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異世界最強の転移者と15人の美少女闘刃姫  作者: 西村将太郎
第5章 産業革命
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5-7 モンゴルへ

ご愛読、ありがとうございます。

今回はクーヤがモンゴルに行きます。

 モンゴル帝国皇族の製鉄所見学の護衛として加わったクーヤ達、その帰り道でモンゴル帝国の兵に襲撃される。何とかそれを撃退したが、捕虜が言った言葉はモンゴル帝国はクーデターで滅んだはずだと。


 〇帝城 天帝執務室 転移180日目

 俺は朝早くに帝城に呼び出された。

 執務室には天帝様、コウメイ様、宰相、皇子皇女がいた。

 このメンツがここにいると言う子世は朝議が中止されたと言うことか。


 挨拶の後コウメイ殿が話し始めた。

「クーヤ殿が敵をなるべく殺さぬようにしてくれたので、彼らの狙いがはっきりした。皇帝の叔父ボルド将軍がクーデターを起こす計画が進められている。この襲撃はサランゲレル皇女の暗殺が目的だった」

 コウメイ殿が説明する。


「敵を殺さぬとは軟弱な!敵に相対し、死んでいった我部下の足元にも及ばぬわ!」

 第一皇子は俺を罵り始めた。

「兄上!、お静かに!あなたは我部下を死なせておいてよくもそんなことを!」

 サランゲラル皇女が怒った。冷静な彼女が感情を表に出すとは珍しい。

 皇子はシュンとしてる。皇女の方が立場が上なのか?


「それで、父は、皇帝陛下はご無事なのですか?」

「それは解りません。彼らはあなた方の出発の三日後にウランバートルを出発しています。クーデターの決行予定はその一週間後ぐらいでした。彼らはあなた方に追い付こうとしたようですが、隠密行動だったので追い付けずに昨日となったようです」


「では、この製鉄所見学の一行がモンゴル帝都ウランバートルを出発して三日後に暗殺部隊が出発して、一週間後にはクーデターが決行されたはずと言うことですね。一行が出発したのは1月以上前ですよね。

 製鉄所が動き始めたのは先々週です。出発が早くないですか?」

 俺は感じた疑問を話した。製鉄所が動き始めることを見越して出発するのはちょっと慌て過ぎだ。


「それはナラン兄上が、早く行けと急かして・・・、あ、兄上はクーデターを知っていたと?」

 ナラン兄上とはサランゲラル皇女の同母兄で皇太子らしい。

 ちなみに第一皇子は妾腹で帝位継承権はサランゲラル皇女より低いらしい。


「その可能性はあります。おそらくそのことを公表できない立場にあったので、皇女様だけ外に逃がしたのではないかと思います。かなり切羽詰まっていたのではないかと思います」

 皇女は目に涙を溜めていた。


「ボルド将軍に怪しまれずに逃がす機会を作ったと言うことか?で、そのボルド将軍とやらはかなりの勢力を持っておるのか?」

 天帝様が皇女に聞いた。

「はい、帝国の西側で強い勢力を持っています」


「お、俺に3万の兵を貸してくれ。俺がモンゴル帝国を取り返して皇帝になる!」

 第一皇子が唾を飛ばしながら叫んだ。

「馬鹿を言え、兵を使い捨てるやつに我が国の兵を貸せるか!」

 天帝様が本当に怒ってる。芝居で怒るのはよく見るが本気で怒るのは珍しい。余程第一皇子の事が気に入らないのだろう。


「天帝様、我が国はどうなるのでしょう。信帝国のお立場をおあかし下さい」

 サランゲラル皇女が天帝様にお願いするように言う。

「わが国は何もせんよ。モンゴル帝国とは信頼関係を築いている途中であった。皇帝から親書があればともかく、皇女からのお願いで軽々しく動くことは無い」

 天帝は冷たく言った。ここらはさすがに大帝国の主の貫禄があるな。


「そんな・・・」

 皇女は項垂れる。可哀そうだが俺に出来ることは無い。

「皇女殿、信帝国としては動くことはできないが、それ以外、例えば相談役にお願いしてみればどうかな。向こうの状況の把握だけでも頼んでみればどうか」

 へ、コウメイ様何を言ってるんだ。


 皇女は潤んだ瞳で俺を見る。やめてくれ俺はそう言うのに弱いんだ。

「相談役殿、お助けください」

 俺は困った顔で天帝様を見る。

「クーヤよ。朕もモンゴルの今の状況が知りたい。やってやれ」

 あー裏切った。


 仕方ない。ここまでされては引き受けざるをえまい。

「分かりました。まず今の状況を調べます。

 飛行機で敵がいるかもしれない場所に行くのは無理です。皇女様のお付きを一人、私の従者にして、その者の情報をもとに瞬間移動します。どなたかをお出しいただけますか?」


「従者とは奴隷のようなものですか?」

「違います。俺の異能で絆を深くして経験を共有することが出来ます。遠く離れていても話が出来ます」

 具体的に話すのが難しいんだよな。


「それでウランバートルに行けると?」

 ああ、まったくわかってない。

「行くのは俺だけです。従者からは場所、地形の情報を貰います。それをもとにその場所に瞬間移動します」


「異能とは便利なものですね。それでは行ってもらいたいところがあるので、私を従者にしてください」

 皇女が言った。

「ええ、皇女様を従者にするのですか?お付きの人で良いのですよ」


 なんでまたそんな偉い人が俺の従者に?まあ、天帝様も俺の従者なんだけどそれは秘密になってる。

「かまいません。もし、父上や兄上に何かあれば、私は、国民を守って立たねばなりません。そのために必要なことは何でもやります」

 おお、覚悟がすごい。なら、問題ないか。終われば契約解除すればいいんだから。


「では、契約をします。こちらに来てください。大乗ぬです、終わったらすぐに解除します」

 彼女は俺の前に来た。絆はまだできてないだろうから接触した方が良いな。

「手を前に出してください」

 皇女の差し出した両手を柔らかく握る。


『ナビさん、頼む』

 俺達の両手を介して魔力が流れる。

「ア・・」

 彼女も魔力を感じて小さく呟く。


『従属契約を締結しました。

 異能身体強化、従者通信、脳内地図、インストールをコピー、続いて身体強化、インストールを制限します』


 あれ、彼女の異能がコピーされない。持ってないのかな?

『彼女に従者契約への抵抗が見られます。強制的にコピーできますがどうされますか』

 いやそれはやめておこう。

 俺も無理に異能をコレクションしたいわけでもないしな。


「皇女様、でこに行けばよろしいか?」

 俺は早速、彼女に探索する場所を教えてもらう。

「はい、正門を出て右に曲がって・・・」

「すみませんイメージを思い描いてもらえますか?」

 脳内地図に慣れてないので説明がややこしい。


 俺の思い描いたイメージと違って、ゲルがない。普通の日干し煉瓦の家々だ。

 定住してるんだからゲルは必要ないのか。ちょっとがっかりした。


「ここの雑貨屋ですね。皇女様の名前を言えばわかりますか?」

 脳内地図とイメージが重なる。雑貨屋のようだ。

「ここは皇帝が下々の様子を探るために置いた場所です。あ、これを持っていれば私の使いと解るはずです」

 皇女は自分の帯のバックルを外して俺に渡した。

 銀を土台に螺鈿で装飾、赤や緑の宝石を散らした見事なものだ。昔見た正倉院展を思い出す。


「ではお預かりします」

 俺はモンゴルでは目立たない服装に着替えると転移した。

 店の近くの狭い路地の3mほどの上空に転移した。幸い周囲に人はいない。


 店に向かうと閉まっていた。そりゃ、クーデターがあったら閉めているわな。

『店が閉まってます。どうしますか?』

『左手から回って、勝手口がありますから、ドアをドンドン・・ドンドンドン・・ドンと叩いてみてください』

 皇女様に言われた通りに裏に回って、勝手口のドアを叩いてみる。


「誰だい!」

 ドアの奥から小母さんらしい声が聞こえる。どうやらどこかから俺を見ている気配がする。

「サランゲラル皇女の使いの者です」

 ドアが小さくあいた。

 俺は隙間からバックルを見せる。


 ドアが開いて、俺を引っ張り込む。

「皇女様はお元気なのかい」

「はい、今は信帝国の天都でお暮しになっています」

 小母さんはホッとした顔をする。これは暗殺隊の事を知っていたな。

 これで折れも小母さんを信用できる。


「今帝城はどうなっていますか」

「今はボルド将軍が占拠してるよ。皇帝様は弑されて正門前に首がさらされてる。皇太子さまは近衛兵を連れて東に逃げたらしい。それでボルド将軍は西から兵を集めて、東を侵略するらしい」

「なるほど東の方はボルド将軍にはなびかなかったのですね」

 ふむこれは時間がかかるな。皇太子も東で兵を集めているのだろう。


「そりゃそうさ。ボルド将軍には青狼様のご加護がない。だから皇帝にもなれなかったし、皇帝を弑してもなかなか兵を集められないのさ」

「青狼のご加護とは何ですか?」


「なんだ、あんたモンゴル人じゃないね。青狼のご加護って言うのは初代チンギスハン様が国を平定するときに神様からもらったご加護だよ。代々皇帝にはどのご加護が付くんだよ」

「そうなんですね。そのご加護ってどういったご利益があるんでしょう?」


 俺がモンゴル人ではないのは人目では分からないらしい。

 日本人も信人もモンゴル人も見た目そんなに変わんないもんね。

「知らないよ。だってわたし、皇帝様じゃないからね」

 ワハハと豪快に笑う小母さん。


「ボルド将軍が塀を集めるのに必要な時間はどれぐらいですか?」

「そうだねえ、早くて二月は掛かるだろうねえ。でも冬になるとちょっと行軍は無理かねえ」

 聞いていると時間は皇太子に味方するように思う。ボルド将軍としては冬になる前に決着をつけたいだろうな。


 俺は効くことを聞いて外に出た。

 一応城の様子を見に行くためだ。

 町は天都よりくたびれてはいるが、あまり変化はない。

 ああ、ゲルのかけらもねえな。見たかったのに。


 正門前に来ると聞いた通り、生首が晒してあった。

 これが皇帝だったものか。

 皇女には見せられないな。もう崩れていて判別も難しいけど。


 俺はそこらの路地に入って信帝国に戻った。

 執務室に戻ってモンゴル帝国でのことを報告した。

 皇女は机に突っ伏した。

 皇子は俯いて小さくなったままだ。


 コウメイ様が口を開いた。

「どうすれば良いと思う?」

 俺に聞くのか?仕方ない。

「そうですね。動きがあるまで2か月は掛かりますし、経過を知りたいなら来月位から、週に一回ぐらい覗きに行くぐらいですか」

 信帝国が動かないと言うならできることはそれぐらいだ。


「わかった。明日の午後に来てくれるか。その頃になればお二人も大丈夫だろう」

 コウメイ様がはそう言うがこれ以上俺が出来ることは無いと思うんだが。

面白かったですか?何かで評価して頂けると参考になります。

次回はモンゴルの様子を見ながら時が過ぎます。

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