
大きな声。
「She has a SCAR! A permanent scar! From YOUR stupidity!(傷がある!永久的な傷だ!君の愚かさから!)」
ジェイク「I know... I know...(分かってる…分かってる…)」
ジェイミー「The BOOK says you were drunk! Naked! Both of you!(本には酔ってたって書いてある!裸で!二人とも!)」
「It's... it happened.(それは…実際そうだった)」
ジェイミー「And you WROTE about it! Published it! Everyone read it!(それについて書いた!出版しただろ!みんなが読んだんだ!)」
トシキとシンディ、2人に注目している。
ジェイミー、少し落ち着いた。
座った。
「And Stella. Poor Stella.(それからステラ。かわいそうなステラ)」
声のトーンが変わった。
少し静かに。
「She called me. 1983. After the book came out.(電話してきた。1983年。本が出た後)」
ジェイク、少し固まった。
「She... called you?(彼女が…電話してきた?)」
「Yes. She was furious. She said, 'Jamie, he wrote about the apple. The gun. The scar. Everyone knows now. I look like an idiot.'(そうだ。激怒してた。『ジェイミー、彼がリンゴのこと書いた。銃のこと。傷のこと。みんなが知ってる。私がバカみたい』だって)」
ジェイク、少し小さくなった。
「I... I changed some details...(いくつか…詳細は変えた…)」
ジェイミー「Everyone KNEW it was her. The scar on her forehead. The nudist lifestyle. The San Francisco apartment. Thin disguise, Jake.(みんな彼女だって知ってた。額の傷。裸族の生活。サンフランシスコのアパート。薄い変装だ、ジェイク)」
静寂。
数秒。
ジェイミー、続けた。
「You know what she said to me?(彼女が何て言ったか知ってるか?)」
ジェイク、黙っている。
「She said, 'Jamie, Jake and Allan and Nick, they're chaos. They destroy everything they touch. I loved him, but he was a plague.'(『ジェイミー、ジェイクとアランとニック、彼らはカオスよ。触れるもの全てを破壊する。彼を愛してたけど、疫病神だった』)」
ジェイク、顔を伏せた。
アラン、静かに。
「Jamie...(ジェイミー…)」
ジェイミー「I told her, 'Stella, you need to move on. Mindfully. Forgive him.' She said, 'Mindfully!? He shot me in the forehead! There's no mindfulness in that!'(彼女に言った。『ステラ、前に進まないと。マインドフルに。許してあげるんだ』。彼女は言った。『マインドフルに!?額を撃たれた!そこにマインドフルネスなんてない!』)」
シンディ、小声で。
「He shot her...(撃ったんだ…)」
トシキ、頷いた。
ジェイミー、ジェイクを見た。
「You're going to see her. After all these years. Do you think she's forgiven you?(会いに行くんだろ。これだけの年月の後。許してくれたと思うか?)」
ジェイク、少し笑った。
苦笑い。
「No. Probably not.(いや。多分ない)」
「Then why are you going?(じゃあなぜ行く?)」
「Because I need to apologize. Even if she doesn't forgive me. I shot her. I scarred her. I wrote about it. I need to say I'm sorry.(謝らないといけないから。たとえ許してくれなくても。彼女を撃った。傷つけた。それについて書いた。ごめんと言わないと)」
ジェイミー、少し考えた。
そして。
頷いた。
「That... that's actually Zen.(それは…実は禅的な思考だよ)」
「What?(何?)」
「Apologizing without expecting forgiveness. Accepting responsibility. That's selfless. That's right action.(許しを期待せず謝る。責任を受け入れる。それは無私だ。正しい行為だ)」
ジェイク、少し驚いた。
「Thanks, Jamie.(ありがとう、ジェイミー)」
ジェイミー、立ち上がった。
「But!(でも!)」
大きな声に戻る。
「You were STILL stupid! Drunk and stupid! Who shoots their wife!?(それでも君はバカだった!酔っていてバカだった!誰が妻を撃つ!?)」
全員、少し笑った。
緊張が解けた。
シーン7: 説教、続き
ジェイミー、立ち上がった。
歩き回る。
「You two. And Nick. You had NO mindfulness! NO awareness of consequences! Just chaos! Reckless chaos!(君たち二人。それとニック。マインドフルネスがなかった!結果への意識がなかった!ただカオス!無謀なカオス!)」
アラン「Jamie, it’s been 30 years…(ジェイミー、30年前だぞ…)」
「Karma doesn’t forget! In Zen, all actions have consequences! You broke a window! That window was someone’s PROPERTY! Someone worked hard to buy that window!(カルマは忘れない!禅では、全ての行為に結果がある!窓を壊した!その窓は誰かの財産だ!誰かが一生懸命働いて買った窓だったんだ!)」
ジェイク「We paid for it…(弁償したよ…)」
「PAYING is not the same as NOT BREAKING!(弁償するのは壊さないのと同じじゃない!)」
シンディ、小声でトシキに。
「Is he always like this?(いつもこうなのかな?)」
トシキ、小声で。
「I think so.(みたいだね)」
ジェイミー、二人を見た。
「You two! Young people! Listen! Don’t be like them! Be mindful! Be aware! Don’t break windows!(君たち二人!若者達よ!聞いてくれ!彼らみたいになっちゃダメだ!マインドフルに!意識的に!窓を壊すな!)」
シンディ「We… we won’t.(壊しません)」
「Good! GOOD!(いいね!いいぞ!)」
ジェイミー、座った。
深呼吸。
「Sorry. I get passionate about these things.(ごめん。こういうことに熱くなる)」
アラン「We noticed.(わかってたよ)」
シーン8: 夕食、ジェイミーの料理
小屋、夕方
ジェイミー、料理している。
野菜だけ。
「I’m vegan. For 20 years. Mindful eating. No harm to animals.(ビーガンなんだ。20年になる。マインドフルな食事。動物に害なし)」
トシキ「That’s admirable.(立派ですね)」
「Yes! And healthy! I’m 65 and I feel 40!(そう!それに健康だしね!65歳だけど40歳に感じる!)」
料理を配る。
野菜の炒め物。
玄米。
味噌汁。
「This miso is homemade. I fermented it myself. 6 months. Very authentic.(この味噌は自家製。自分で発酵させたんだ。6ヶ月。とても本格的にね)」
全員、食べ始める。
トシキ「It’s good.(美味しい)」
ジェイミー「Of course it’s good! Mindful cooking! Every ingredient chosen with intention!(もちろん美味しい!マインドフルな料理だ!全ての材料が意図を持って選ばれた!)」
食事中。
ジェイミー「Toshiki. You seem like a smart young man. Have you considered graduate school?(トシキ。君は賢そうな若者だ。大学院は考えた?)」
トシキ「I’m… still figuring things out.(まだ…色々考えてます)」
「Good! Mindful deliberation! I took 10 years to decide my path. And then I won the Pulitzer!(いいぞ!熟慮しろ!私は進路を決めるのに10年かかった。それからピューリッツァーを取った!)」
シンディ、小声で。
「He mentioned it again.(そればっかり)」
トシキ、笑いを堪えている。
シーン9: 夜、就寝前
小屋、夜
ジェイミー、布団を準備している。
「You four can sleep here. I have extra futons. Very comfortable. I meditate on them every morning.(君たち4人、ここで寝れる。予備の布団がある。とても快適だよ。毎朝これで瞑想する)」
アラン「Thanks, Jamie.(ありがとう、ジェイミー)」
「Tomorrow morning, we meditate together. 5 AM. 30 minutes. Silent meditation. Very powerful.(明日の朝、一緒に瞑想する。午前5時。30分間。沈黙の瞑
想。とても強力だ)」
ジェイク「5 AM?(午前5時?)」
「YES! Early morning is the best time! The mind is clear! The air is fresh!(そう!早朝が一番!心が澄んでる!空気も新鮮だ!)」
トシキ「We’ll try.(やってみます)」
ジェイミー「NO! Don’t TRY! DO! In Zen, there is no ‘try.’ Only ‘do’ or ‘do not.’(ダメ!やってみるじゃない!やる!禅では『やってみる』はない。『やる』か『やらない』だけだよ!)」
アラン、小声でジェイクに。
「We’re leaving at 4:30.(4時半に出る)」
ジェイク、小声で。
「Agreed.(わかった)」
シーン10: 深夜、作戦会議
小屋、深夜
全員、布団に入っている。
でも起きている。
ジェイミー、別の部屋で寝ている。
いびきが聞こえる。
アラン、小声で。
「Everyone awake?(みんな起きてる?)」
ジェイク「Yeah.(ああ)」
トシキ「Yes.(はい)」
シンディ「I can’t sleep. He talked for 4 hours straight.(眠れない。4時間ぶっ続けで話してた)」
アラン「We’re leaving. 4:30 AM. Before he wakes up.(出るぞ。午前4時半。彼が起きる前に)」
ジェイク「Agreed. I can’t do 5 AM meditation.(分かった。午前5時の瞑想は無理だ)」
トシキ「What if he hears us?(彼に聞こえたら?)」
アラン「We’ll be quiet. Very quiet. Mindfully quiet.(静かにする。とても静かに。マインドフルに静かに)」
シンディ、小声で笑った。
「You’re using his words against him.(彼の言葉を使ってる)」
「Exactly.(その通り)」
シーン11: 午前4時20分、準備
小屋、早朝
まだ暗い。
4人、静かに起きる。
布団をたたむ。
超静かに。
アラン、荷物を持つ。
ジェイク、靴を履く。
トシキとシンディも準備。
ジェイミー、まだ寝ている。
いびきが続いている。
アラン、ドアに向かう。
ギィィィ…
ドアが軋む音。
全員、固まる。
ジェイミーのいびきが止まる。
数秒の沈黙
そして。
いびきが再開。
全員、安堵の溜息。
シーン12: 外へ、車に向かう
小屋の外
まだ暗い。
星が見える。
4人、静かに車に向かう。
足音を立てないように。
マスタングに到着。
アラン、運転席のドアを開ける。
カチャ
小さな音。
でも静かな早朝には響く。
全員、小屋を見る。
灯りはついていない。
大丈夫。
全員、車に乗り込む。
トシキとシンディ、後部座席。
アラン、エンジンをかけようとする。
でも。
躊躇する。
「This engine is loud.(このエンジン、うるさい)」
ジェイク「I know. But we have to.(分かってる。でもそれしかない)」
「On three?(3つ数えて?)」
「On three.(3つ数えて)」
「One…(1…)」
「Two…(2…)」
その時
小屋のドアが開く
ジェイミー、出てくる
パジャマ姿。
裸足。
髪はボサボサ。
でも、目は開いている。
「LEAVING WITHOUT SAYING GOODBYE!?(挨拶なしで出発か!?)」
大きな声。
全員、固まった。
シーン13: ジェイミーとの最後の会話
ジェイミー、車に近づく。
「You were going to SNEAK OUT!?(こっそり逃げるつもりだったのか!?)」
アラン「Jamie… we didn’t want to wake you…(ジェイミー…起こしたくなかったんだ…)」
「WAKE ME!? I was already awake! I meditate at 4 AM! Every day! For 30 years!(起こす!?もう起きてた!午前4時に瞑想する!毎日!30年間!)」
ジェイク「We… we have to get on the road…(俺たちは…道に出ないと…)」
ジェイミー「Without meditation!? Without breakfast!? WITHOUT MINDFULNESS!?(瞑想なし!?朝食なし!?マインドフルネスなし!?)」
シンディ、小声で。
「He’s really upset.(本気で怒ってる)」
トシキ「Yeah…(そうだね…)」
ジェイミー、深呼吸した。
数回。
そして。
少し落ち着いた。
「Fine. You want to leave. Leave. But…(いいよ。行きたいなら行け。でも…)」
小屋に戻る。
数秒後。
戻ってくる。
手に何か持っている。
4つの小さな袋
「Take these.(これを持って)」
シンディに渡す。
「What is it?(何ですか?)」
「Matcha powder. From Kyoto. One for each of you. Drink it mindfully. Every morning.(抹茶の粉だよ。京都から。一人一つ。マインドフルに飲んで。毎朝ね)」
シンディ、受け取った。
「Thank you, Jamie.(ありがとう、ジェイミー)」
ジェイミー、ジェイクを見た。
「Jake. When you see Stella. Apologize. Really apologize. Not just words. Mean it.(ジェイク。ステラに会ったら。謝れよ。本気でに謝れ。言葉だけじゃなく。本心で)」
ジェイク、頷いた。
「I will.(そうするよ)」
「Good. And Allan.(いいな。それとアラン)」
アラン「Yes?(はい?)」
「Stop running. From everything. Face things. Mindfully.(逃げるのをやめろ。全てから。向き合え。マインドフルに)」
アラン、少し笑った。
「I’ll try.(やってみるよ)」
ジェイミー「DON’T TRY! DO!(やってみるじゃない!やる!)」
でも、笑っている。
トシキとシンディに向き直った。
「You two. Young people. You have good energy. Don’t let these two corrupt you.(君たち二人。若者。良いエネルギーがある。この二人に腐敗させられるな)」
トシキ、笑った。
「We won’t.(大丈夫です)」
ジェイミー、一歩下がった。
「Okay. Go. Drive safely. Mindfully.(よし。行け。安全運転で。マインドフルに)」
アラン、エンジンをかけた。
ブルルルル…
うるさい。
でも、ジェイミー、気にしていない。
手を振っている。
車、ゆっくり動き出す。
ジェイミー「AND READ MY BOOK! ‘STONE ON MOUNTAIN!’ MINDFULLY!(それと私の本を読め!『山の石』!マインドフルに!)」
大きな声。
車、遠ざかる。
ジェイミー、まだ手を振っている。
「PULITZER PRIZE WINNER! DON’T FORGET!(ピューリッツァー賞受賞!忘れるな!)」
シーン14: 車の中、朝日
ハイウェイ、朝
太陽が昇り始めている。
車の中。
静かに。
しばらく誰も話さない。
そして。
シンディが、笑い始めた。
「That was… intense.(すごかったわね)」
トシキも笑った。
「Very intense.(とても)」
ジェイク「He’s always been like that.(昔からあんな感じだ)」
アラン「Good guy. But exhausting.(いいヤツだ。でも疲れる)」
シンディ、抹茶の袋を見た。
「He gave us gifts. That was sweet.(プレゼントくれた。優しいわね)」
「Yeah. He’s sweet. In his own… loud way.(ああ。優しい。彼なりの…うるさいやり方だが)」
トシキ「Should we actually drink the matcha?(本当に抹茶飲むべき?)」
ジェイク「Mindfully.(マインドフルにな)」
全員、笑った。
シーン15: Jamie、一人
小屋の前
ジェイミー、一人で立っている。
車はもう見えない。
太陽が昇っている。
ジェイミー、深呼吸した。
そして。
小屋に戻る。
中で
座布団に座る。
瞑想の姿勢。
目を閉じる。
静かに。
数秒。
そして。
小さく笑った。
「Good kids. Chaotic. But good.(いい子たちだ。めちゃくちゃだけど。いい子達だ)」
目を開ける。
壁のピューリッツァー賞の証明書を見た。
「I hope they read my book.(本を読んでくれるかな)」
また目を閉じる。
瞑想を続ける。
静かな朝。
鳥の鳴き声。
太陽の光が差し込む。
シーン16: 車、次の目的地へ
ハイウェイ
マスタング、走っている。
朝日を浴びている。
ジェイク、地図を見ている。
「Next stop: Colorado. Nick and Carol Cassidy.(次の目的地:コロラド。ニックとキャロル・キャシディ)」
アラン「How far?(どのくらい?)」
「About 8 hours.(約8時間)」
「Long drive.(長いな)」
シンディ「Will they be as intense as Jamie?(ジェイミーみたいに濃い?)」
ジェイク、笑った。
「More. Much more.(もっと。ずっと)」
トシキ「Really?(本当?)」
アラン「Nick is… a force of nature. And Carol tries to keep him under control. It’s… entertaining.(ニックは…自然の力だ。それとキャロルが彼を抑えようとする。面白いぞ)」
シンディ「I can’t wait.(楽しみだわ)」
ジェイク「You say that now…(今はそう言うけど…)」
ハイウェイ。
砂漠から山へ。
朝日。
冒険は続く。




