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異世界最強の転移者と15人の美少女闘刃姫  作者: 西村将太郎
第4章 魔人ラッソ
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4-23 ミヤ対スパイダー、ライヤ対クラブ

ご愛読、ありがとうございます。

ミヤの試合が始まります。

 ドーテもサーベルマンに勝ち、2勝1分と無敗のクーヤ達、次はミヤの出場となる。


 〇闘技場 貴賓室 転移161日目

 えーとミヤで4試合目だから後、ライヤ、マシロ、アカネ、ヒイ、俺であと5試合か。

「こんなに試合をする意味があるのか?」

 俺はラッソに疑問を投げる。


「私もね、宮仕えの身。魔王様に頑張っているところを見せたいわけですよ。

 クーヤさんも戦っている様子を天帝様に見てもらいたいんじゃないですか?」

 ラッソはニコニコ笑って俺に同意を求める。


 どうもこいつが理解できない。

 まるで勝利を求めてないみたいだ。


『おい、クーヤよ』

 その時天帝様から従者通信が入った。

『はい、帝城にもモニターが設置されてると言ってましたが見えていますか?』


『うむ、いきなり外壁の上にそちらの様子が映されたことには驚いた』

『それでどうですか?』


『おまえ。お前の話してることもこちらに聞こえてることは分かってるんだろうな?』

『え・・・』


 ギギギ・・・

 俺の首は油の切れた扉のような音を出しながら回って、ニコニコしているラッソを睨んだ。

 俺っておかしなこと言ってないよな。


 〇闘技場 

 ミヤはこんな観客のいるところで闘うなんて悪趣味ですと呟く。

 ミヤを見たとたんに叫び声をあげるなんて、どういう教育をされているんでしょうとか思ってる。

 まあ、他人がケガをするところが見たいんでしょうね。


 審判がミヤと相手を集める。

「黒姫(コッキ)対スパイダーとの試合を開始します。・・・」

 審判は試合の注意事項を説明しているが、ミヤは相手が気になる。

 相手を見るとなんと2mを超える化け物で、全身が気味の悪い鎧で固められてる。

 痩せこけた体、長い手足、仮面を着けてるので解りませんが、ニヤニヤ笑ってそうな感じです。

 武器が刃渡り60cmくらいの短い両刃の剣を模した木剣を、逆手に持っているのも気になる。


「始め!」

 相手は動かない。

 長い手や逆手から考えて、相手を近寄らせて近距離で闘うようだ。

 誘き寄せて戦うなんて、名前通りクモみたいだ


 ミヤが先に動いた。

 ジグザグに体を振って突進する。

 相手の間合いに入った瞬間、スパイダーは右手の剣を振り下ろす。

 ミヤは上から降って来た剣を横に躱す。

 スパイダーは左の剣で、腰の高さに大きく払ってくる。

 ミヤは体を低くしてさらに加速、股を通過酢する時、大きく開いた足を薙ぐ。


 ガッキーン!!

 足は防具で固めてあった。

 後ろに回ると、また上から剣が振ってくる。

 避けて間合いを取ろうとしたところにまた横に払ってくる。


 高く跳びながら間合いを取る。

 一回、股の間を通り抜けただけで4回攻撃された。

 ミヤはこのまま攻めても有効打は与えにくいと考えた。

 普通の奴ならじわじわと搦めとられるんだろうな。


 自分を防具で固めてあまり動かずに、自分の周りに誘き寄せて戦うスタイルなのね。

 まあ、アンだけ防具で固めてりゃあ、機敏に動けないよね。

 本当にやな奴。


 有効打を与えるのに鎧の上からじゃあダメージが通らないよね。

 ドーテさんみたいに面を割るか・・・でも兜被ってるから、面あてぐらい着けてそうだし。

 普通に面や胴を叩いても有効打にならなそうだよね。

 などと考えるミヤ。


 ミヤはこれが試合で、ダメージがなくても当たった場所で、有効打とカウントされることを勘違いしている。


 意を決したミヤはまた突っ込んで行く。

 また攻撃を躱して足元にたどり着くと、股関節の隙間に思い切り木刀を突き刺す。


「イッテー!!」

 スパイダーが飛び上がる。

 ミヤが止めを刺そうとすると審判が間に入った。


「待てぇ!」


 ミヤは訳が分からず、ボーっとしてる。


「決闘じゃないんだから。ここを攻撃しちゃあ駄目!」

「ここって?」


「キン・・、ゴホン、男の急所と言うか・・」

「じゃあ、どこを攻撃したらいいの?この人、隙間がほとんどない鎧着てるから攻撃するところがなくて」

 ここの音も拾ってるので観客から笑いが漏れる。


「それは防具着てても頭とか、胴とか、肩とか、胸に強い打撃を与えたら有効打にするから」

 審判が丁寧にミヤに説明する。

「なあんだ、先に言ってよ」

 恐らく仮面の下でにっこり笑っているだろう。


「スパイダー、大丈夫か?」

「もうちょっと待って」

 そう言って蹲ってる。

 恐らく仮面の下で脂汗を掻いてるのだろう。


 ミヤは待っているのに飽いて来たのか、クーヤを見つけて手を振っている。

 クーヤは目じりを下げて手を振り返している。


「良し、待たせたな」

 スパイダーがすっくと立った。

「本当だよ。待たせすぎ」

 ミヤは文句を言うのを忘れない。


「お嬢ちゃん、この痛みは男にしか分からないんだ。もうそこは狙っちゃだめだからな」

 スパイダーの言葉が優しいのがいかに衝撃が大きかったのかを物語ってる。

「了解です。早くやりましょう」


「開始線に立って。・・・始め!」

 無頓着に接近するミヤ、スパイダーは逆手ではミヤを捕らえられないと思ったのか木剣を準手に持ち替えている。


 ミヤは相手の間合いに入る前にスパイダーより高く跳んだ。

 スパイダーは右手は上から、左手は横に払った。

 ミヤは右手、左手の剣を弾き飛ばした。


「猫人殺法、百花繚乱」

 面、肩、胸、腹、腰と目にも止まらぬ攻撃する。


 ミヤがスパイダーの前に着地する。

 スパイダーは立ったままの姿勢で後ろに倒れた。


「なんだ、これくらいで倒れるなら、早いとこやっちゃえばよかった」

 勝てたミヤはルンルン気分で倒れたスパイダーを見ている。


「勝者コッキ!」

 ミヤは勝利宣言されたが、コードネームを覚えていないのかキョトンとしている。

 スパイダーは担架で運ばれ、ミヤも入場口に戻った。


「ミヤちゃん、おめでとう」

 アオイが抱き着く。

 そのまま、控室に場所を移した。


 控室で静かに俯いている少女が二人いる。

 一人はライヤ、もう一人はドーテである。

 ライヤは次の出場であまり訓練をしていないので自信がなさそうだ。


「ライヤ、勝ち負けは考えずに練習通りの試合が出来るようにしなさい」

「でも負けたらクーヤ様の異能が・・・」

 マシロが平常心を回復させようとするがライヤにはプレッシャーが大きいようだ。


「お前は試合で勝ったのに、何で落ち込んでいる」

 勝ったドーテが塞いでいるのが気になって、ジュレイが声を掛ける。


「俺が戦った相手が父ちゃんだったんだ」

 ジュレイは驚くが、ドーテの身の上を知っている彼女は少し気になった。


「お前は捨て・・いや父の顔も知らなかったんじゃないのか?」

 ドーテは前にサル座と戦った時に父と会ったことを話した。


「そうか、じゃあお前は父とどうしたいんだ?」

「いや俺はどうとも思っていない」


「じゃあ、どうしてだ?」

「母ちゃんがまだ父ちゃんに惚れてるみたいで・・・」


 フーッと大きく息を吐くジュレイ。

「お二人とも大人なのだ。お二人に任せておけ。何か頼まれたらそれについて考えればいい」

「そうか、そうだな」

 ドーテは顔を明るくした。


 その時扉を叩く音と声が聞こえた。

「シャクドウさん、お願いします」

 シャクドウがライヤのコードネームらしい。

 ライヤは自分の両頬をパチンと軽く叩くと、木で作ったハンマーを持ち扉を出た。


 ライヤと審判が開始線辺りにいると、向こうから身長180cmくらいかなり太めの男が現れた。

 手には木でできた太いこん棒を持っている。

「なんだ、俺の相手はガキかあ。お嬢ちゃん、降参しなよ」

 相手は完全に背の低いライヤをなめ切っている。


「私はクーヤ様と人々のために戦うことを誓いました。馬鹿にしないでください」

「私語はしないで、シャクドウ対クラブの試合を行います。・・・」

 審判は紹介と試合の注意をすると二人を開始線に立たせた。


「始め!」

 審判の声とともにライヤは走った。

 そしてジャンプ、体を引き絞った弓の様にしならせるとクラブの頭上にハンマーを振り下ろした。

 ハンマーは鉄から木にして重さを合わせたことで、巨大になっていた。


 ドラム缶のような塊が空から降ってくる。

 クラブはその非日常に瘴気を失いそうだったが、それでも日ごろ鍛えた体が反応した。

 クラブの持つこん棒はライヤのハンマーを迎撃に動いていた。


 グワラグワグワガッシーン!!


 空中でハンマーとこん棒がぶつかり、とんでもない音がした。

 ハンマーはクラブの体をわずかに逸れ、地面に衝突した。

 クラブは巨大なハンマーは中が空洞なんだろうと思っていたが、その重量でびっしり詰まっていることが解った。


 今ライヤはハンマーを地面に下ろし隙だらけだが、クラブも手が衝突の衝撃で痺れていて反撃が出来ない。

 さらにクラブはこのハンマーが100kgを超えることに気が付いている。


 ライヤはひょいとハンマーを持ち上げる。

 地面にはハンマーの後がクレーターの様になっている。

「お、おまえ化け物か・・」

 クラブはライヤの力に驚くのだった。


 ライヤは横にハンマーを振る。

 クラブはまだしびれが取れないので後ろに下がる。

 ライヤはまだハンマーを振り回すことしかできない。

 まあ、ハンマーと言う武器はそれでいいのかもしれないが。


 ライヤの弱点は防御と言えるのだが、攻め続ければそれも問題なくなる。

 クラブはこんな重い物を連続で振り回せる膂力、スタミナに呆れている。

 しかし、ライヤが止まった時が勝負時と決めていた。

 人間がいくら身体強化したって、永遠には動き続けられない。

 だからクラブはハンマーを避けながら、ライヤが止まるのを待ってる。


 もうなんで逃げるのよ。

 私みたいな未熟者から逃げるってどういうこと。

 ライヤは相手の思惑にまったく気付いていなかった。


 ハアハア、息が切れる。もうダメ。

 止まると相手がかかってきそうで怖いけど続けられない。


 ついにライヤは止まった。

 もう少し、技術があれば闘技場の壁に追い詰めたりできただろう。


 クラブは今がチャンスと、こん棒を振りかぶって一歩踏み出した。

 ライヤも遅れてハンマーを振る。


 クラブのこん棒が先にライヤの頭を捕らえる


 が


 ライヤのハンマーがクラブを吹っ飛ばす。


「クラブのこん棒が速かった。勝者クラブ」

 審判がクラブの勝利を告げるが彼は10mほど飛ばされて気絶していた。

面白かったですか?何かで評価して頂けると参考になります。

次回はマシロの試合です。

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