16話 海
目安箱の設置を決めてからそれが実現するまで、約3週間。そこには我々支援部と生徒会のプライドの奪い合い、つまり縄張り争いがあった。そのおよそ3週間はまさに戦、我々は遮二無二勝ちをもぎ取った。そしてわたしたち4人の絆は確かなものになった。しかしそれはまた別のお話。
支援部の活動は今まで、校内環境の改善もとい雑用をしてきた。それは言わば下積みで、本物の支援ではなく、支援部の本意ではない。だが準備は整えた、つまり、「つまり今日。支援部は真に始動する」そういうことだ。「支援とは苦境にある人、団体に力を添えて助けること。その準備が整ったんだ。これだ、俺はこれがしたかった。みんな協力をありがとう」「これからだぜ」達成感と光る未来に口角が上がる、體が震える、シナプスが弾ける。「真、天音、例のものを」わたしたちは横断幕を開いて見せる。「おぉ、ぉぉおお!!」縦100、横220cmの白い布に黒く迫力のある字体でただ1つ、"超人助け"。
「校内全六ヶ所、そして各教室に1つ、置かせていただく許可は掴んだ。物もある、先生方もSTの時間にその概略を説明してくれる。あとは設置だ」進藤は勝ち誇った男の顔をしている、幸せそうだ。もちろんわたしたちも。
何かが始まる。まただ、またこの感覚。きっと未来が夜空の星を捕まえたんだ。「ドキドキする」わたしたちは必定、不敵。
何事も滞ることはある。それが始めたてであれば、必然だろう。目安箱設置から4日、その中身は未だに空だ。いや厳密に言えば進藤宛に殺害予告が入っていたこともあるし、明らかに六斗宛の誹謗中傷が入っていたこともあった。うちの男性陣はなぜこんなに嫌われている。まあどうでもいいか。満を持して。
少しのうちに、梅の実が熟す、紫陽花が七変化する、雨が降る。雨は知らない記憶を呼び起こす。もう1人の家族のことを。やっぱり雨は、誰かの悲しみなのね。




