表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
37/90

037 遭遇


融は店の奥に案内され、お茶を出された。

大量に商品を買った金払いのいい客だからではなく、月城晶のお友達として招かれたのだ。


「あの月城家の養子になって、超能力者だけの学校に行って、心配していたけれど、ちゃんとやれているみたいでよかったわ。お友達もいい人そうで安心だわ」


(月城晶が修学旅行を抜け出した目的は、里帰りだった。

月城家に養子に迎えられる前はここに住んでいたのか)


この国には超能力者と非超能力者がいる。

超能力者同士の子供は、必ず超能力者が生まれる。

しかし、超能力と非超能力者の間の子供は、低い確率だが非超能力者が生まれることもある。そういう非超能力者の中には、次の世代で超能力者が生まれることがよくあった。

また、ごく稀に非超能力者同士の間の子供であっても、高い超能力を持つ子供が生まれることもある。


この国の非超能力者の家庭に生まれてきた子供は、必ず超能力の適性を検査される。そして、その数値の高い子供は、融たちが通っているような学校で訓練を受ける義務がある。非超能力者が超能力を使える子供を育てるのは、とても困難だからだ。


月城家は、検査で特別数値の高かった子供を集めて、養子にしてその中でさらに競わせて、跡継ぎとなる子供を選ぶ。

つまり、月城家の養子になる前に、一緒に生活していた家族がいるのだ。


(養子になる前の晶は、この店の店主であるこのお姉さんと二人暮らしだったらしい。実の両親のこととか気になるけど、訳ありみたいだから聞きにくい。


晶は修学旅行でこの近くまで来たから、学校に特別に許可を取って会いに来たとお姉さんに言っていたけど、絶対に嘘だ。

美涼にも確認したけど、ありえないって言っていた。

なにより、さっきから晶がテーブルの下で僕の脛を蹴って、話を合わせろと強要してきやがる!地味に痛いからやめて)



店に客が来たようで、ちょっと待ってと言ってから、晶のお姉さんこと泉さんは席を外した。


「なんであんたがここにいるのか知らないけど、絶対に余計なことを言わないでよね。変なこと言ったら後でひどい目に合わせるから」

晶が顔を近づけてきて、にらみを利かせる。


(歴史的に抹殺される!)


融が未来を悲観してガタガタ震えていると、晶は自分のことを話し始めた。


「……見たらわかると思うけど、私とお姉ちゃんって全然似てないでしょ?

親戚中をたらい回しにされていた私を、すっごく遠縁のお姉ちゃんが引き取って育ててくれたの。

いろいろ迷惑かけたけど、結局何の恩返しもできないまま、月城の家に引き取られることになっちゃったから、これ以上心配かけたくないの。わかるわよね」


融はブンブン頷いた。


「でも、私がここへ堂々と帰って来るのも月城家に対して申し訳ないから、こうやって修学旅行を抜け出したの」


晶から修学旅行を抜け出した理由の説明を受けていると、晶の姉、泉が誰か連れて戻ってきた。

「晶!勇助くんが、宿泊先が決まってないなら家に泊っていかないかって」

泉が連れてきたのは彼女の夫で、晶の義理の兄になる勇助と呼ばれた肉体労働が似合いそうな、力強い印象を与える体格の若い男だった。

「晶のお友達なんだって?君も一緒にどうだい?」


さわやかな笑顔の男が、見覚えのある顔で、融はお茶を吹き出しそうになった。




勇助は、テロ組織の指導者になる人で、歴史では死神融が抹殺する人物だった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ