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異世界最強の転移者と15人の美少女闘刃姫  作者: 西村将太郎
第5章 産業革命
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5-11 サラの悩み

ご愛読、ありがとうございます。

今回は台湾からの移民とサラの悩みです。

 台湾の山岳民族の移住が決まり、ドーテが中心になって移住が開始された。

 製鉄所が順調に動き出し、他の工場も準備に奔走する中、モンゴルでは反乱軍に第一皇子が合流、皇太子との決戦が迫っていた。


 〇闘刃姫寮 転移216日目

 今日の朝の便で台中に出稼ぎに出ていた山岳民族の移民が厦門に向け出港する。

 乗船手続きなんかはキメイの部下にやらせているので問題はないだろう。

 人数が多いから二つに分けたけど普通の客が乗れないとか、キメイに迷惑をかけたんじゃないかと考えたが、まだ乗船客がそう多くなく、荷物が中心らしいのでいらぬ心配だった。


 ジュレイとマールは昼までに厦門に行き、プレハブの200名分の宿泊所を作らないといけない。

 俺はヒイの家を建ててゲートを開いた。

「うわ、海だ。海だよ」

 マールは初めて海を見たみたいだ。


 港の近くだから、海も見える。台風も居ないみたいで静かなものだ。

「そういや、ジュレイも海は初めてだろ」

 二人とも内陸の出身なので海は知らないらしい。


「この海は信帝国がいくつも入るほど広いんだぞ」

「ええ、ウソ!」

 マールは背伸びして海の向こうを見ようとするが、台湾さえも見えるはずもない。


 そんな話をしていると一人の男が近付いてきた。

「おはようございます。クーヤ様ですか?」

「そうだ。天華商会の方か?」


 案内の者に宿泊所を建てる場所に案内させ、ジュレイとマールにプレハブを建てる練習をさせる。

 まず地面を水平に削って、邪魔な土や石を収納に入れる。

 鉄板を引いてその上にプレハブを置くそれだけだ。

 トイレは先に穴を掘って、穴の開いた鉄板を敷く、その上に仮設トイレを置くだけだ。


「良し建物はこれでいい、あとは風呂だが、湯と水は収納に入れてあるから適当にやってくれ」

「解った。ヒイの家もこちらに運んでいいだろうか?」


「良いけど事故の無いように気をつけろよ」

「ヒイの家で事故とは?」


「一般人にゲートを使わせるなと言うことだ」

「なるほど、ではヒイの家は使わんほうが良いか」


「えー、夜は寮に帰りたいぞ」

「何を言っている。我々は護衛として来てるのだぞ。贅沢を言うな」

 我儘を言うマールをジュレイが窘めている。

 なかなか、良いコンビかもしれない。


 今頃ドーテたちは台中の港に着いた頃か。

 通信がないので順調に行っているらしい。

 クーヤはバスを出して宿泊所の近くに置く。

 後はジュレイとマールに任せて寮に帰った。


 ******


 〇試作工場

「ミノン、お昼に行きましょう」

 試作工場にミノンを迎えに来たサラは機械に見入るミノンに言った。

「何が面白いのかしらね」


 サラも機織り機は見たことがあるが、この機械はその何十倍も速い速度で布を作る。

 まだ試作段階で白い布しか織ってないが、そのうちいろんな模様の布を織ることになる。

 まだ見ぬ布に強い執着を感じる。


 サラは自分が服飾に興味があるとは思っていなかった。

 もともとはマシロやアカネが、日本のネット販売の服飾カタログを見ていたのを覗き込んだのが始まりだ。

 色や模様形、なんて自由な表現が出来るんだろう。

 着てみたいから作ってみたいになるのに時間は掛からなかった。

 今は毎日資料室の生地見本や型紙見本などを漁っている。


 寮に戻る道すがらサラはミノンに聞いてみる。

「ミノンは機械を組み立てたいのですか?」

「組み立ても好きですが、いろいろな機械を設計したいと思っています」


「昨日のクーヤ様のお話では私がモンゴルに帰れるかどうかは解りませんし、バアタル(第一皇子)が皇帝になるようなら戦う覚悟もあります。ミノンはどうしたいですか?」

「私は、姫様が戦うなら戦いたい。ここで私より小さい子が、正義のために戦っているのを知りました」


 ヒイちゃんやミヤちゃんの事ね。同じ獣人で意識しているのかしら。

「あなたは故郷に帰っても良いのよ」

「いいえ、私の家は最下層の旗本です。帰れば、金の欲しい父や兄に女衒に売られるでしょう。姫様に見限られればクーヤ様にお願いして、ここで働かせてもらいます」


「そうなのね」

 サラはミノンを何とかせねばと思ったが、クーヤに頼るしかない自分を悔いた。

「あのー。クーヤ様に私も従者にしていただくようにお願いしてもらえませんか?」

 ミノンは下からサラの顔を覗き込んだ。身長差が10cm以上あるから仕方ないが、ちょっと戸惑う。

 なんでこの子はこんなに冷静なのだろう。命を懸けるお願いのはずなのに全然興奮もしていない。

 そう言えばこの子が取り乱すのは大きなミスをした時だけだ。


「どうして?あなたまで従者になる必要はないと思うけど」

「皇太子様と反乱軍の戦いはもう1か月で開始されます。おそらく平地での会戦でしょうからすぐに勝負は着くと思います。その時から準備しても遅いのです。戦う準備をしなくてはいけません」

 ああ、サラは感動した。この子は私のために戦おうとしてくれている。

 でも巻き込んでいいわけがない。従者の話はともかく、一緒に戦うのは・・・。


「そうね、私も戦うと言っておきながら準備を失念していたわ。ありがとう。私と一緒に戦ってくれるのね」

 やばい、私の願望が出てしまった。巻き込んじゃいけないのに。

「私は主を失ったメイドにはなりたくありません。生きるも死ぬも一緒です。でもあなたがモンゴルに帰ることになれば、私はここに残るつもりです」

 モンゴルに帰れば家族に寄生されるそれは嫌だと言うことだろうか、でも絶望的な戦いになりそうなのに。


 バアトルが勝てば、戦う、ナラン兄上が勝てばモンゴルに帰る・・・?

 サラの頭に疑問が湧いた。帰る必要があるのか?

 私は服飾をやりたい。おそらくモンゴルではできないだろう。

 しかし、それは戦いの決着がついてから考えたらいいだろう。

 頭の中がぐるぐると回ってまともに考えられない。


 寮に着くとクーヤはすでに帰ってきて食堂に居た。

 サラはすぐに話を聞いてもらえないかと伺いを立てた。

 昼食の後で聞いてもらうことになった。

 まだまとまらないが、一回他の人に話した方が良いだろう。


 ヒイちゃんとミヤちゃんを構って幸せそうなクーヤを見ると、サラは私もミノンもここで暮らした方が幸せになれるのじゃないかと思った。

 いや、バアタルが皇帝になれば国民が苦しむ、それだけは許せない。ナラン兄上を応援する方法があればいいのだが、今の立場では何もできない。


 昼食後サラ達はクーヤの執務室に呼ばれた。

 クーヤとサラ達は応接セットに向かい合わせに座った。

「さて、何の用かな?」

 クーヤは大体の内容を知っていた。


「私達を本当の従者にしてください」

 もうここで1か月過ごしているんだ。従者の強化内容は知っているだろう。

「なぜか聞いて良いか?」


「はい、もしバアトルが勝った時、私に暗殺者が送られてくるでしょう。それに対して私達は備えねばなりません」

 サラは私達が戦いに行くことは知られてはいけない、ここの人達を巻き込んではいけないから。


「俺はこの1か月君達を見ていた。サランゲラル皇女、あなたには時々殺気を感じる。これは明らかにさっきを向ける相手がいるはずだ」

「な、何をおっしゃりたいのかしら?」

 クーヤは従者の感情に敏感だ。特に強い感情を抱くとき大まかな感情が解るのだ。


「君は仮従者とは言え、何者かを殺そうと考えていることは分かる。従者になりたいのはそのためじゃないのか?」

 クーヤはサラの内心を暴く。


「こうなれば包み隠さずに申し上げます。もしバアタル皇子が、あの強欲で色魔で浅薄が皇帝になれば、モンゴルの民は酷い目に合う。あの男を皇帝にしてはならないのです」

 サラは興奮しすぎて目から涙が出てきた。


「クーヤ様、私は姫様に貰った恩を返すため、姫様と戦おうと思います。それには闘刃姫の力が必要なのです」

 ミノンもさらに同調する。


「あなたは知らぬ顔をしてくれればいいのです。女だけなら奴は油断します。どうかお願いします」

 つまり、サラ達二人でバアタル皇子のところへ行って、皇子を暗殺しようとしていると言うことだ。

 まあ、難しいだろうな。もし千に一つ暗殺できたとしても生きて帰れることは無い。


「流石に俺の従者が外国で、要人を暗殺するのを許すはずがないだろう」

 外交問題になれば順調に進んでる産業革命も止められるかもしれない。

「しかし、モンゴルの人々が・・・」

 クーヤの脳裏に雑貨屋の小母さんの姿が浮かんだ。


「その問題については少し考えたい。明日まで待ってくれるか?」

 産業革命をおいて、若い二人が命を散らすことが解っていて、従者に加えるのか、クーヤは悩んだ。


 夕食後、サラはこのことを従者の中で一番信頼できるであろうマシロに相談した。

 当然のようにアカネもマシロの横に座る。


「うーん、それは賛成できないわねえ。バアタル皇子を倒してもボルド将軍が良い政治をするとは限らないじゃない」

「そうだなあ、クーヤは従者が死ぬと分かってるようなことは絶対にさせない。あんたがそんなことを考えてる限り、従者にはしないと思うぜ」

 アカネもマシロに賛成のようだ。


「ではモンゴルの民を諦めろと仰るのですか?」

「そんなことは言ってないでしょう。要するに皇太子を勝たせればいいわけでしょう」

「でもバアタル皇子とボルド将軍が結託した以上、皇太子より多くの兵を集められるでしょう」

 サラが不安を隠せないのはそこにある。

 弓騎兵同士の平原での総力戦になるであろうモンゴルの戦いでは、数の多い方が圧倒的に有利なのだ。


「だからよ。私達にはモンゴルの兵を動かす力はない。でも、バアタル皇子やボルド将軍個人を倒すチャンスはあると思う」

「それはどうすれば?」

「それはクーヤさんに考えてもらいましょう」

 すました顔で言うマシロであった。


 そのまま、クーヤの執務室になだれ込んだサラ、ミノン、マシロ、アカネの四人だった。

 クーヤは押し切られて二人を従者にすることにしたが、モンゴルの事については天帝様に投げることにした。

面白かったですか?何かで評価して頂けると参考になります。

武闘会の予選が開始され、従者達の興味はカクタスの勝利です。

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