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041 工場内部


深夜、誰も起こさないよう静かに起き上がった。

(あーよく寝た。よし、準備するか)


融が、軍用プロテクターの入ったリュックを開けると、後ろから声をかけられた。

「待ちなさい」

融が振り返ると、晶が起きていた。

「眠っていたんじゃなかったのか?」

「今日が最後だから、お姉ちゃんたちとついさっきまで話していたの。だからさっきまでのは寝たふりよ。それよりも、あなた、昼間行った工場へ忍びこむつもりね」

「だとしたら?」

「私が行くわ。ここは私の故郷で、お姉ちゃんがいるのに他人に任せておけない。むしろ私が行くべきよ!」

軍用のプロテクターを力づくで奪い取り、何の抵抗もできなかった融を、ポイっと部屋から追い出した。

「えっ」

融は、男なのに女の子に力負けしたショックで落ち込んだ。



十分後。

部屋から出てきた晶は、プロテクターを装着していなかった。

「……着られなかった」

「え、なんだって?」

「サイズが小さくて着られなかったの!」

こうして隣に並んで見るとわかるが、融の方が背が低い。

背の低さを気にする融と、身長だけじゃなく胸や腰回りもサイズがきつかった晶は、二人ともショックを受けていた。




暗闇の中、人目を避けて工場までたどり着いた。

一人で十分だと言ったのに、晶はついてきてしまった。

真っ黒なフルフェイスのヘルメットを被ると融の顔は隠れて見えない。

「さすがに、プロテクターなしでの戦闘は危険すぎる。晶はここで大人しく待っていてくれ」

融が返事を聞かずに工場内へ走り出すと、背後から熱を感じた。

熱の塊が次々と放たれ、監視カメラが破壊された。

プロテクターなしでも役に立てるのだと言いたげな顔をして、遠くから晶がこっちを見ていた。


(びっくりした!後ろから攻撃されるかと思った。

落ち着け、僕。今回の件ではまだ晶は味方だ。裏切らない。


……たぶん)


融からしてみれば、実力のある心強い味方であればあるほど、将来への不安が高まるのだった。


融は超能力を使って力づくに扉を開ける。

グニャリと曲がった扉の隙間から中へと侵入した。


(入ったらすぐに警報が鳴って、決定的な証拠を探すまでは、時間との勝負になると思っていたのに、静かだ。

外側だけで、中はまだ全然出来あがっていないのかもしれないな。

大した物が無いのなら、警備用のロボットが一、二台置いてある程度かもしれない)

融は学校の配膳ロボットや掃除ロボットと大差ない、安価な量産型警備用ロボットを想像する。


狭い通路を奥へ奥へと進む。

メガネ型情報端末に映像として記録させる。

天井に配管が張り巡らされている。ベルトコンベアにはまだ何も無い。

何だかわからない機材がいたるところにある。


実験室みたいな部屋があった。

(お、なんだか怪しい薬品発見)

試験管やフラスコ、ガラス管などなど、怪しさ満載だった。

融は準備しておいた杭の形をしたセンサーをビーカーの薬品に挿した。

このセンサーは地面などに刺すだけで、化学薬品などによる汚染を分析して、国の調査機関に位置情報と一緒にデータを送信してくれる。

(これで、この工場が本格的に調査されるはず)


ピッと電子音がした。

「データが送信できません」

センサーから機械合成音による女性の声で説明が告げられた。

(故障か?まさか!)


融はメガネ型情報端末で通信を試みる。しかし、通信できない。

(通信妨害されている。嫌な予感がする!)



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