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魔術侯爵家の幼馴染み  作者: 伏綸子
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襲来


――ある日の事だった。


 アスク皇帝陛下直々の指名だ、と言われあの方の元に参じたのた。とても光栄な事だと胸高鳴る気持ちで宮廷に赴いた。

 そして告げられた言葉は、


「貴様らに魔剣をやろう」


 帝王の間に呼び出されたのは自分を含めて十人。

 その奥に設置された玉座で頬杖をして魔王の如く腰掛けていた皇帝陛下はそう言った。

 最初は十人のうちの誰一人その言葉の意味を聞き取れなかった。それも当然だ。魔剣士に昇格出来るのは限られたエリートのみ。それも嘗ての上司だったアレクセイ並の戦闘センスと魔力量を兼ね備えた超人でしかなれない。これは周知の事実だ。

 その魔剣士に突如自分が抜擢されたのだ。疑うのも無理は無いだろう。

 だが、深紅の瞳に宿る冷徹さが皆を現実へと連れ戻し、その言葉に違いは無いと主張していた。


「これは褒美では無い」


 しかし、今までの実績を下に決められた訳では無い。そう知って多少の戸惑いを感じたが自分らは次の言葉に胸を轟かせた。


「貴様らは魔剣との相性が良い。こやつらを操って戦争に備えろ」


 深紅の瞳を不気味に煌めかせる皇帝陛下がそう言うと各個人に魔剣が手渡された。

 その魔剣は人によってまちまちで、曲がりくねった短剣(ダガー)があるかと思えばその横には刃が左右に付いた(アックス)を渡される者もいた。

 そして、自分に渡されたのは槍のように長く先端が尖り、斧部が取り付けられた斧槍(ハルバード)だった。


「では戻れ」


 そう言って退出を促された。困惑した表情で立ち去る自分達を他所に帝王の間の扉は重く閉ざされた。


 自我が薄れてきたのもその頃だろう。

 最初に()()を握り一瞬で得体の知れない物に取り憑かれる感覚に襲われた。体内の魔力が必死に抵抗を重ねたがジリジリと侵され、最終的に二日で突破された。

 その時からはもう既に精神の制御は奪われ、戦場に赴く頃には統一されていたはずの精神と身体は第三者によって隔離されていた。


(アレクセイさん……)


 牢獄に閉じ込められず微かに残った心の残滓が父のように尊敬していた人の名を呼ぶ。

 レスタスとアレクセイが出逢ったのは彼がまだ子供の時だった。

 帝国に自国を滅ぼされ、薄暗い路地で途方もなく死んだ両親を待っていた自分を拾い、飯を食べさせ育て上げたのだ。

 それこそ義理ではなく、真の父と言っても良いほどに彼への恩義は計り知れなかった。

 そんな彼が死んだ、と言われたのは数ヶ月前だ。それ以上の情報も与えられずただ、敵国であるセンテルズ王国に殺された、と一文のみが記された一通の手紙を渡されただけだった。

 こんなもので親同然のアレクセイの死を受け入れられるものか。

 そして怒りは徐々に敵国への復讐心に変化していった。


「やっとこの日が来た……」


 右手に握り締めた槍状の魔剣は自分に与えられた復讐(殺し)の機会。

 この命を炭に変えてでも父の仇は取る。

 そして彼は自軍の兵士の命を次々と刈り取る二人の亜人へ襲いかかった。




 〇 〇 〇



「――ヴォンヌ、ミシェル、一旦退()け!!」

 

 ずっと監視していた魔剣士(グラムラー)の急激な魔力波動を感知し俺は動き出す前に二人の名前を叫んだ。

 その刹那、閃光の如く斧槍(ハルバード)が射線上の兵士を穿ちつつ飛んできた。音速を超える速度で投げ出された斧槍(ハルバード)は風をも切り裂きその近距離にいた未接触の兵士さえも吹き飛ばす。

 胴体を穿たれ、無抵抗で絶命する者。または爆風で四肢を切り裂かれ慟哭する者。

 戦場の雰囲気は、闘争から一方的な虐殺へと風変わりしていった。

 たった一人の帝国魔剣士(グラムラー)によって。


「う、うわああああああ――!!」


 真っ赤に染まった地面をその目に焼き付け一人の王国兵士が恐怖を露わにする。

 その瞬間でさえも帝国の魔剣士(グラムラー)は気を許さない。

 シュンっと矢が放たれたようや音がした。そして、ゴロンと転げ落ちる人の頭。


「――――くっ!!」


 第二旋が来る前に俺は魔剣でその斧槍(ハルバード)を受け止める。その直後魔剣から鈍器で叩いたような音と同時に、骨の髄まで届く程の衝撃が腕全体を襲った。

 そう、先程の矢が飛ぶような音は実際に矢ではなく、魔剣士(グラムラー)斧槍(ハルバード)が振られる音だったのだ。


「……アレ……ク……!!」


 人ならざる者の声がその閉ざされていた唇から溢れる。

 だが、彼の言葉に意識を背けている暇は無い。現在の戦場では直ぐにでも無力化する必要があったからだ。

 最初の戦之序開(アーレス・サイン)も然り、この帝国軍の魔剣士(グラムラー)も然り、相手に自軍の兵士が圧倒されているのを見られるとどうしても戦意が忌避に変わってしまう。


「【電光殺矢(スマヌス・アロー)】」


 水色に輝く電撃の矢を俺の背後から斧槍(ハルバード)の魔剣士目掛けて連射する。

 魔剣士は斧槍(ハルバード)を巧みに扱い、飛び出す電撃の矢を叩き落とすが、全ては防ぎ切れず電撃を身体に受けてしまう。

 そして――ドカンッ! と電撃の矢は着弾した瞬間に爆発し斧槍(ハルバード)の魔剣士を強制的に後退させた。

 一瞬にして広がった二人の距離は、巻き上がった爆煙が澄みきる前に切迫する。


「ヤケジネ」


 前方に向かって地面を蹴ると斧槍(ハルバード)は先端と刃部分が猛々しく黒炎を発した。

 すかさずレンも防御体制に移る。いや、移ると言うよりかわ受け流す、と言った方が近いだろう。


「【狂氷地獄(ヘル・インフェルノ)】」


 魔法を唱えた瞬間、無表情だった斧槍(ハルバード)の魔剣士の表情が歪む。

 彼の下半身から手先まで刹那にして凍ったのだ。身体の感覚が喪われ無抵抗な状態に陥る。


「お前、何者だ」


 完全な勝利を目前にして余裕を抜かして質問をする。

 だが、無論彼に答える筋合いは無い。

 斧槍(ハルバード)の魔剣士は沈黙を貫いた。

 そう思っていた。


「……イッタダロ。ヤケジネ、ト」

「まさか――――!!」


 その時、地面が紺色に輝いた。

 瞬く間に地面に形成される魔法陣。そして、自分を中心として描かれる黒炎の牢獄。それは罪人を裁くために用意された墓場(ステージ)だ。

 死を直前にして、本当の戦場を悟った。

 これが死闘なのだ、と。

 黒く染められて血で塗られた死者が彷徨う砦。


「ジェラルド!!」


 一秒未満の、まさに瞬く間の時間だった。

 それは反射的で、本能的で、合理的だった。


「【破滅(アメミット)】」


 突如空中に現出した無の球体。有るものを無きものに変える破滅の魔法。


「やばい殺してしま……!!」


 古代に出来た魔法の大半は途中で停止することが出来ない。それは現代の魔法と古代の魔法の大きな違いだった。

 戦が至る所で繰り広げられていた古の時代に魔法を停める必要など皆無だったからだ。

 そして、それはレンが使った【破滅(アメミット)】も例外等ではなく、当然のように適応された。

 発動途中だった黒炎の牢獄は強制的に消し去られ、その発動主すらも骨すら残さず喰らおうとしている。


「……アレクセイ……」


 時の秒針が一つ振れるぐらいの時間だった。

 消去を実行した無の球体はとうに消えている。最初から存在していなかったかのように。


「……」


 静寂に包まれた戦場。

 手も止め、呼吸すらも止めていたのかもしれない。

 兵士たちの視線は英雄と()()()()レン本人に注がれていた。

 驚嘆。

 嬉々。

 喝采。

 その全てを振り払う畏怖の瞳。


「ジェラルドさん……」

「何をやっているんですか、戦いの最中ですよ!!」


 ミシェルは憐れみ、ヴォンヌは気を利かせてか、兵士の意識を逸らさせた。

 そして、ルミナが歩み寄ってくる。

 それに続いて戦の火花は再び舞い戻った。

 喧騒に包まれながら立ち尽くすレン。

 その表情は周りから向けられた畏怖の視線もあるが自分が人を殺した、と言うショックに染められていた。


「……ジェラルドさん。キツいことを言うようですがここは戦場です。弱肉強食の世界に他人を想う慈悲を持ってはいけません」


 正論も正論。頭で理解は出来ても心情は未だ取り残されていた。

 人の死がここまで衝撃的だとは知らなかったからだ。全く知らない誰かが死ぬ、又は自分が殺す。それだけでも救いだった。

 しかし、現実はどうだ。赤の他人を殺した今の身は耐えるだけでも困窮に陥っている。

 もしこれが自分の身近な人だった時、それこそ発狂し復讐に走るだろう。


「……そう……ですね」


 その時シグルスの言葉が脳裏を過った。

 『例え誰かが死んでも自分の使命だけは忘れなようにね』

 今ここで自分があたふたしていたら前線は一気に崩壊する。

 そうなると危険に曝されるのは、

 エイナやウィク、シグルスさんに、アリーセさん。

 セシャリさんに、ルーラさんやベイセルさん。

 そして、アリス。

 グラムウォルフ隊の仲間全員が帝国軍に囲まれる。


「報告次第、遊撃に移る。三人は攻撃に掛かってくれ」

「ジェラルド、無理はしない方が良い。役に立たないのなら指令だけ飛ばしていなさい」


 下に見て唆してくるミシェル。背を向けて敵に向かって歩いて行くが、その背中に若干の優しさを感じた。


「大丈夫、ほら三人ともそろそろ動いてくれ」


 不安な眼差しを向ける三人だがレンの勇気に押されてか、その言葉通りに動いた。


「こちら、レン。件の魔剣士と対峙。撃破しました」


 全体の指揮を執る現場司令官のウィクトリアに向けて魔力の波長を飛ばす。

 すると、返事は五秒もせずに返ってきた。


『こちら、ウィクトリア』


 落ち着いた声が耳元で囁かれる。


『了解。お疲れ様です』


 それを聴いて、俺は魔力波長を音に変換する魔法を止めようとするが。


『レン。初めてのお仕事はどうかしら?』


 二人の会話にエイナが割り込んでくる。

 時々ノイズが入るのは魔剣士との戦闘で魔力が乱れるからだろう。

 それもエイナの余裕の無い呼吸から聞き取れた。


「結構難しいです」


 単調な答えを返してしまう。


『そう……でもこれが戦争よ。今ここでへたばっては近い将来絶命するわ。だから神経質になって自分の身を守りなさい。そうすれば周りも守れるぐらいには強くなれるわ』


 まるで自分の心情を見透かしたような語り掛けは、胸の奥深くに浸透した。


「ありがとうございます。でも俺もこんな所でくたばる気はありませんからね。精々足掻いて、ここを守り抜きます」


 感化された俺は気恥しさを忘れて、痛々しく語った。


『……ちょっと痛いわね』

「言うな!!」


 それを聴いていたウィクトリアがクスリと笑う。


『では皆さん、遊撃への移行宜しくお願いします。日が落ちる迄はそれに徹して下さい』

「「了解」」


 同波長の魔力がウィクトリアを通して全体に響き渡る。

 それを最後に通信が切られた。


「さて、まだひと仕事目だ。今から五時間、体力持つかな」


 心を揺らす程でもない一抹の不安を口にする。

 こんな不安より、さっきの殺しの方がずっと怖い。

 だが、自分が殺らなければ他が殺られる。

 この負のサイクルは断ち切れない。

 それを理解しているからこそ俺はこの場に居るのかもしれない。

 そんな雑念でこれから自分が行う()()を肯定しようと言い訳を掻き集めるのだった。

はい、皆さん。

また遅れましたね。

これはあれですね。

「次回は早く出します!!」って言うのは自分でも気付きませんでしたけどフラグだったのかも知れませんね。

そうすると納得しませんか?


そんなこんなで適当に言い訳を掻き集める伏綸子でした。

はい。

では、事の発端から話しましょうか。

1.FG〇がイベントをやる。

2.配布キャラが可愛い。

3.強化するために周回する。

4.飽きる。

5.アークナイ〇を始める。

6.嵌る。

ふむ、なかなか面白いですね。

あほくさいですね。

てか、後者のゲーム結構難しくありませんか?!

キャラの育成もありますが、何処にこのキャラ置けばいいんだろう……って考えながらやるのってかなりキツイですね。

脳がやられます。

脳が震えそうです。


それはさておき、(長い脱線)

今回のタイトル「襲来」ですが、

魔剣士と手を汚す事への恐怖も襲来しました。

……なんか上手く噛み合わないな。

今日はネタとか書けない日ですかね。

大人しく寝ます。

はい。


次回ですが今回登場してないメインヒロイン――アリスを出します。

さすがに放置は酷いですからね。

最近少女を放置するゲームが流行ってるようですが僕は時々弄ってあげたいですね。

放置し過ぎると飽きられるので。

あ、別に過去の恋愛事情とかを被せてる訳では無いですよ?

僕非リアですし。お寿司。


最後に、

読者の皆さん、最後まで読んで頂きありがとうございます!

次回は早めに出します!

いや、遅めに投稿するって言った方がいのかもしれないな……。

その場合有言実行しそうですね!!( ´ ▽ ` )

また脱線しちゃった。

ええと、

よろしければ次回も読んで頂けると幸いです。

これからも「魔術侯爵家の幼馴染み」をどうかよろしくお願い致します!!

では皆さん、また次回お会いしましょう。

Bye(´・∀・)/

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