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異世界最強の転移者と15人の美少女闘刃姫  作者: 西村将太郎
第4章 魔人ラッソ
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4-20 ハイジ対アムールトラ魔獣

ご愛読、ありがとうございます。

間が空き、申し訳ありません。

今週はいろいろなことが起こりました。

これに懲りず、ご愛読していただければありがたいです。

 クーヤ達は魔人との試合のために玄武国を訪れた。


 〇闘技場待合室 転移161日目

 クーヤは壁に張られたスケジュールを確認していた。

「開会式もなしか」

「カイカイシキってなに?」

 脇腹のあたりからヒイが顔を出す。


「催し事が始まることを宣言するのさ」

「モヨオシゴトってなあに?」

 満面の笑みで聞き返してくる。


「おまえ、勉強サボってないか?」

 スッといなくなってしまった。

 やっぱりサボっている様だ。


「クーヤ君、戦う順番も書いてあるのかな?」

 俺の後ろには背の高い従者が並んでるから、背の低いアオイには見にくいか。

「ああ、最初がハイジだな。相手は魔獣としか書いてない。始まるのは1時間後ぐらいだ」


「次は?」

 やれやれ全部読むのか。

「ジュレイ、ドーテ、ミヤ、ライヤ、マシロ、アカネ、ヒイ、で俺だ」


「名前呼ばれるのは拙くない?」

「そうだなあ。客を入れてるけどほとんど玄武国の人間だろうし、名前だけなら良いんじゃないか」

「駄目だよ。正体バレはヒーローにとって致命傷だよ」


「そうなのかぁ?」

「それで私達は考えたんだよ。闘刃姫ってニックネームがあったでしょ。それにパーソナルカラーの色を名前にして、私だったら闘刃姫青蘭(セイラン)って決めたの」


「なんだよ決まってるなら早く言えよ」

「これをお願い」

 紙を1枚俺の前に差し出した。


 当然のように全員の闘刃姫ネーム?が書いてある。

「これを魔人サイドに伝えるのね」

 全員が頷く。


「今回はパーソナルカラーが見せパンとウィッグしか間に合わなかったけど、次回から制服にも入れるからね」

 アオイがみんなに力説していた。

 この制服にはみんな賛成らしい。

 俺としては皆が普段正体がバレずに素顔で生活できればそれでいい。


「じゃあ、闘技場を見学がてら、ギドラに名前の変更を頼んでこよう」

「僕も行くぅ」

 いつの間にかヒイが俺の横で手を繋いでいる。さっきまで隠れてたくせに。

 何も言わなくても、反対側の手にはミヤがいる。


 扉を出るとみんなが付いて来る。

 仕方がないなあと思いつつ、心の奥で幸せを噛み締めていた。

 父さん、母さん、俺この世界で家族を手に入れたよ。


 闘技場の入場口に行くとギドラが居たので名簿を渡して、変更をお願いした。

 闘技場は通路から階段を2段上がる様になっていた。

 ギドラが階段を駆けあがって走っていく。


 俺達も入場口から闘技場に上がる。

 もう観客が半分以上入ってる。

 俺達を見て、面を着けていても歓声が上がる。

 5千人ぐらいいるだろうか、満員になったら1万人ぐらいになるだろう。


 闘技場は楕円形で長い方が50m短い方が30mくらいで、その周囲を階段状の観客席が囲んでいた。

 もちろん屋根はないから、雨が降ったら休みなのかなとか考えていた。

 地面は踏み固めた土で、埃が舞わない程度には湿らせてあった。


 従者のみんなは踏みこんだり、走ったりと土と新しいブーツの状態を確認していた。

「どうだ制服の調子は?」

 近くに居たミヤに話しかける。


 髪の毛のパーソナルカラーと身長で分かるんだよな。

「うん、動きやすいし、大丈夫そうです」

 一番動くミヤが言うのだから大丈夫だろう。


「面は邪魔にならないか?」

「そう!!付けていたんですね。忘れてました」

 ラッソに貰った面を俺とナビさんが解析して量産したんだよね。

 これも問題なさそうだ。


 ウォーミングアップを兼ねて、30分ほど闘技場にいてから控室に戻った。

 控室に入るとすぐにギドラが入って来た。


「クーヤ様、特別席が用意してありますので、こちらに来てもらえますか」

「もしかして、そこにはラッソがいるのか」

「ご明察です」

 ラッソって俺に異能以外で興味を持ってるよな。


「じゃあ、行ってくるわ」

 俺がそう言うと皆の表情がとたんに厳しくなる。


「駄目だよ!!」

 マシロが叫ぶ。

 ヒイとミヤが俺の服にしがみ付く。


 この子らは俺が玄武王城に、一人で乗り込んだことを知らない。

 俺はラッソに左程脅威は抱いてない。

 もちろん、ケンジや勇者パーティーの聖女を殺したことは忘れていない。


「大丈夫だ。危なくなったら瞬間移動で逃げてくるからさ」

「ホントに?」

「ああ、本当だ。じゃあ、行ってくる」

 俺はヒイの頭を撫でて、ギドラの後を追った。


 ギドラに一番闘技場側の通路を伝って、連れられて来られたのは、観客席の最前列にあるVIP席だ。

 開いているのは闘技場側のみで、観客席側からでは見ることのできない席だ。

 VIP席の中に入ると、ラッソがとラミアが居た。


「クーヤさん、わざわざ済みません。ここで試合を見守って欲しいんですよ」

 ラッソは年来の知人の様に頭を下げる。

 こいつは俺に何を見ているのだろうか。


 俺が座るとラミアが俺の前にお茶の入った湯呑みを出す。

 流石にこれは飲めんなあ。


「それで俺に何をさせるつもりだ」

「まあ、将来はともかく今はお話しした通り、異能を掛けて戦っていただくだけです」


「違う、ここへ呼んだ理由だ」

「ああ、試合を正しく行うためです。審判は私が用意しましたから問題があればおっしゃってください」

 ラッソは俺とラッソの間に置かれた四角い横長の枠を指差した。


「うん、これは?」

「前に言ったと思いますけど、試合の様子は帝城と魔王城に映像と音声として送られます。映像と音は彼が見て聞いたものでして、変えることはできません」

 ラッソが指さした先には中級悪魔が大きな箱を抱えて座っていた。

 テレビ黎明期は全部生放送らしかったから、そんなもんか。


 これはカメラとマイクを中級悪魔がやって、その映像と音声を他の場所に送る魔道具と言うことか。

 まあ、従者通信を考えればできないことはなさそうだが、難しいだろうな。

 中級悪魔がこちらを向いて、ラッソが枠をいじると俺とラッソの姿が枠の中に映った。


「大したもんだな」

「我々を生み出した者たちは、いろいろなものを私達に残してくれました。こないだの空飛ぶ絨毯もその一つです」


「ラッソ様そろそろです」

「試合開始時間ですね。選手を呼びましょう」

 ラミアの声味ラッソが応ずる。


 枠に俺達の入城口とは逆方向にある格子のついた門が写る。

 どうもカメラ人員はここにいる男だけじゃないらしい。

 おお、ズームアップして門が大写しになった。


 グウオオオオ!!

 低い唸り声が聞こえる。何が出てくるのだろうか?


 カメラが切り替わり、俺達の入城門が大写しになる。

 闘刃姫のユニフォーム姿の子供が・・・ヒイだ。

 後を追うように出て来たのは5mくらいまで大きくなったハイジだ。


 怪獣と少女、ちょっとポエミイだ。

 また映像が変わった。

 格子の門が開き始めた。


 デカい!

 現れたのは巨大な虎、朱雀国で闘った虎よりはるかに大きい。

 そうか、アムールトラが居るのか。

 ここは生息域に近い、もしかするとこちらには大量にいるのかもしれない。


 全身が見えた。

 8mはある。ハイジが子犬のようだ。


「どうです。でかいでしょう。ちょうど近郊で人食いトラが出たと言うので捕まえて魔獣化したんですよ」

 ラッソが自慢げに話す。


 ガアウォオオオオー!!


 トラの咆哮が上がると観客席から悲鳴が上がる。

 ここらに住む人には恐怖でしかないよな。


『ヒイ、ハイジは大丈夫か?』

 ヒイやハイジがダメと言うなら棄権させよう。


『うん、ハイジは大丈夫だって』

『そうか、相手は強そうだ。危ない時は俺に言え』


『ハイジはセンセーが、トラと戦った時より強くなってるって言ってる』

 でもその時のトラより強いんだけどな、仕方ない、いざとなったら助けてやるか。


 審判が二頭を中央に寄せる。

 10mくらい離れて対峙すると、ヒイと相手の主人が入場口まで離れた。

 トラも命令に従っているのか、暴れる様子はない。

 審判も後座擦りを始めて、一挙に緊張が高まる。


「始め!!」

 壁際まで下がった審判の声が響く。


 ハイジはその場に留まっている。

 トラはのそりと歩き始めた。


 両者の距離は徐々に縮んでいく。

 気を付けろ。ネコ科の猛獣には爪と言う武器がある。

 イヌ科の動物にはほぼ牙しかないのに。


 トラがいきなり前足をハイジに向かって振る。

「お、猫パンチだ」

 ラッソが緊張感のないことを言う。


「あれは爪で相手を捕まえようとしたんだ。爪を出していただろ」

 俺は解説する。

 ハイジは当然のように飛んで避けている。


「捕まえてどうするんです?」

「引き寄せて喉に噛み付いて、気道を塞いで窒息させるんだ」

 俺は日本で得た虎の狩りの方法の知識をラッソに教えてやる。


 トラは何度も前足を振るが、身軽に避けるハイジを捕らえられない。

 トラの顔に苛立ちが現れて来た。

 しかしハイジは避けているだけで、攻撃は全く出せてないのだ。


「オオカミは自分より大きい敵と戦う時はどうするのですか?」

「オオカミは基本的に大きい敵と戦う時は一頭では戦わない。多数で相手を包囲して、相手の攻撃が来ないところへ噛みつく。振り払われても同じことを繰り返す。相手の体力がなくなるまでな」


「では、一頭で闘うこのオオカミはかなり不利だと言うことですか」

 ラッソめ、言いたいことを言いやがって。

 しかし、ヒイからは不安な感情を感じられない。


「俺は信じてるよ」

 ヒイとその獣魔をな。


 その時ハイジがトラを飛び越えて後ろに回ろうとした。

 しかし、トラはくるりと回転してハイジを正面に据えた。

 やはり、すごい動体視力と反射神経だ。


 ハイジはとにかく前足の届く範囲に噛み付くことはできない。

 相手の攻撃の方が強いからだ。


 ハイジはトラの周りをまわり始めた。

 しかし、トラの回る速度の方が速い。

 ハイジはトラの死角を取れないでいる。


 ハイジは高く飛んだ。

 一度失敗した、後ろへ回ろうと言うのか。


 トラが伸び上がった。

 ハイジを迎撃する。

 両の前足をハイジに伸ばして捕まえるつもりだ。


「ハイジ!」

 思わず俺は叫んでいた。


面白かったですか?何かで評価して頂けると参考になります。

次回は今回の続きとジュレイの試合が始まる予定です。

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