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異世界最強の転移者と15人の美少女闘刃姫  作者: 西村将太郎
第4章 魔人ラッソ
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4-17 決断

ご愛読、ありがとうございます。

今回は玄武国の事件についてクーヤが決断します。

 ラッソは玄武国の王城を占領し、王族を人質に取って立てこもった。

 偵察に行ったクーヤはラッソから人質を解放するから試合をしろと言われる。

 決断できないクーヤはとりあえず寮に帰った。


 〇 天都 寮 転移151日目

 俺は寮の執務室に転移した。

 執務室は今は寮に従者しかいないので中にいれば事前に確認できるし、朝にヒイとミヤが掃除に入るぐらいで、重なる心配がない。


 俺が転移したとたん、廊下を走る音が聞こえて扉が開いた。

「センセー!おかえりー!」

「ご主人様おかえりなさい」


 ヒイとミヤが飛び付いて来たので、両手で受け止める。

 この子達は従者の繋がりだけで俺を感知しているのなら迎えが速すぎる。

 どうやって解ったんだろ。


 最近はミヤも遠慮せずに抱き着けるようになってきた。

 自分は奴隷だと認識して、行儀作法に忠実であろうとしていたのだろうが、やはりヒイに感化されたんだろうか。

 父親を自負してきた俺としては非常に嬉しい。


 残りの従者が執務室に入ってくる。

 この部屋では狭すぎる。

「食堂へ行こう」


 二人を降ろそうとしたが降りないので、抱えたまま食堂に入った。

「あんたねえ、父親を気取ってるつもりでも、傍から見たらロリコンだよ」

「締まりのない顔でニコニコして、見ていて恥ずかしいです」

「クーヤ君、尊敬できるリーダー像であってほしい」


 アカネ、マシロ、アオイの攻撃に俺の残りHPは一桁に・・・。

 俺は、俺は、ロリコンじゃねえ!

 俺の心の叫びは空しく消えて行くのだった。

 ドーテがロリコンってなんだ、と3人組に質問してる。知らなくていいんだよ。


「ゴホン、みんな座ってくれ。

 玄武国であったことを説明するぞ」

 ロリコンで盛り上がりかけた従者達を食堂で座らせた。


「まず、言っておく。玄武国では俺達への要求がされた。これについてはこの後、天帝様と話し合う。

 君達に言いたいのは俺がこれを受けるにせよ、断るにせよ君体は自由だと言うことだ。

 ラッソの要求は俺達との人死にのない試合をしたいそうだ。

 試合をするなら王族を解放するそうだ。


 そして、試合に俺達が勝てば、信帝国への魔人の攻撃は無くなる。負けた場合は俺の異能を奪うそうだ。

 試合をしない場合、魔人は王族を殺し、玄武国を侵略するそうだ」


「ちょっと待って、これまでの戦いと違いすぎて、裏も何もないの?」

「ああ、魔人は金や権力には興味がないみたいだ。前軍務大臣みたいな姑息な手は使わない」

 マシロはあまりに明確な要求に混乱していた。


「なんでい。旦那、俺には行けと言ってくれりゃあ、それでいいぜ」

「私は人々を守る騎士を目指しています。どうか連れて行ってください」

 ドーテとジュレイが言う。


「うーん、これまでと違って、レベルが国が考えることなんだよ」

「アタイ達が解決できることなら、戦ってやるぜ」

 アオイとアカネが言う。


「僕はセンセーと一緒だよ」

「私もご主人様に従います」

「ウォン!ウォン!」

 ヒイとミヤとハイジが言う。


「私はまだ戦いになれてなくて自信がありません」

 ライヤが自信なさげに言う。


「言ったようにどう動くかは個人の自由だ。天帝様との話し合いの結果を待ってくれ」

 そう言って俺は帝城へ瞬間移動した。


 ******


 〇帝城 天帝執務室

 先に連絡を入れておいたので天帝様、コウメイ様、宰相が俺を待っていた。

 流石に瞬間移動で現れると宰相は嫌な顔をした。

「クーヤ殿、門を通って来てもらえんか?」


「申し訳ございません。それをしていると夜になってしまうものですから」

 俺は謝った。直接、ここに来ることが警備上、問題があることがわかるからだ。


「宰相、それぐらいにしてやれ。朕が許可を出したのじゃ」

 宰相もちょっと注意をしたかっただけなのか「はっ」と言って引き下がった。


「魔人の要求は二人には話した。それでじゃが・・・」

 天帝様の話を手で止め、コウメイ様が話し始めた。


「今日も引退した巫女まで使って巫女通信が来た。玄武国からは救援要請が来た。

 もうこの話は外に漏れている。明日朝議に掛けられる。

 貴族達は自分の腹を痛める遠征より君達の派遣を望むのは明白なのだ」


「俺に行けと仰る?」

 巫女の中には貴族と懇意なものもいるはず、完全な情報封鎖は無理か。

「いや、君に命令できないことは分かっている。それは天帝様が約束したことだ」


 俺は天帝様に雇われている立場だ。ただし、仕事は選ぶことが出来る。

 軍務大臣の時は産業革命をやる上での敵対勢力だったし、俺達の強敵ではなかった。

 朱雀国の虎や白虎国の恐竜は想定外でちょっと無理はしたけど、人助けだったし、俺達しかいなかった。


 今回のラッソには一回は勝ったが、今回は自分のテリトリーに誘き寄せてる。

 自信ありげに俺に挑むラッソを見て不安になった。


「しかしだ。明日から天帝様は貴族達の突き上げを食らうことになる。そうすれば君に依頼するしかなくなると言うことだ」

 コウメイ様、いやらしいなあ。搦め手から攻めてきやがった。


「いや、兄上、朕は王城からケガ人一人も出さずに1000名の兵を追い出した武力を考えると、魔人の武力を侮ることはできないと考えている。


 玄武国には交渉の道を探らせているが、まったく話に乗ってこない。

 話が出来たのはお前だけじゃ。


 玄武国の全軍と北部方面軍の半分を出したとして魔人に勝てるのか?

 勝てたとしても何万人が犠牲になるかもしれん」


 天帝様はそこで言葉を切った。

 俺達も魔刃を開発していなければ恐竜魔獣に勝てなかったかもしれない。

 魔人や魔獣は武器に魔力を纏わせないと斬れないことがある。その状態が魔人自身でコントロールが出来るのか分からないが、一般兵には脅威だろう。


 天帝様はこの事件の責任を感じているのか・・・。

 俯く天帝様の姿を見て俺はショックを受けた。

 今まで俺と従者の事ばかり考えていたが、俺達がここで生きて来れたのは天帝様のおかげだ。


 このまま天帝様につらい思いをさせておいていいのか?

 玄武国のことは知らんが、天帝様を悩ますラッソには無性に腹が立ってきた。

 彼女はまだ子供なのだ。保護されるべきなのだ。


「天帝様、俺が戦います。どうせここで断っても、また仕掛けてくるでしょう。ここで後顧の憂いを断ってきます」

 あーあ、言っちゃったよ。もう後戻りはできねえ。


「クーヤよ、良いのか。従者も巻き込むことになるのじゃぞ。それに異能を取られたら、いずれこの国も

 奴等の軍門に下ってしまう」

 ああ、喜ぶより心配の勝った顔だね。大丈夫、俺が笑わせて見せる。


「勝ちますよ。もしも負けたとしても天帝様の代はこの国を攻めないように約束させます」

 俺達が勝った時にそうすると言っていたから、大丈夫じゃないかと思う。


「そんな約束をして信用できるのか?」

 コウメイ様が言って来た。


「とにかく明日玄武国に行って詰めてきます」

 俺はラッソの言葉に嘘は感じなかった。ゼブルもそんなことを言っていた。

 まあ、奴が裏切れば俺が何とかすればいい。


「朕としてはお前に頼むしかない。情けないことだがな。まあ、お前達なら死ぬことはあるまい」

 天帝様が少しほほ笑んだ。これは頑張るしかあるまい。

 朝議で堂々と貴族達に言い返す天帝様が見えるようだ。


 ******


 〇 寮

「あきれた、そんなことで引き受けちゃったの?」

 マシロに呆れられてしまった。

「だって天帝様は俺達の恩人じゃないか」


 俺が寮に帰って帝城での話し合いの内容を話したら皆に囲まれてしまった。

 俺とヒイとミヤは天帝様に依頼されることでこの世界で生きる糧を得た。

 転移娘達は天帝様が俺に紹介したことで、この世界で生きることができた。

 ジュレイは母を天帝様に救われたし、ライヤは父の罪を許された。

 ドーテは産業革命で村が救われようとしている。

 皆天帝様に恩を感じて良いはずだ。


「でも私達の天帝様を救ってるよね」

 クーデターで天帝様の命を救ったこともあったか。

「だから恩と言うのはやめて欲しい。クーヤ君が助けたいかどうかを言ってほしい」

 アオイが真剣な顔で言った。


「そうだ、アタイ達は天帝様の恩と言うものより、クーヤの意志で動きたい」

 アカネの言葉に全員が頷く。

 こいつら俺が帝城に行ってる間に話し合っていたのか。


 仕方がないここは素直に従っておくか。

 どうせ、木製武器だし、再生の異能があれば死ぬことは無いだろう。


「解った、俺はラッソと戦う!みんな手伝ってくれ!」


「おう!」×8

「ウォォン!」


 俺はみんなの決断の声に包まれて、俺は決意を新たにする。


「勝ったら嫁にしてくれ」

 ドーテが俺の右腕にしがみ付く。


「ずるいです。私も」

 ライヤが左腕に飛び付いた。


「わ、私も・・・」

 ジュレイが背中に回るが抱き着けないようだ。


「あれ、お前は嫁にならないんじゃなかったけ」

 ドーテがからかう。


「私はあ!白虎国を背負ってるんだあ!」

 ジュレイが故郷を言い訳に顔を真っ赤にして叫ぶ。


「最近クーヤ様を見る目が怪しいです」

「色恋は関係ないとか言ってたんだぜ」

 ライヤとドーテはジュレイが恥ずかしがるのが面白いのか、からかうのをやめない。


 ちょっとまずいなと俺が思った時だった。

「あんた達、人が恋するのは自由だ。からかうもんじゃない」

 マシロだった。この子は皆のお母さんだな。


「ごめんなさい」

「すまん、調子に乗った」

 二人はすぐに謝ってくれた。


 うちの娘達はええ子ばっかやあ。


 その夜、俺はなかなか眠れなかった。

 俺の決断は負ければ、魔人が異能を他人に移す異能を手に入れて、神の如くになった魔人が世界を征服するかもしれない。


 しかし、逃げてもいずれは魔人とは真っ向から戦わなくてはならなくなる。これは俺がこの世界で生きる限り、必然ともいえる。

 

 もう迷わない。俺は俺の前に立ち塞がるものは排除して生きていく。

 日本では戦わずに逃げていたが結果は悲惨なものだった。

 だったら、戦って生き抜いてやる。

面白かったですか?何かで評価して頂けると参考になります。

次回は試合に向けてクーヤ達が努力します。

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