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異世界最強の転移者と15人の美少女闘刃姫  作者: 西村将太郎
第5章 産業革命
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5-10 クーヤの忙しい一日②

ご愛読、ありがとうございます。

前回の続きです。

 クーヤは工場が動き出したこととモンゴルにクーデターが起こったこと、天帝様に武闘会の開催協力を求められたことで慌ただしい毎日を送っていた。

 その日は朝から台湾に行き移住の段取りをした。


 〇闘刃姫寮 転移215日目

 何とか台湾の山岳民族移住の段取りはついたので、俺は寮に戻って来た。

 食料の準備をドワーフの小母さん達にお願いしに行く。

 急なことでずいぶん怒られたが何とかお願いできた。

 後はできた食料を収納に入れていくだけだ。これはヒイとミヤに頼もう。


 もう一人、ドーテの手伝いに送り込みたい。厦門からで良いので明日の昼からになるな。

 5日間か、えーと、空いているのはジュレイ、マールぐらいか・・・。

 マールもずいぶん役に立つようになってきたし、二人とも行かせるか、護衛としては十分だな。


 次は武闘会の用意か。

 マシロとアカネの予定を聞くと今から帝城に来いという。

 長居するつもりはないので、瞬間移動で行く。


 彼女達が居たのは帝城の一室。

 武闘会実行委員会とか看板のある部屋。

 ドアを開けると何十人かが働いている。

 クーヤはマシロとアカネに引っ張られて、部屋の中央にある大きな机に連れてこられた。

 そしてクーヤの前には100枚はあろうかと言う資料が積まれた。


「これ読んで」

 マシロがニコッと笑う。

 ふむ、今日一日困らせて閉じ込めるつもりかとクーヤは思った。

 残念ながらそんな暇はない。


 クーヤは一番上の1枚を目の前に持ってくると、一瞬止めて反対側に置いた。

 同じように100枚を反対側に積み上げた。

「読んだよ」


 これに怒ったのがアカネだ。

「そんなんで読めるかよ!」

 マシロはアカネをまあまあとなだめて言った。

「クーヤさんは忙しいでしょうから、こちらの相談を先にしましょう」


 クーヤは相談が話される前に喋り出した。

「第一次予選は5分で良い。

 審判だが今回はインストールで対処しよう。

 準決勝、決勝は1日かけて、観戦料をもっと取って良い。

 まあ、大きなところはそれぐらいか」


「え、あれでなんで判ったんだ?」

 アカネはびっくりしてマシロに抱き着いた。

「そんなの!ナビさん使ったのに違いないわ!」


「私達のインストールした人は、平成の人だからAIなんか使ったことないのにずるい!」

 マシロがくやしさで取り乱すのは珍しいので堪能しておこう。ご馳走様。


 次はってもう昼か、ヒイ、ミヤ、ジュレイ、マールに頼んでおかなくっちゃ。

 昼食後、4人を呼ぶ。

「・・・と言う訳でジュレイとマールはドーテの手伝いで厦門へ行ってくれ」

「分かりましたが、行はヒイの家でゲートを使って、帰りは村人と一緒だな」

 ジュレイの質問があった。


「その通りだ。天都への到着は6日後になる予定だ。君達には護衛と村人の世話だ」

「おう、任してくれ」

 マールの勇ましい回答があったが、口の悪いドーテのいた村だ、堪忍してくれるだろう。


「ヒイとミヤにはドーテたちがここに来るまで食料を渡して欲しい」

「えー、遠くに居るんでしょ。無理だよ」

「ヒイ、それはご主人様が説明してくれるから黙って聞きなさい」

 流石ミヤ、ヒイのお姉さんだ。あ、ヒイが膨れた。


「ドワーフの小母さん達がご飯を用意してくれるから、それを収納に入れてくれ。

 俺達がご飯を食べる前にやらないとだからしんどいぞ」

「解った!やる!」

 仕事を与えられたのが嬉しいのかヒイは満面の笑みとなった。万華鏡のように変わる表情、可愛いぞ。

「分かりました。お任せください」

 ミヤ、君もまだ子供なんだから、甘えて良いんだよ。けなげで癒されるけど。


 クーヤが子供二人に癒されていると天帝様から通信が入った。

『こら、モンゴルの事を忘れておるじゃろ!もう1か月はとっくに過ぎた。早く見に行かんか!』

 そういや、1か月したら見に行くって約束してたな。


「いや、忘れてたわけではなくそろそろ行こうかなと思っていたところでして・・・」

『言い訳はせんでいい!早く行け!』

「はい~」


 クーヤは慌てて、みんなにモンゴルに行ってくることを言って瞬間移動した。

 前と一緒で雑貨屋に行って小母さんも居たので話を聞くことにした。

「あんた、また来たのかい。お姫様は元気なんだろうね」

「お元気ですよ。ただ、ここに帰れるかどうかを心配なさっておられます」


「そうだろうさ、こっちでは第一皇子が帰ってきて、ボルド将軍と手を結んだって話だよ」

「え、そうなんですか!?」

 あんな訳アリ皇子の手をとるなんて、よほど兵が集まらないのか。


「それでかねえ、兵隊が西の方からやってくるようになってねえ。ここらも治安が悪くなってきたんだよ」

 小母さんは困ったように下を向く。

「そうですか。それは心配です」


「旦那とそろそろ避難しようかって言ってるんだよ」

「あてはあるんですか?」

「旦那の親が南の方にいるからそちらに行くつもりだよ」

「そうですか。じゃあ、少ないですがこれをなんかの足しに使ってください」

 クーヤは皮袋に入れた金貨を数枚小母さんに手渡した。


「え、姫様は今手元が寂しいんだろ。もらえないよ」

「大丈夫です。姫様が持ってなくても俺は持ってますから」

 訳が分からないという顔をして小母さんは皮袋を握った。


 治安が悪くなって、あまり外に出なくなった小母さんの情報はこれくらいだった。

 仕方がないので外に出て、帝城に向けて歩き始めた。


 途中、ガラの悪そうな兵隊が二人居た。

 道の反対側を歩いたが呼び止められてしまった。

「おい、兄ちゃん」

 はあ、仕方ない。


「なんでしょうか?」

「俺達は西から来たんだけどよ。雇い主がケチで遊ぶ金も出さねえんだよ」

「兄ちゃん、良い恰好してるし、可愛そうな俺達にちょっと恵んではくれないか」

 慣れているのか、二人の言い回しに熟練感を感じる。


 それにしてもヒイとミヤがきれいにしてくれた服でインネンを付けられるとはな。

 クーヤは少し面白みを感じた。


「残念だけど、お使いの帰りで、何も持っていないよ」

「手を挙げてみろ」

 クーヤに手を上げさせるともう一方の兵が、手早くボディチェックをする。


「なんにも持ってねえぜ、こいつ」

「チィッ!」

 もう一人が舌打ちする。


「お前の家は近いのか?」

「いや、結構遠いけど」

 クーヤは直線距離でも1000km以上離れているからなと正直な感想を思う。


「どうする?」

「そうだな、お前は俺達の希望を打ち砕いてくれた」

「そうか、その謝罪をしてもらうべきだよな」

 そう言ってクーヤを路地に引っ張っていく。


 このまま出て行くわけにはいかないな。

 クーヤは兵とのいざこざを、物陰から何人もの人に見られていたのを感じていた。

 二人の気絶している兵を見下ろし、路地から出ずにすごい速度で飛び上がる。


 あんな兵を野放しにしておくとは、小母さんが避難したがるはずだと思った。

 そのまま帝城の上空に行ったが警備が厳しい。

 何とか皇太子側の情報も欲しかったが仕方がない。


 さてどうするか、気絶させた兵を連れて帰るかとも思ったが大した情報も握ってないだろうと断念した。

 これは依頼主に確認するしかないか。

 クーヤは小母さんの情報と帝城の周囲の状況を天帝様に報告した。

「・・・と言うことでこれ以上の情報は難しいですね」


『そうか、ちょっと待て』

 恐らくコウメイ様に相談しているんだろうな。


『クーヤ殿、コウメイだ。天帝様を通じて話している。聞こえるか』

 コウメイ様がなんで?脳内通信って従者がその気になれば聞いた話をそのまま会話できるんだよね。

「聞こえるけどどうして?」


『貴様の異能を使えば、そんなちんけな城など攻め滅ぼせるであろう。ボルド将軍と第一皇子が気に入らぬのであろう、殺してしまえばいい』

 はあ、何言ってんの?

「ちょっと待って、気に入らないから殺すって、俺は魔王じゃないからね」

 本当になにを考えてるのか、意味不明だよ。


『君は軍務大臣がクーデターをしたとき、我々の味方をして軍務大臣をやっつけたじゃないか』

「あれは明らかに軍務大臣が俺達に敵対してたし、天帝様も守らなきゃと思ったんだよ」

 まったく今の状況とは違うだろ。


『だがボルド将軍と第一皇子がまともな政治をするとは思えないし、君のところにいる第二皇女も危なくなる。皇太子に味方した方が良くないか』

「あくまでも推測だろ。推測で一方を害するなんてできるかよ。それに俺は平和主義者なんだよ。出来るだけ暴力は振るいたくないの」


『そうじゃ、兄上!こんなクーヤだから信用しているのじゃ。そそのかさないでくれ』

『ちょっと試しただけだ。心配するな』

 なんだ!試したのかよ。偉そうに・・・偉いか。天帝様の兄さんだもんな。

『クーヤ、ご苦労じゃった。帰ってこい』

「分かりました」


 ******


 〇天帝執務室

 天帝とコウメイがふたりきりで同じソファーに並んで腰かけている。

「兄上、何を考えておられるのです」

「さっきの話か?」

「そうです」


「俺は産業革命が終わったら、あいつの部下になろうかと考えている」

「私を捨てると仰るのですか?」

 天帝の顔は青くなる。


「まあ、その頃には俺が隣にいる必要はなくなるだろう」

「そんなことは無いと・・・」

「いや、そうなるし、俺も自分の足で歩いて好きなことをしたい。あいつもこの足を治せると言っていた」


 コウメイは足が不自由になったことで天帝に成れなかった。治ればまた妹と天帝の座を争わなければならない事態が起きるかもしれないと考えている。


「そう言われては何も言えないではないですか」

 天帝は泣いた。周りには聞こえないように。


 ******


 〇試作工場

 ここはいつも使っていた作業場が狭くなったのと、秘密にする必要が無くなったので作った工場である。

 場所的には魔道具工場とアオイの研究所との並びにあった。

「悪い、遅くなった」


 クーヤは中で大きな機械の前にいたアオイに声を掛けた。

「仕方ないよ、天帝様の用事でしょ」

 うん、隣にいるのは・・・。

「ミノン、なんでここにいるの?」

 サラのメイドのミノンだ。

 女の子が興味を持つようなものでもないのに。


「私、こういう複雑な動きをする機会が好きです」

 フーンそうなんだ。

「最近ずっとここに居るよ」

 アオイが付け加えた。


「おーい、準備できたぞぉ」

 ドワーフの若者が声を上げた。

「じゃあ、運転開始!」

 アオイが号令を掛ける。


 機械がすごい音を出しながら動き始めた。

 機械の中でたくさんの縦糸の間を横糸が走る、次の瞬間には縦糸が上下を入れ替える。

 集中して見ていても見逃してしまう速さだ。

「よくできてるな」

 言っている先に糸が布になって出てくる。


 ふとミノンを見ると目を輝かせて見入っている。

「面白いか?」

「はい」

 フーン、これが面白いって変わってるな。

 クーヤは自動織機の量産にOKを出して製鉄所に向かった。


 製鉄所は敷地の南側の約半分を占める施設だ。

 クーヤは製鉄所に併設された事務棟の中にある会議室に入った

 部屋にはライヤとナオジ、製鉄所の幹部のドワーフたちが居た。

 壁にはナオジ達が計画した製鉄所の運営予定が大きく貼り出されていた。


「・・・黄河への架橋で手間取ってはおりますが、大型のクレーンの運用が始まったので、建設は加速される予定です。鉄橋用の鉄骨の生産も順調です」

 ライヤの説明も良く解る。


「機械用の細かい部品を作る機械の生産はどうだ」

「はい、製鉄所では機械用の鉄を渡すだけですが、あまりに種類が多いので苦労しています」

「まあ、これから人も増えるし、来年の春に間に合えばいい、確実に頼む」

「はい」


 製鉄所も順調そうだ。

 産業革命も来年からが本番になる。

 インストールがあれば失敗はないだろう。

面白かったですか?何かで評価して頂けると参考になります。

次回はサラとミノンの話です。

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