4-21 ジュレイVSソードマン
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ハイジの試合が決着して、ジュレイの試合が開始されます。
いよいよ、クーヤ達対魔人の試合が始まった。
一番手のハイジはアムールトラの魔獣に苦戦中。後ろを取ろうとトラを飛び越えようとした時、トラが迎撃しようと立ち上がった。
〇玄武国 闘技場 転移161日目
体長8mのトラが立ち上がって前足を上に伸ばすだけで、高さは10mを軽く越える。
ハイジの飛び上がった高さはトラの頭あたりだ。
捕まる!!
空中では避けようがない。
ハイジは頭を後ろに反らして後ろ足を前に振る。
トラの額辺りに飛び蹴りを放つ。
トラも負けじと前足でハイジを捕らえようとする。
ハイジの飛び蹴りによって体勢を崩したトラは、後ろに向かって倒れていく。
流石にネコ科の動物だ、途中で横に回って足から着地する。
ハイジは着地した時点で、意図せずトラの後ろに回る形となったので、攻撃を開始する。
トラの後ろ腿あたりに噛み付いた。
む、ハイジの横腹の辺りから血が流れ落ちる。
恐らく空中で引っ掻かれてたのだろう。
しかし、ハイジの噛みついたところからも血が流れ始める。
トラはハイジを振り解こうと暴れるが、ハイジは離さない。
両方が流血している。これは我慢比べになるか。
トラは必死に前足を振り回すがハイジには届かない。
静かに噛み続けるハイジと振り解こうとするトラ。
「これはオオカミの勝ちですか?」
ハイジを振り払えないトラを見てラッソが言った。
「いや、トラには最終戦闘形態がある。そろそろじゃないか」
ラッソの問いに俺はそう答えた。
「クーヤさんは詳しいですね。あなたの故郷にはトラが居たのですか?」
「いや、俺の生まれ育ったところには野生のトラは居なかった」
俺が動物園の飼育員さんをインストールしていることは内緒だ。
「じゃあ、どうして・・・」
ラッソがさらに質問しようとした時。トラが横に回った。
ハイジは回転に巻き込まれて、地面に体を打ち付けられる。
ギャンッ!!
ハイジは堪らず、牙を抜くが、すぐに同じところに噛み付く。
トラは仰向けになったまま体を曲げ、ハイジに前足を振るう。
届いた!!瞬時に反応して逃げたハイジの顔に一筋の血が。
体を横に曲げては届かなかったが、前に屈んだら前足が届いた。
「これがトラの最終戦闘形態だ」
トラは舌で全身毛繕いが出来る。当然体中に攻撃も可能だ。
「すごい!これを予想していたのですね」
ラッソが興奮して俺に大声を出す。
「ただ、この最終戦闘形態には大きな弱点がある」
「弱点?なんですかそれは?」
「昔、俺の故郷の人がこの近くに戦争に来ていた。その人は国の偉い人がトラの皮や肝を欲しがってると聞いてな、トラ狩りをしたんだよ。
その時にトラは追い詰められて、あの最終戦闘形態をとったんだよ。
故郷の人はどうしたと思う・」
「さあ、あの格好だと両手両足顎と5か所で攻撃できる。ちょっと近寄れませんよね」
ラッソは首を捻った。
「近距離がだめなら、中距離で攻めればいい。槍で突き殺したのさ」
「あ!・・でもそれってオオカミには攻めようがないですよね」
「でもトラもあの格好じゃあ、移動が出来ない」
足を4本とも空に向けてるんだから、歩けないよねえ。
しばらくどちらも動かない状態が続いたが、我慢できなかったトラが起き上がった。
その瞬間である。
「消えた!!」
ラミアが叫んだ。
ラミアには消えたように見えたようだが、実際は高速移動を始めただけだ。
トラにも見えているようで、視線がハイジを追っている。
もちろん俺もラッソも見えている。
ハイジは急な角度で進む方向を変える。
空中に結界を固定して、自身を蹴り返しているのだ。
異能は相手へ直接でなければルール違反じゃない。
身体強化は許されるが魔刃はダメだ。
まあ、とにかく目にも止まらぬと言う奴で、トラの隙を伺っている。
トラも動けば攻撃されると分かっているのか、微動だにしない。
ハイジは焦れたのか、いきなりトラの殺傷圏内に入る。
トラのうなじ辺りから血しぶきが舞う。
トラは反応できなかったみたいだ。
その後もトラの毛皮がハイジの攻撃で、次々と斬り裂かれていく。
トラも前足で応戦するが、空を切るばかりだ。
動きが鈍くなってきたトラの顔面をハイジが飛び蹴り、トラは吹き飛んだ。
トラは蹲り、丸くなった。
「降参だ!!」
トラの主人が叫ぶ。
「勝者、ハイジ!!」
審判が叫んで試合が終了した。
「ハイジー!!」
入場口付近にいたヒイが飛び出してきた。
「危ない!まだ、トラがいる。外に出なさい」
審判が注意するがヒイが聞くわけがない。
一直線にハイジに向かうヒイとその間に蹲るトラ。
「ヒイ!、トラはまだ元気だ!近づいちゃだめだ!」
俺は貴賓席を飛び出ようとしたが、ハイジの方が速い。
ハイジはトラとヒイの間に立つ。
トラはすでに闘志を失っていた。
ハイジはヒイに頭を撫でられながら控室に戻って行った。
トラもおりの中に戻され、試合で乱れた地面の修復が始まった。
「クーヤさん、あのオオカミは最初手を抜いていたのですか?」
「これは試合だからな。どの程度で闘えば相手を殺さずに済むかを見極めていたんだろ」
「しかし、あのオオカミの速度はすごかったですね」
「そうだろう。俺の娘達に追い付けるのはハイジぐらいだ」
俺はここでヒイとミヤを褒めておくのは忘れない。
******
〇 控室 ジュレイ
私達は入場口から試合を見ていたが、ヒイちゃんとハイジが戻って来たので、一緒に控室に戻った。
あれ、ハイジのケガがない。あれだけ血を流していたのに。
まあ、私達と一緒で治癒能力が高いんでしょうね。
控室で腰掛けると周りが見えなくなった。
もうすぐ私の出番だ。
ああ緊張する。
控室の扉がノックされた。来た!
「蒼氷さん出番です。入城門に来てください」
ギドラという男が呼びに来た。
ソウヒそれが私のコード名、パーソナルカラーは青緑だ。
果たして私にはどんな相手があてがわれるのだろうか。
皆が何か言っている様だが、私には聞き取れないと言うか、緊張しすぎている。
私は緊張をほぐすため自分の頬を叩いた。
あれ痛くない・・・どうしたんだろ。
皆が静かになってる。
「ジュレイさん・・仮面・・・」
ミヤちゃんが私の近くに来て教えてくれた。
そうだった私は仮面をつけてたんだ。そりゃ痛くないはずだ。
恐らく私の顔は仮面の下で真っ赤になっているだろう。
「ミヤちゃん、ありがとう」
私の緊張は解けた。
クーヤ殿の異能のかかった試合、緊張で負ける訳にはいかない。
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〇 試合会場 ジュレイ
闘技場の中央に試合相手と対峙する。
相手は身長が180cm以上あって、筋肉質の男だ。
武器は長さ150cmはある木刀だ。
仮面を着けてるので顔は分からない。
そうだよね。この人達も試合が終われば解放されるんだ。
流石に魔人の味方をしたのがバレるとまずいのだ。
さあ、どうするか、さすがに今までの敵の様には行かないだろう。
対ドーテぐらいで行ってみるか。
「ではソウヒ殿、ソードマン殿の試合を行います」
来た、審判の声に身が引き締まる。
「直接相手に影響を与える異能を禁止します。身体強化など、本人だけに効く異能は許可します」
審判がルールの説明を始めた。
「相手が参ったと言うか、戦闘の続行が不可能になった時、審判が有効な一打が入ったと判定した時に勝者を宣言します。それ以降の試合は中止してください。判定に異議があるときは貴賓席に居られる方に申し出ください」
「勝負がついた後の攻撃は禁止、手足による攻撃は認めます」
まあ、先に聞いた通りだ。
「では開始線に立って」
5mほど離れて書かれた開始線の上に立つ。
「構えて・・・始め!!」
まず私は様子を見るため、パッと1mほど後ろに跳ぶ。
これがいけなかった。
ソードマンは大きく前に跳び一気に間合いを潰した。
大きく振りかぶった大剣が振ってくる。
届くのか!
自分の木刀で受け止める。
何て力だ。ドーテを超えるか!
いつも相手をしてくれるドーテと比べる自分に口角が上がる。
「何がおかしい!」
ソードマンの低い野太い声が響く。
剣を引き、左右、斜め、上下と連続で大剣を振り回す。
アンタの事を笑ったんじゃない。
私は一歩も下がらず、相手の剣を受け止め、時には跳ね飛ばす。
残念だが自分の間合いには入れない。
剣の長さと腕の長さで40cmは私の間合いが遠いのだ。
私は横に回りながら相手の隙を誘うが、相手も武芸者、そう簡単にはいかない。
しかし、人間の体を使っている以上、いつまでも連続で攻撃はできないはず。
一歩下がって息を大きく吸った。
今だ!
私は背を低くして、一気に飛び出す。
ソードマンは慌てて剣を伸ばして突進を止めようとするが、そんな力の入ってない剣、横に相手の剣を払いながらも突進をやめない。
始めて自分の間合いに相手を捕らえた。
相手の胴を抜く。
ヤアアアーッ!!
ソードマンは体を思い切り捻った。
私の剣はソードマンの皮鎧を擦っただけだ。
審判の手は上がらない。
私は突進の速度を上げ過ぎたせいで、すぐには次の攻撃に掛かれなかった。
ソードマンはその隙に態勢を整えてしまった。
ソードマンはその場で正眼の構えから気合を込め、精神を集中を始める。
何か大技をやる気ね。
私は集中を乱すべく、連続攻撃を掛けようとするが、大剣を振り回され、間合いに入れない。
大剣を振り回しながら私を壁際に押し込もうとするが、それに乗ってやるほどやさしくはない。
集中が途切れるのを恐れたのか、大技をやるつもりだ。
ウオオオオオ!!
「秘技、質実剛剣!!」
そう叫ぶと上段に振りかぶった剣を振り下ろしてくる。
剣が何本にも分れ、私を襲う。
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次はドーテの登場です。




