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異世界最強の転移者と15人の美少女闘刃姫  作者: 西村将太郎
第5章 産業革命
107/113

5-15 ウランバートル救援

ご愛読、ありがとうございます。

皇太子との会談まで行きませんでした。

 モンゴルに偵察に行ったクーヤだったが、そこでは反乱軍が街を襲撃して金品を強奪、娘達を攫っていた。

 クーヤは留守番部隊の居た帝城に乗り込み、第一皇子の後宮から娘達を救出した。


 〇闘刃姫寮 食堂 転移222日目 サラ

 私はサランゲラル、モンゴル帝国の皇女だ。親しい人にはサラと呼ばれる。

 皇女と言っても父の皇帝は反乱軍に殺され、ちょうど信帝国に技術学生の留学の調整に来ていた私は、信帝国に取り残された。


 一緒に来ていた庶子の兄バアタルが私達の経費と随員をすべて奪って、モンゴルに帰り、私とメイドのミノンは天都の帝城を追い出され、相談役クーヤ殿のお世話になることになり、闘刃姫寮で養われることになった。


 バアタルは皇帝になるべく、権威が足りず兵が集まりにくかった反乱軍の首領ボルド将軍と結んで、東に逃げて、反乱軍と戦うべく力を溜めている皇太子ナランと戦うこととなった。


 皇族の権威で6万の軍を手にしたバアタルは帝都ウランバートルで嫁狩りを行い1000人の女性を後宮に入れる。ボルド将軍はウランバートルで大きくなった軍に略奪を許して戦意を上げた。

 そうしてわずかな兵を帝城に残して、皇太子ナランと雌雄を決するべく兵を西に進めた。


 クーヤ殿が偵察に行った時のウランバートルはそういう状態だった。

 クーヤ殿はすぐに従者を招集、帝城に残った兵を倒し、後宮に閉じ込められていた女性を解放した。

 口上にいた従者に招集が掛からなかったので私は気付いていなかった。


 私が事件のことを知ったのはクーヤ殿が帰ってきてからだった。

 クーヤ殿はウランバートルで起きたことを教えてくれた。

 私は何もできないのか。


「明日、食料を持ってウランバートルに行きたい。できればサラに食料分配を手伝ってほしい」

「私が行ってよいのでしょうか」

「食料はキメイに頼んでるし、従者になって貰って、護衛も付けるから」

 クーヤ殿が私を被災者救済に連れて行ってくれると言っている。

 私も祖国の力になれるのだ。


 私は正式な従者となった。もちろんミノンも。

 私の異能は「操縦」と「青き狼の加護」後のはちょっと意味が分からない。ナビさんがその詳細を調べてくれるようだ。

 ミノンの異能は「双刃」二つの武器を操れる異能らしい。


「それに俺は皇太子に会いたい」

「私ではどこにいるのかも分かりません」

 正直に言った。私はこれまで遠出をしたことは無く、信帝国が初めての遠出だった。

 私に解るのは信帝国に来るまでの道中に在った街だけだ。東のことは分からない。


「それでもいい、探すのは俺がやる。ただ会うための手引きをしてもらえばいいんだ」

 しかし、私にはクーヤ殿がなぜ兄に合うのかが解らなかった。信帝国からの支援は得られなかったはずなのに。


「解った。でもどうして兄に合わないといけないの?」

 クーヤ殿はなぜ聞くのかというような呆れた顔をした。

「俺が戦争に介入するためだけど」

 それが何という顔をする。


「どうして!?信帝国は不介入を決めたんでしょう?」

 私は馬鹿にされてるような気がしてちょっと怒っていた。

「そうだよ。だから介入するのは俺個人」

「はあ!?あなた個人が6万人と戦うと言うの?」


「そんなことは言ってないよ。ただやりたい作戦があるから、皇太子に許可を得ておきたいんだ」

 さっきのキメイさんの話で、兄上にも食料でも補給しようって言うの?

「今は言えないかな」

 うーじれったい。


 は、私は何を考えているんだ。

 クーヤ殿の従者になったからと言って、彼を自由に動かせるわけがない。

 もちろんモンゴルのために戦わせることもできない。

 私に出来ることはもし兄上が負けたら帝城に忍び込んで・・・。

 そのためにもこちらで訓練しなければいけない。


 〇数時間後 執務室

 俺は執務室で工場から上がる報告書に目を通していた。

 ナオジ、ライヤの兄妹に任せておけば、問題は無いようだ。

 将来はナオジとドワーフにこの工場兼技術学校をすべて任せるつもりなので、順調と言って良いだろう。


 そんな時にジュレイが訪れた。

「クーヤ殿、私はテングリに敗れた。私を鍛え直して欲しい」

 唐突だな、そういや剣を折られて下がらせたんだっけ。

 玄武国の試合でも木刀を折られていたなあ。

 身体強化された相手だと、普段の力任せな剣が悪さをしている。


「お前は正直に正面で受けすぎなんだよ。相手が強化されてるときには流すなり、払うなりすればいいだけだ」

「ウッ」

 恐らく本人にもわかっているのだろう。

 恐らく騎士になるという願望が、小技を忌避してるんだろうな。


「それを含めて指導してもらえないだろうか?」

 まあ、ここまで言われて断ることも出来んだろう。

「分った、明日はモンゴルだから明後日からな」

「ありがとう。今からあなたのことは師匠と呼ぶことにしよう」


 わーいと言いながら部屋を出て行った。

 普段大人びた言動をしているから、こういう子供みたいな行動を見るとまだ十五だったと思い出してしまう。


 暫くするとノックもせずに扉が開く。

「俺も一緒に練習するからな」

 ドーテだ。


「お前、村にいたんじゃないのか」

 ドーテは台湾から山岳民族の村人を天都まで連れて来ていた。

「だって、旦那が居ないからこっちに来ても良いだろ」

 ここまで慕われると悪い気はしない。


「それで新しい村の居心地はどうだ?」

「みんな、喜んでいたよ。水は汲みに行かなくても蛇口から出るし、薪を拾いに行かなくてもコンロの火は何時でも使えるって。俺もこっちが長いからさ、当たり前だと思ってたよ。そうそう、爺さんたちが畑にさっそく何か植えてたよ」

 村はここの寮と同じに作ってある。山奥から出てきた人達だから、慣れるまでには時間がかかるかもな。


「練習は明後日からで、サラやミノンにも参加してもらうから、おまえも来ると良い」

「うん、二人きりじゃないのは残念だけど、シャーないか」

 スキップして出て行った。あいつもまだ子供だな。


 ******


 〇ウランバートル帝城正門前 転移223日目

 俺は朝から正門前に来ていた。道は整理されていたし、死体も見当たらなかった。

 俺が正門前で立ってると大勢の人たちが集まって来た。

「兄ちゃん」

 俺を呼ぶ声を見ると昨日のお爺さんが若返っておじさんになって現れた。


「済まねえ、捕虜は全部殺されてしまった。食料もせっかく貰ったのに、みんなで取り合いになっちまった」

 城の中の食料まで空になったようだ。

 どうも日本の癖で救援物資を並んで、行儀よく受け取る人たちだと思ってしまっていた。


「心配するな、皇女様が食料はたくさん持って来た」

 責めても仕方ないからサラ達を呼ぼう。

 城に入って人目に付かないところでヒイの家を出した。


 昨日の人員プラスサラとミノンがゲートを通って出てきた。

「ああ、」

 いきなりサラが泣きだした。

 モンゴルからの旅程を含めれば3ヶ月も離れていたわけだし、それだけ感慨深いか。


「もう戻れないと思ってました」

 つい最近まで反乱軍に占拠されてたもんな。

 反乱軍もここを拠点にするつもりだったんだろう。綺麗に使っていた。


「じゃあ、食料は収納に入ってるからな。じゃあ、こっちは頼んだ。サラは後で連絡入れるから、皇太子へのつなぎを頼む」

 サラはウランバートルの市民に歓迎されるだろう。皇太子の人気も上がるだろう。


 俺は街道の上に上がり、街道の見えるところの上空に跳ぶ、これを繰り返して移動するのだ。

 これはナータに教えてもらった移動方法だ。

 一日で数千km移動できるので、今日中には皇太子を見付けたい。


 100kmほど跳んだところで反乱軍を見つけた。

 本当に6万人ぐらいいそうだ。

 中央に馬車が何台か、多分その中に第一皇子や将軍がいるのだろう。

 敵軍は恐らく広い平原で皇太子の軍を待ちか待ち構えるつもりだろう。

 広い平原なら奇襲が難しいから、数が多い方が圧倒的に有利だからな。

 早いとこ皇太子軍を見つけないといけないな。


 モンゴルの人民は街道に集落を作って住む人も多いが、ゲルという移動式のテントで放牧に従事する人も多い、特に羊・山羊は移動しないと牧草が壊滅するので必須だと聞いた。

 そういや豚は定住しないといけないので、嫌われてるって日本で聞いたことあるけど本当かな。


 街道沿いに30分ぐらい跳んだ時、10人ぐらいの騎馬を見つけた。

 偵察かな。じゃあ、後ろに本体がいるはずだな。

 やはりいた。


 縦に長く伸びた軍隊が居た。

 しかし3万に満たないんじゃないかな。

 これは苦しいぞ。

 兵数半分はきついって、しかも見通しの良い平原で迎え撃たれるって、勝ち目無いんじゃね。


 やはり俺が何とかしないといけないか。

 サラとミノンとモンゴル国民のためだ。


 俺はウランバートルの帝城に帰る。

「やあ、皇太子軍は見つけたかい」

 正門の近くには市民を治療しているアカネが居た。

「ああ、見つけたよ。サラとミノンはどこさ」


「正門の外でヒイとミヤと食料を配ってるよ」

「ありがとう」

 俺はアカネに礼を言い、正門の外に出る。


「あいつら、冬を越す食料を全部奪っていきやがって」

 ミヤに愚痴を言いながら、布袋に入った食料を受け取る小母さん。

 片手で渡されたので、受け取ってから落としそうになる。

 ミヤを見て信じられないという顔をする。


「あ、ご主人様、おかえりなさい」

 ミヤが寄って来たので頭を撫でてやる。

 目を細めて幸せそうな顔をする。


 後ろでは椅子に座ったサラが居た。

「どうしたんだ?」

「あの人達、私が皇女と解ったら近付かないのです」

 あー、身分制度があったんだった。


「皇太子軍が見つかった。行くぞ」

 ミノンが走って来た。

「私も行きます。メイドも居ない姫様では侮られます」

 そんなものなのかと許可した。


「でもどうやって参るのです。私達は瞬間移動は使えませんよ」

「一旦闘刃姫寮に戻って貰って、それからゲートを開く」

「分かりました」


「ところでヒイはどこ」

 俺はヒイが見当たらないのでちょっと心配になった。

「ああ、ちょっと離れた動けないケガ人がいるって走っていきました」


 ケガをした小母さんを両手で持ち上げて、走ってくるヒイを見た。

 やっぱりヒイとミヤには癒されるわ。

面白かったですか?何かで評価して頂けると参考になります。

次回は皇太子との会談です。

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