4-19 闘技場
ご愛読、ありがとうございます。
闘技場に到着です。
魔人との話し合いで、玄武国で武芸者に憑依した魔人と試合することになったクーヤ達は、試合までをどう過ごすのか。
〇 寮 転移153日目
今日は試合のできないアオイが闘刃姫のユニフォームを作ると言い出し、ショッピングで買ったものを食堂でお披露目するらしい。
食堂の奥に学校でよく見た鉄の枠に布を張った衝立をいくつか置き、そこで着替えるらしい。
衝立の中にはアオイとマシロが居て、もそもそと衣擦れの音がする
着替えているのかなと思ってると衝立の中から声がする。
「これの上に着る物は?」
衝立の向こうでマシロがアオイに要求している。
「これだけだけど」
「ないの?!・・・バカかあー!!」
ドンと音がすると衝立とアオイが倒れて来て、その後ろのにはマシロが・・・。
いわゆるIフロント、Iバックと言う奴で、脇腹くらいまで斬り込まれている。胸も下だけ隠すハーフカップだ。
「キャー!!見ないでー!!」
マシロは驚いて蹲るがお尻は丸出しだ。
慌てて、アカネとジュレイが衝立を起こす。
ファッションショーは中止になった。
俺はアオイを呼んだ。
「お前何考えてんの?」
「だって、ファンタジーのヒロインってそうじゃないの?」
本を何冊か俺に渡す。
それは、美少女を何人か使って敵と戦うゲームを紹介する本だった。
そこにはマシロと同じような格好の美少女が描かれていた。
知らないうちにゲームは過激になってたようで・・・。
アオイはそのコスプレ衣装を買ったようだ。
「こんな格好で人前に出るの?」
「今はコスプレイベントが盛んだから、いっぱいいるよ」
イベントの写真も紹介されていた。
ゲームキャラが着るキワッキワの衣装を身に着ける女性がたくさん写っていた。
俺が知らないうちに世の中は変わったようだ。
「これにしよう」
俺が指さしたキャラはベレー帽、Tシャツ、タイツ、ベスト、ミニスカート、手袋、短めのブーツを着た少女だった。
「ええ、露出がないじゃん」
「それって必要か?」
「私はちゃんと調べたんだからね。SFやファンタジーのヒロインの服装は露出が命、ドーテだってビキニアーマーだったでしょ」
そんなものなのか?
ドーテを呼び、聞いてみた。
「ドーテはなんでビキニアーマーを着てたんだ?」
「え、俺達の民族衣装かな?昔から戦いの時にはあの格好だ。安いし、動きやすいしな。でもこっちに来たら寒かったなあ。ベルに上着を買ってもらった。
旦那たちと会った時はもう暖かかったから脱いだけど」
そう言うとニシャッと顔じゅうで笑った。
「と言うことでドーテのビキニアーマーは故郷の気候が暖かかったからだ。露出過多は却下だ」
「ええー!」
「自分が着ないから露出を増やそうとしているのか?」
「そんなことは・・・なんでこんなおとなしい服がいいって言うのよ!」
自分のことを棚に上げておれを責めて来た。
「だってヒイやミヤが着たら可愛いと思わないか?」
「やっぱり、ロリコンか」
「な、何を言うんだ。俺は正常だ」
俺は父親だと言ってるのに、不条理だ。
******
〇 寮 転移155日目
試合に向けて全員で特訓をする毎日。
その夜、寝室に来たのは転移娘ではなかった。
「クーヤ様、ナビさんの許可が出ましたので参じました」
ライヤである。
俺はベッドに入った状態で足を延ばして座った。
「二つ聞いておきたい。俺でいいのか?」
「はい、私はあなたに惚れましたし、返せないくらいの恩を貰いました」
恩と言うのは暗殺者だった彼女を助けて、ドワーフ族の名誉を回復したことだろう。
「そうか、俺は君を好ましくは思うが、愛しているかと言われると自信がない。それでもいいのか?」
「はい、私はあなたのそばに置いていただけるだけでも嬉しいです」
なぜ俺なんかにそんなに入れ込むかなあ。
「もう一つは君はジュレイやドーテと違って戦うことは本文じゃないはずだ。どうして訓練に参加し、戦いにも参加しようとするのか?」
ライヤは可愛く首を捻った。
「もうここは私の居場所です。それを守ることは当たり前だと思うのですが」
女性でもそこは親が通っているな。
「でも、戦いは不得手じゃないのか?」
「戦いについてはナビさんが教えてくれますし、よく似た武器の達人もインストールしてくれました」
そうか流石にハンマーを武器にする達人は居なかったか。何を武器にしてるのかな。
「じゃあ、服を脱いでこちらへ」
手招きしても俯いているだけ。
「どうしたの?はずかしい?」
「私は背も低いし、肩幅が広くて、筋肉質で、クーヤ様に見ていただく価値はありません。どうかライトを切ってください」
うーん、マシロの半裸を見てコンプレックスでも感じたか?いや風呂は一緒に入ってるはずだし。
ドワーフ族って言うだけで人間に引け目を感じているのかな。
「俺の国では人間を見た目で差別することは、最低の事だとされている。まあ、こっちに来て初めて会ったのが竜人のカクタスで驚いたけど、今では親友と言って良いだろう。獣人のヒイも、鬼人のゴンタも親しくなった。君が人間に引け目を感じることは何もない。自信を持ってくれ」
「ありがとうございます」
ライヤの顔が明るくなった。
「でもライトは切ってください」
ライトを切った部屋を月明かりだけが照らしていた。
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〇 寮 転移156日目
夜、順番でアカネが来た。
1時間後、俺は上を向いて目を閉じているアカネに話しかけていた。
「ライヤが昨日来たけど、君達は良いのか」
「知ってるけど、アタイたちがヤキモチを焼くと思ってるのか?」
「まあ、普通はそうじゃないのか?」
「アタイ達には打算がある。
アタイ達は孤児だ。核戦争後の日本に帰っても頼るものは何もない。あんたに貰った力もなくなる。
こっちの世界でも一緒だ。あんた以外に頼れるものは無い」
アカネは続けた
「ジュレイやドーテ、ライヤも一緒さ。
あの子らの後ろには大勢の人間がぶら下がってる。
愛もあるけど打算もあるのさ。
でも勘違いすんなよ、アタイ達は打算もあるけど、アンタとずっと一緒に居たいと純粋に思ってる。
それだけに一途な思いだけでアンタについて行く、ヒイとミヤには妬いちゃうかもな。
アンタにへばりついてりゃ、人並み以上に生きられるんだ。
アンタのことは好きだけど、ヤキモチでアンタの生きる道を邪魔するつもりはないよ。
アオイはアンタの嫁はもっと増えるって言ってた」
アカネはこっちを向いて目を開けた。
「俺だって、一人じゃあ生きられない。事実、俺を妨害する物との戦いは手伝って貰ってるしな」
「へへ、アタイ達も従者が増えれば増えただけ強くなれる。これは生きていく力だ。
今は将来ってやつは見えないけど、落ち着いたら子供の4、5人は産んでやるから覚悟しろ」
「ははは、お手柔らかに頼むよ」
アカネはベッドの上で立ち上がった。
「じゃあ、戻るか」
アカネはそのスレンダーな姿態にパジャマを纏っていく。
「ヒイやミヤにバレるとまずいからな。あいつらは本気でヤキモチを焼きかねない」
あの二人にバレたら絶対同衾を求めてくる。それは拙い。
「お休み」
アカネが自分の部屋に戻って行く。
食堂に続く扉が閉じられた。
俺はライトを切って、眠るために目を閉じた。
俺は間違ってないはずだ。
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〇 玄武国 転移161日目
その日の朝、俺は瞬間移動で玄武国に来て、郊外の目立たないところにヒイの家を建てた。
ヒイの家から寮のゲートまでワームホールを繋げて行き来できるようにする。
従者通信で皆を呼んだ。
試合用に作ったユニフォームに着替えてゲートから出てくる。
「おい、ちょっと待て、俺が指定したのと違うじゃないか!」
ベレー帽なし、Tシャツはノースリーブその上にベスト、ミニスカートにタイツなし、手袋もなし。
「だって真夏にあの格好は暑いよ」
「ちょっと動いたらパンツが見えちゃうじゃないか!」
「大丈夫、見せパンだから」
アオイがスカートをまくる。ブルーのブルマのようなものを吐いているが、太ももは丸出しだ。
「ジュレイなんか仮面があっても、白虎獣人なのが丸わかりじゃないか」
「大丈夫だってベレー帽と仮面とウィッグはセットだから」
俺に自分のセットを見せる。
なるほどいつの間にか仮面を量産したらしい。
ウィッグは青で仮面も青の模様が入る。
「色を合わせてるのか?」
「みんなにパーソナルカラーを決めてもらって、それに合わせたの」
「僕は金色だよ」
ヒイがスカートをまくり上げる。
金色のブルマと細い太ももが見えた。
アオイのは気にならなかったが、ヒイのは恥ずかしい、なんでだろ。
皆に帽子と仮面、ウィッグのセットを付けさせて準備完了だ。
バイクにヒイとミヤをワンボックスに残りの皆を乗せて王城に向かう。
王城では軍隊が引き揚げ、正門の前ではギドラが待っていた。
「ようこそいらっしゃいました。では闘技場に案内いたします」
ギドラは馬に乗って先導する。速度が遅いので、建物の影から覗いてる人達まではっきり見える。
仮面を付けさせておいて正解だな。
10分ぐらいで闘技場に着いた。
向こうの方に人が並んでいる。
「おい、客を入れているのか?」
「もちろんです。声援がないと寂しいでしょう」
本当に何を考えているんだ
選手用の入り口に何人かの多分中級魔人が警備している入り口から闘技場に入る。
「こちらが控室になります。この廊下の先が闘技場になっております」
入り口からいくつかの部屋や通路を越えて、一番奥の部屋が控室になっていた。
「私はこの奥の登場口に居りますので、用事があればお申し付けください」
そう言って控室から出て行った。
「あいつが中級悪魔ね。強いのかしら」
「いやそうでもないと思うぞ。ミヤでも簡単に勝てる」
俺がマシロにそう言うとアカネが噛みついてきた。
「ミヤちゃんと比べられてもねえ。あの子私達の中で一番強いし」
「だって最近ミヤとしか練習してないから」
俺が言い訳すると面を着けてるから解らないが、怒ってるみたいだ。
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次回はハイジの戦いから始まります。




