↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
15/75

第十五葉:氷結の霊峰、純白の罠

猛吹雪の白銀の世界。

その山頂近くに、氷で閉ざされた巨大な洞窟があった。そここそが、この霊峰の心臓部――『氷華の聖域』。


アルヴィスとレンは、吹き荒れる雪を割ってその洞窟へと足を踏み入れた。洞窟の奥は、かつて集積所でも見た教団の歪んだ魔導具が据え付けられ、聖域の清らかな氷のマナが、ぎらついた『純白』へと強制的に変換されつつあった。


「……やはり、ここも教団の手に落ちていましたか」


アルヴィスは肩に掛けられたレン特製の防寒外套を揺らし、張り詰めた声で言った。

マナが乱れ、アルヴィスの『呪い』がより視覚化されている。

白銀の甲冑の左側には霊峰の太陽が反射して眩く輝き、右側からは彼自身の『純白の枷』の呪いから漏れ出る漆黒のマナが、まるで影のように周囲の氷壁を侵食している。


「待ってたよ、呪われし精霊騎士。いや、『薄暮の苗床』と言うべきかな」


洞窟の最奥、魔導具の前に佇んでいたのは、これまでの狂信者たちとは明らかに一線を画す、禍(・)々(・)し(・)い(・)白銀の魔導衣を纏った教団の『大司教』だった。


「お前がこの霊峰へ足を踏み入れた瞬間、お前の体内の【純白の枷】はここの聖域と同調した。お前の歩みこそが、世界を純白に染めるための最高の生贄だ!」


大司教が両手を掲げた瞬間、アルヴィスの胸に刻まれた紋様が激痛と共に強く発光した。


「くっ、ぅ……あ……っ!」


突如、アルヴィスの体内から、コントロールを失った光と闇のマナが陽炎のように暴走し始める。

彼の足元の氷が次々と黒く変色し、洞窟全体が激しく揺れ動いた。

教団の狙い通り、聖域の力を使って彼の呪いを外側から強制起動されたのだ。


「ははは! 苦しめ! そのまま暴走し、この聖域のマナを全て純白の光へと変えろ!」


大司教の合図と共に、周囲の闇から、氷の魔力で強化された教団の暗殺兵たちが一斉にアルヴィスへと襲いかかる。

マナの暴走で身動きが取れないアルヴィス。


「……チッ、待ち伏せかよ。本当、趣味が悪いシステム構築してんなぁ」


その窮地に、レンの鋭い声が響いた。

レンは抜刀し、アルヴィスの前に一歩踏み出す。

その背中には、一切の動揺も隙もない。


「レン、離れ……、ろ……! 俺のマナが……巻き込まれる……!」


苦痛の声を漏らすアルヴィス。

だがレンは振り返りもせず、ニヤリと不敵に笑った。


「言っただろ、お前の呪いなんて俺にはただの微風(そよかぜ)だって。お前はそのまま中で『バグ』と戦ってろ。周りの雑魚は――俺が一人残らずフリーズさせてやるからさ」


レンの刀が、神速で虚空を薙いだ。

それは精霊の魔術ではない。創造神の権能による『空間の絶対停止(フリーズ)』。

襲いかかってきた暗殺兵たちの動きが、そして大司教が放った光の弾丸までもが、空間ごと完全にピキリと静止した。


「な、何だと……!? 動かん、空間そのものが……!?」


影で計算を巡らせるレンの「裏の顔」が、冷徹に大司教を捉える。


呪いに苦しむ相棒の背中を預かり、神の仔がその圧倒的な支配力を剥き出しにした。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。