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異世界最強の転移者と15人の美少女闘刃姫  作者: 西村将太郎
第5章 産業革命
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5-16 皇太子ナラン

ご愛読、ありがとうございます。

今回はモンゴルの皇太子と会談するため、行軍中の皇太子軍を尋ねます。

 反乱軍の襲撃を受けたウランバートルの街を従者達を連れて救援に来た。

 クーヤは途中抜け出して皇太子軍の居場所を確認、サラとミノンを連れて皇太子との会談に望もうと思っていた。


 〇ウランバートル帝城の前

 ヒイがケガ人を担いで俺の横を通り過ぎようとした時、俺に気付いたようだ。

「あれ、センセー帰って来たの?」

「ああ、すぐにまた出るけどな」

「ヒイも行って良い?」

「偉いさんと会うんだ」

「じゃあ、やめとく」

 アカネの方へそのまま走っていった。


「マール、マシロとジュレイはどうしてる?」

「食料を受け取りに来れやん人たちを探して、配ってる」

「そうか」

 サラとミノンを連れて行くのはヒイが空いてからだな。


 ヒイが戻って来た。

「ケガ人を送って行かなくていいのか?」

「大丈夫、治って走って帰った」

 そうか治療に来てたんだったな。


「じゃあ、ヒイ、ミヤとマールとここで働いてくれるか?サラとミノンを連れて行くからな」

「うん、良いよ」


 サラとミノンをヒイの家に連れて行った

「モンゴルの正式衣装に着替えておいてくれ」

 二人をゲートから闘刃姫寮に戻すとヒイの家を収納した。

 そして俺は皇太子の軍勢の30分くらい手前に瞬間移動した。


 〇皇太子軍の近く

 俺はヒイの家を出して、サラからの連絡を待った。

『クーヤ様、用意が出来ました』

 連絡をくれたのはミノンだった。


「じゃあゲートを繋ぐからこちらに来てくれるか」

『はーい』

 いや、驚いた。ミノンは袷に裳という信帝国でも標準の女官スタイルだが、サラがすごかった。


 サラは赤紫の光沢のある細身の踝まである絹のワンピースに、金の装飾の帯状の物を肩から裾まで垂らして、頭には円筒状の黒い帽子をかぶっている。帽子の側面は金糸や宝石で地の色が見えないくらいだ。

 帽子の先端には赤い突起が見える。

 長い髪は三つ編みにして左右に垂らしていた。

 髪には数珠上の白い髪飾りが巻かれていた。


「サラ、本当のお姫様だな」

「はい、兵達にも高貴な人間と解るように天帝様の謁見用の衣装にしました」

 なるほど、この後皇太子のところまで連れて行ってもらわんとだからな。


 暫く後、玄関の戸を叩くものがあった。

「誰か居るのか!出てこい!」

 さすが軍隊、乱暴な口調だ。

 まあ、皇太子軍の偵察部隊だろう。


 ミノンが玄関の戸を開けると兵隊が家の中を覗き込む。

「こんな家今までなかっただろ。何時作ったんだ?」

 覗き込んだ若い兵がミノンに強い言葉を吐く。

「無礼な!名乗りもせずに尋ねるなど、許しませんよ!」

 ミノンは若い兵の物言いに憤りを覚えたようだ。


 若い兵がウグっと言って引っ込む。

 変わって中年の兵が顔を出す。

「済まねえな嬢ちゃん。俺達は皇太子様の軍で、反乱軍をやっつけに行く途中でさ、怪しいものがあったら調べにゃならんわけよ」

 中年の兵はにやにやしながら話す。


「この家は、サランゲラル皇女殿下が皇太子殿下にお話があり、到着を待つために信帝国相談役クーヤ様が建てられたものです」

 ミノンがそう言うと今度は中年兵も顔を引っ込めた。


 玄関の外から声が聞こえる。

「え、皇女殿下?」

「ど、どうする?」

「そんなの、俺達じゃ」

「そうだ、隊長呼びましょう」

「隊長呼んでどうするんだ?」

「丸投げするに決まってるでしょう」

「ああ」


 玄関に中年兵が顔を出した。

「我々では判断できませんので、上司を呼びます。しばらくお待ちください」

 二人は慌てて馬に乗って駆けて行った。


「クーヤ様、これでよろしかったですか?」

 ミノンが俺に確認する。

「ああ、いいよ。隊長とやらもすぐに来るだろう」

 怪しい家を見つけたんだ。他の兵隊は周囲を探索しているのだろう。


 やはり、5分と立たないうちに玄関の戸を叩かれる。

「ナラン皇太子殿下の部下のジュチと申します。サランゲラル皇女殿下が居られると聞きました。ご尊顔を拝したくお願い申し上げます」

 また、ミノンが対応する。


「ジュチだって知ってる?」

「兄の親衛隊長ですね」

「じゃあ、皇太子への謁見を頼めるね」

「分かりました」

 サラが部屋を出ようとした時ミノンの声が響く。


「皇女殿下への謁見で、剣を帯びるとはどういうことですか!」

「今は戦時下で我々は偵察任務中だ。無礼は許してもらおう」

 なんかヤバい雰囲気?


 俺が玄関に続く扉を開けた時、目の前にミノンの裳が広がった。

 袷が腰までの短いものだったので、太ももに大きめのナイフを着けているのが見えた。

 素早く二本のナイフを抜き取ると胸の前に構えた。

 ミノンも日本のパンツを履いてるんだな。いや、それどころじゃない


「待ちなさい!ミノン!」

 俺はジュチの顔を睨んで言った。

「ジュチ殿、俺は信帝国相談役クーヤです。皇女殿下に謁見されるのならば剣を外してください。ミノンもナイフを私に預けなさい」

 ミノンが不服そうに俺にナイフを預けた。

 仕方ないだろう。もう一度裳を捲らせるのは避けたいからな。


 洗面所の扉を全開にしてナイフを手の届かない場所に置くと、安心したのかジュチも剣を外して後ろにいる部下に預けた。

「ではジュチ殿、お一人でお上がりください」

 俺は奥の部屋に案内する。


 部屋の奥の中央にはサラが椅子に座っている。

 俺は、サラの横に、ミノンは入り口に立つ。

 ジュチはサラの顔を確認すると跪いた。


「皇女殿下お久しぶりでございます。ご無事で何よりです」

 ジュチは目で俺を睨みつけ、挨拶をした。

「私は兄にどうしてもお伝えしないといけないことがあります。取り次いでください」

 ジュチは渋い顔をする。


「私に申してくださればお伝えいたします」

「それではクーヤ様に来ていただいた意味がありません」

 ジュチは俺を睨む。


「この方がどういう方か存じませんが、信帝国が我軍に手を貸すにしても間に合いません」

「クーヤ様はかの闘刃姫の頭領です。今も闘刃姫は反乱軍に襲撃されたウランバートルの街を救援しています」

 ジュチは驚いて目を見張る。


「反乱軍はウランバートルの街を襲ったと言うのですか?」

「そうです。私もその様子を見てきました」

「なぜですか。我々は街に被害が及ばぬように、反乱軍が来る前に東に撤退したというのに」

 ジュチに焦りが浮かぶ。


「反乱軍に新たに呼応した軍に対する褒美です。もう一つは第一皇子バアタルが後宮に入れる娘を拉致するためです」

「なんと第一皇子が、新たな反乱軍とは・・・」

 ジュチの顔色は青くなっていく。


「そ、それで・・・」

 サラは手でジュチを制した。

「これ以上、おまえと話して時間を取られたくありません。早く兄上に取次ぎを。私がここまで来た意味を考えなさい」

「は、はい」

 ジュチは平伏した。


 ジュチが部屋を出る前にサラは言った。

「あなたに話した内容を兄上以外に話さないようにしなさい」

「も、もちろんです」

 ジュチとその一行はあわてて本隊に向けて駆けて行った。


「クーヤ殿、本当によろしいのか?」

「え、何が?」

 サラが俺に質問する。さすがに感ずかれたかな。


「あなたは参戦する気ですね」

「さあ、どうなるか。あなたの兄上次第ですよ」

「あなたは自分から攻撃するのを嫌ってたじゃない。どうして」

 サラは俺にあいまいな答えを求めるつもりはないらしい。


「俺はウランバートルの街を見た。善良で無抵抗な人間をこうも痛めつける施政者を俺は許せなかった。まあ、あまり善良と言う訳ではなかったみたいだが。俺の知り合いにあれをやられたらと考えるとな」

「敵の数は兄上の軍の二倍です。これを勝たせる手はありますか?」

 何処からか両軍の数を知ったようだ。


「あるよ。俺と闘刃姫なら相手が6万でも怖くはない」

「それじゃあ、あなたと闘刃姫だけで反乱軍に勝てるの?」

「そうだ、でもそれをすれば敵はほとんど死ぬ。手加減できないからな」

 サラは「え?」という顔をする。


「俺はなるべく人は殺したくない。第一皇子とボルド将軍だけで良いと思ってる」

「あなたがどうするかは分からないけど、モンゴルにとっていい判断であることを願うわ」

「ああ、皇太子に俺のことを先に言うのはなしだぜ」

 サラは大きく頷いた。


 暫くするとまた玄関の戸を叩く音がした。

 ジュチだった。

「申し訳ないが家の中を改めさせて欲しい」

「良いよ、好きにしな」

 俺は軽く返事をした。特に隠すものは無いしな。


 ジュチはトイレ、洗面所、風呂場、二階を確認した。

 謁見した部屋に大きな机と椅子が四つ並べてあったのには驚いたようだ。

「この家は外は鉄板が張ってあるし、窓はほとんどない。まるで小さな砦だな」

 そりゃそうだ。この家は旅の途中の宿泊所として作った物だ。昼間は使う予定もないし、防犯のために丈夫に作ってある。


「お嬢ちゃん、ナイフは持ってねえか」

 ジュチはミノンに向かって言った。

「持ってません。なんなら裳を捲りますか」

「いや良い、信じるよ」

 少し顔を赤らめながらジュチは言った。


 ミノンはナイフを収納に仕舞っていた。

 後でなんで太ももに付けていたんだと聞くと、前にアオイから「メイドは太ももに武器を隠し持ってるべきよ」などと指導を受けたらしい。まったくオタクは・・・。


「殿下、大丈夫です。お入りください」

 ジュチに続いては言って来た男がナラン皇太子だろう。

 サラに似た豪華で美しい服を纏い、精悍で美しい顔が少し笑うととてつもなく優しくなる。

「やあ、サラ久しぶりだな。俺に話があるって?」

 すらっとした細身の体を部屋に入れた。


 皇太子は俺の方を見るとぺこりと頭を下げた。

「あなたが噂に聞く、闘刃姫の頭領で産業革命を起こしてるクーヤ殿ですか」

「そうです。まずおかけください」

 皇太子とジュチが並び、正対して俺とサラが並んで座った。


「まずは俺が見てきた反乱軍の話をしましょう」

「分かりました」

「反乱軍は皇帝を倒し、あなたを東に追いやった後、第一皇子を招き入れ、反乱ではなく新しい皇帝を擁立する戦いに切り替えました。

 前皇帝のやって来た、産業を育て、庶民を豊かにしようとする政治は、貴族からは嫌われていたようですね。

 その結果、反乱軍は倍に膨れ上がりました。


 そして、ウランバートルの街を襲撃して軍資金と食料を手に入れて、東に向けて軍を出しました。

 ああ、ついでに第一皇子が後宮に入れる女を1000人程拉致しました。

 これはもう救出しましたし、ウランバートルの生き残った市民には食料を配りました」


 俺は地図を机の真ん中に広げた。

「恐らく反乱軍はここの大きな草原であなた方を待ち構えると思います。その総数は6万、あなた方の倍です」

 皇太子とジュチの顔は青ざめた。


 草原で待ち構えられては奇襲も奇策も通じない。

 皇太子の心中はどうなのだろうか?

面白かったですか?何かで評価して頂けると参考になります。

次回は皇太子軍と反乱軍が激突するかなあ。

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