4-22 ドーテVSサーベルマン
ご愛読、ありがとうございます。
ジュレイとドーテの試合です。
玄武国で行われたクーヤの異能を賭けた試合で第一試合はハイジが勝ち、第二試合はジュレイが出場、互角に渡り合う中、相手の「質実剛剣」の大技が炸裂する。
〇 玄武国 闘技場 転移161日目 ジュレイ
グゥワオゥー!!
すごいカザキリ音とともに十本以上に分かれた剣が振ってくる。
もう、パニックだ。なにこれ!怖い!状態だ。
私の防衛本能は逃げることを選択し、後ろに跳んだ。
二回ほど転がって立ち上がった。
日頃の鍛錬で培った受け身は、驚いて後ろに跳んだ体を痛みもなしに立ち上がらせた。
追い打ちは・・なかった。
ソードマンは木刀を地面にめり込ませたまま立っている。
あの大技の後はさすがにすぐには動けないらしい。
どうもあの多数に分かれた剣は幻影だったみたいだ。
じゃなきゃ反則の異能だ。
まあ、ここまで1秒くらいだ。
敵も構え直して、仕切り直しだ。
ソードマンが突進して来た。
あの技を撃つのに、私をどうしても壁際に立たせたいのだ。
そうそうあんたの思惑に乗ってやるか。
逃げられなくして、あの大技を使いたいんだろうけどな。
そうは、イカのキ・・・、いかん、最近ドーテとの手合わせが多いから口癖がうつって来た。
しかし、高連続で攻撃されちゃあ、深い攻撃が入れづらい。
あの技はドーテには見せたくないんだ。
しかし、クーヤ殿の期待も裏切れない。
どおおすんだよぉう。
いかん、女騎士を目指す私の自負が崩れていく。
おのれえ、みんなドーテが悪いのだあ。
おっと、渾身の一撃ってやつかな。
それぐらいドーテに比べりゃ軽い
あれ私、敵の攻撃に慣れて来たかな。
余裕が出てきたような。
でも、こちらの攻撃も受け止められるし、相変わらず隙がないな。
あの大技を反すのは一か八かになるし、あの技を出さずに負けたら話にならない。
仕方ない、やってしまおう。
まず間合いを取って、・・・気を集中・・・。
私が下がったからあわてて追いかけて来た。
間合いが空いてしまえば、単純な振り下ろしを相手に受けさせに来るか、フェイントを打つか。
おお、打って来た、それを渾身の力で跳ね上げて・・・。
今だ!
「月下砂楼!!」
この技は相手の剣を跳ね上げて、帰る刀で相手を斬る技だ。
初見ではまず対処できない。
私の剣は敵の肩口に振り下ろされる。
いわゆる袈裟斬りと言う奴だ。
ガガガ!!
奴の腕が私の木刀の軌跡に!
初見では無理と言ったのに、この男は腕甲で木刀の腹を叩き、剣をずらして避けた。
信じられない反応速度だ。
しまった!!間合いを取るのに下がったから、背中は壁だ。
来る!
ソードマンは振りかぶって叫んだ。
「質実剛剣!!」
く、今度は後ろに跳ぶこともできない。
十数本の剣の中にある本物を見極めて対処せねば。
もう十数本の剣が私に向かって降ってくる。
は、音だ。木刀が風邪を切る音が聞こえる。
私は目を瞑って、音のする本物の木刀に渾身の迎撃を!
ガッキーンッ!!
二本の木刀が空中で衝突する。
魔人に強化された力と身体強化の力がぶつかった。
二人の木刀は柄元で折れ、明後日の方向に飛んでいった。
私は壁際を脱出する
奴はまだ動けない。
もう少し早く音に気付けば、相手の木刀をいなして、反撃をすることができたのに!
「待て!!」
審判が試合を止めた。
二人の木刀を確認している。
「両者、戦闘不能につき引き分け!」
審判が宣告する。
「くっそー!!」
ソードマンが吼える。
吼えたいのは私だ。
ああ、勝てなかったのか。
情けない。
『よくやった』
クーヤ殿から従者通信が来た。
だが、私の心は晴れなかった。
審判に中央に呼ばれ、礼をした。
終わった。
頭の中はグチャグチャだ。
私は入場口に戻る。
「おまえ、技を隠そうとしただろ」
ドーテが私を罵る。
「最初はな。それでも勝てると思ったんだよ。でも強かった。お前も気を付けろ」
後半は本気で闘ったんだ。
でも、押し切れなかった。
木刀が折れなかったら、どうなっていたんだろう。
分からない。
「お前のそんな姿は見たくねえよ」
ドーテはそう言うと先に控室に戻った。
〇貴賓室
「どうです。私が作ったソードマンは。引き分けにはなりましたが、今まで敵なしだったあなたの従者と引き分けました」
ラッソは鼻高々で俺にマウントを取って来た。
「確かにな。よく鍛えられてるよ。今までの武芸者は口だけだったからな。次も期待しよう」
ジュレイにはフォローを入れたがあの調子では・・・後悔してるんだろうな。
「もちろんです。次はサーベルマンさんです。ソードマンさんより強いですよ」
これはドーテでも危ないか?
ここまで強い奴が出てくるのは想定外だな。
〇闘技場 ドーテ
ちょっと集中したかったから、呼ばれる前に出てきちまったぜ。
皆には悪いけど、あそこまで俺達と戦える奴は初めてだった。
ジュレイが引き分けるのも無理はねえ。
いや、今までの訓練を思い出して、俺ならどう戦うかをシュミレーションする。
観客席から歓声が上がる。
相手が来たようだ。
相手を見る、仮面で顔は分からないどれは俺も一緒だ。
中肉中背で髪は黒・・・。
どこかで見たような。
「石土対サーベルマンさんの試合を行います。開始線まで下がって」
審判の声で試合が始まろうとしていた。
「おい、俺は強いぞ。ケガしないうちに降参しな」
いきなりサーベルマンが話しかけてきやがった。
「なんだよ。喋れるのか?前の奴は無口だったのか」
「ソードマンは魔人に技術以外全部取られていたからな。俺は精神力が強いからな」
やっぱり声に聞き覚えがある。
しかし、旦那の従者と戦ってるのに俺に気付かないのか?
「お前ら喋るんじゃない。開始線に立って」
「おっさん、いらんことを言ってるから審判に怒られたじゃねえか!」
「お、俺はおっさんじゃねえ!まだ若いんだ!」
お、怒ってる。そこいらを攻めるかな。
「黙って!早く開始線に!」
審判がかなり怒り始めた。ここは従っておくか。心証が大事だって旦那も言ってたしな。
「始め!!」
審判が叫ぶ。
俺達が言うこと効かないから、開始線に立った途端に始めやがった。
サーベルマンは近寄ってこない。
俺から行くか。
俺は様子見などまだるっこしい真似は嫌いだからな。
まずは面小手胴のコンビネーション、・・・なんだこいつ。
剣の腹を使ってこち他の打ち込みを外していくんだが、なんと言うかヌメッて感じで力を削がれる。
うう、気持ちワリいぜ!
「フフフ、元気がいいな」
俺をからかって怒らそうとしているのか?
「やかましい、その頭勝ち割ってやるから、覚悟しろい」
躍起になって打ち込むが、やはりヌメッと外される。
「嬢ちゃんそんなうちこみじゃあ、俺は倒せねえぜ。降参したらどうだ、ああ?」
本当にむかっ腹の立つ奴だな。
俺は打ち込みの強さでジュレイとは、タメを張ってるんだ。
こうのらりくらりやられちゃ、俺の良いとこが見せられない。
こうなりゃ、俺らしくもないが相手に攻撃させて後の先をとるか?
攻め疲れたふりをして、少し間合いを空け正眼に構える。
おら~来いよぉ。
「おまえ、後の先取るつもりだろう。バレバレだっつうの」
あ、ばれてら。
このー!
突進からのぅ、抜き胴!
奴は剣で胴をかばい、後ろへ抜けた俺を払うように回転しながら攻撃して来た。
「待ってたぜぇ!」
奴の木刀は俺の首を狙ってた。
俺はしゃがみながら、奴の足を払う。
奴の木刀は俺の頭の上を通過し、俺の木刀はバック転でかわされた。
また間合いが空いて、対峙する。
奴は我流ながら、相当な場数を踏んでる。
特に守りが堅い。
この守りを崩すにどうすればいい?
俺にはジュレイみたいな技はねえし、考えるのは苦手だし、ああもう本当に・・・。
俺は考えることをやめた。
こうなったら速さと力と反応速度で闘ってやる。
「ウォォォォー!!」
何のフェイクもなく真正面から突進だ。
弾かれようと流されようとすぐに撃ち直す。
「お、おまえなあ、こんなことしても疲れるだけだぜ!」
えらそーに!
「ほうら、手当てが遅れて来たぜ!」
一応全部対応されてるけど、動揺しねーかな。
それ、面打ちだ、どうする。
連続攻撃に間に合わなかったのか、奴は一歩引いてかわそうとした。
カッ!!
俺の木刀の先端が仮面をかすめた。
多分、仮面を着けてることを忘れて間合いを読み違えたんだろう。
仮面が割れて落ちる。
奴は慌てて顔を隠すが、俺は見ちまった。
「やっぱり、父ちゃんか?」
「おまえ、ド、いや・・・」
ここでは正体は明かせないだろ。
「すまん、このままでは戦えない。棄権する」
サーベルマンは審判に棄権を申告する。
俺は小さく話しかけた。
「父ちゃん、なんで」
「まあ。俺にもいろいろあんだよ」
父ちゃんにはいろいろ話が在んだよ。
「勝者、セキド!」
審判が俺の名を呼ぶ
父ちゃんは仮面の分の間合いを読み違えただけだ。
あのままだったら負けていたかもしれない。
俺は足取り重く入場口に戻るのだった。
〇貴賓席
「実力的にはサーベルマンが優勢だった。
勝ったのはセキドの運だ」
俺の言葉にラッソが反応した。
「カメラを入れて正体を隠すようにしたのは、私達の方です。仕方ないです」
「しかし、次は用意した武芸者の中で一番強いです。負けませんよ」
「それを言うなら、俺の方もそうだ」
なにせ次はミヤだかな。
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次回はミヤが戦います。




