最前線
開戦を告げる刻の鐘は爆発音に変わり人々の心を高く揺さぶった。
吹き飛ばされる兵士。それは敵か味方なのかも見分けが付かない程に酷い肉片へと化し戦場を恐怖で踊らせる。
時間は午後零時頃。エイナと敵国の魔剣士であるアンダー・ルーンの大規模な殲滅魔法を合図とし戦争の錨が上げられたばかりだ。
俺を筆頭とし第四連隊がその後を続く。
魔法でレンズを作りエイナの方を覗くと既にあちらは戦っているのが見えた。
第四連隊も残り数十秒で敵国の軍とぶつかる。
俺は携えていた魔剣を抜き身構えて【身体能力強化】を再発動した。
「こちらレン。あともう少しで着きます」
声を魔力の波長へと変換しエイナがいる北側へとと飛ばす。
その返答は五秒もせずに返ってきた。
『こちらウィクトリア。衝突次第全力で敵を屠って下さい』
『ウィクも真面目ね〜。その辺の奴らじゃ相手にもならないのよ?』
エイナと同行したウィクトリアが俺の信号を感知しエイナの代わりに司令を出す。
そんなウィクトリアとは裏腹にエイナは暢気に戯言を抜かしていた。恐らく圧倒的な実力差がある故に敵の殲滅も暇の対象なのだろう。
「もうすぐそこまで迫って来ています」
「ジェラルド、誰と喋ってるの?」
隊員内での通信を遮ったのはルミナである。不思議そうに俺の顔を覗き込む姿は可愛いとしか言いようがない。
「よし、可愛い!!」
「よしってなんなの、ジェラルドぉ……」
不服そうに頬を膨らますルミナ。
俺は心の中で密かにペットにしたいと切実に思ってしまった。
もっとも、別に周りの異性が可愛くないとかブスだとか思っている訳では無い。寧ろ美人や美少女が多過ぎて慣れてしまったのだ。だからこそ、ルミナのような動物的可愛いさが無性に寂しくなるのだ。
「それはさておき、気を引き締めて下さい。ジェラルドさん、最初の攻撃を」
ヴォンヌは話から脱線した俺を引き戻しその後の兵士の士気を左右する初攻撃の発動を促す。
「ああ、分かってる。それじゃあ……」
握り締めた魔剣を地面に刺し魔法を発動する。
その刹那、敵からの魔力干渉による妨害を喰らったが軽くあしらい魔法を続行した。
そして、それこそ。
「――――我々の勝利を掲げよう【黒炎零氷】」
左手を前に伸ばしそう告げると、前方は瞬く間に氷死の世界へと化し、灼熱の獄炎が吹き荒れた。
魔法の発動範囲を周囲三百六十度ではなく直線上に限定する。それにより、獄炎と絶対零度の氷結は襲い来る遠くの敵を瞬時に灰へと帰した。
だが、無論それだけではない。
「爆ぜろ」
その瞬間俺の前を起点に連鎖爆発が起きた。
敵の一部は爆風を受けて宙に舞い、また一部は脚だけを遺して肉塊へと変貌する。焦げた匂いが戦場に漂い始めた。
そのほんの数秒の出来事に戦意を喪失して茫然と立ち尽くす人すらも現れ始める。
だが、ここは戦場だ。一瞬でも気を緩めてしまうとそれは大きな仇となる。
魔法の終わりを見届けているとヴォンヌ、ミシェルが敵の油断を突いて一気に敵中へと駆け込みその暴力を解放する。
大剣を地面に叩きつけたかと思えば大地は揺るぎ亀裂が走った。叫び声を上げて奈落へと落ちていく人を無視しミシェルの第二波が襲いかかる。
それは毒針の雨だった。一本の小さな針を天高く飛ばすとそれは数十、数百の巨大な毒針へと分身し人体を頭蓋から貫く。土に刺さり不発に終わったかと思えばその針柱を伝って雷電が戦場を駆け巡った。
「狂人と化してやがる……」
自分の事は言えない、とはこの事だろうか。ある意味狂人である俺もその範疇では? と言う疑問を隅に、大人しく待っているルミナに声を掛けた。
「……ルミナも行っていいんだぞ?」
「僕が暴れたら誰があの二人を止めるのさ」
それもそうだな、とルミナに笑いかけて俺は再び前線に目を向けた。
遠くの方では剣戟音より大規模な爆発音の方が際立つがヴォンヌの背中を追った第四連隊では、剣を交える音の方が耳に入ってくる。
「ジェラルドこそ行かなくていいの?」
両手を後ろで組んで横から俺の前に出るルミナ。俺より身長が低い為視線が自然と彼? の猫耳に行く。
まずいまずい。和んでしまって行けない。
ここは戦場なのだ。一時も気を緩めてはいけない。
それはさておき、俺はルミナの質問に答えた。
「奥の方でコソコソと忍んでいる魔剣士を誘き寄せてから遊撃に移る。だからそれ迄は待つよ」
ルミナは分かった、と小さく頷いて視線を移した。
「ジェラルド〜、君がここにいるなら僕は行ってきても良いかな?」
俺はルミナの問い掛けにすぐに答えた。
「勿論いいよ。ただルミナもあんな感じになったら……」
俺はそう言って闘牛のように暴れ回る大隊長二人を指差す。
「止めるよ?」
「――僕は、あんなに見苦しくないよ!!」
顔を向けるとルミナはすぐに反論した。
「杞憂だったな。良いよ、行ってきて」
「……むぅー」
顰めっ面で俺を睨みながらルミナは敵を倒しに走って行った。
買い物に出掛けるかのような少年を見届けてから俺は敵軍に紛れ込んでいる例の魔剣士のいる方向に視線を向けた。
「さて、レイさんはどう来ると思う?」
《はい、ご主人様。恐らく姿を消したまま奇襲を仕掛けてくるかと思われます》
「ま、当然だよな」
態々姿を隠しているのだから奇襲をするのが普通だろう。寧ろ魔法を解いて現われたらあまりの滑稽さに笑ってしまうかもしれない。
「じゃあ気長に待つか」
俺の声は奏でられる人の断末魔の中に霧散していった。
〇 〇 〇
隊長の魔法が敵陣目掛けて放たれたのが十数分前。
そして敵と対峙したのがつい数分前だ。
帝国側の侵攻は想像以上に速い。相手側に魔法で支援する者でもいるのだろうか、と推測を立てたけど今はそれを明確に証明する術は無い。
いや、あるにはあるが敵を食い止めるので手いっぱいだ。
仮に居たとしてこれだけの大規模な支援を送れるような魔法士はそうそう居ない。恐らく魔剣士が五帝士ぐらいの実力者でなければ難しい。
「という事はレンの方にもいるのかしら」
予想を呟く。
「でもどうせレンなら大丈夫よね」
謎の自信が安心感を生む。
だが、それは確信に至る程の自信でもあった。
「寧ろ馬鹿を起こさないか心配ね」
自分の独り言にクスリと笑みを溢す。
そして、再び前を向いた。
「私は私で、頑張らないと行けなさそうね!」
今日の朝まで沈んだ気持ちの自分が馬鹿馬鹿しく思えるぐらいに今の自分は絶好調だ。覚悟を決め、出来ればレンの横で彼を見守りたいのもやまやまだが、こんな所に私情は挟めない。例えレンが横に居なくても彼はそこにいる、とそう自分を叱咤するように目前の敵に身構えた。
「早く終わって欲しいわね――!!」
目の前の見知らぬ敵目掛けてレンと練習した魔法【灼熱地獄】を全力で放った。
また遅れてしまった……。
一週間程でしょうか?
何故もっと早く書けないんだ、と自分の中で考えてみた所どうやらスマホのゲームが僕の邪魔をしているようですね。
そのゲームは? だって? それは勿論F〇Oですよ。聖女を手に入れようと必死にガチャ回してますが出る気配がありません。どうしましょう。
お蔭で石は0ですね!!( ´ ▽ ` )
それはさておき、
今回は題名が最前線とのことで、どんな事書こうかなーって悩んだ結果こうなりました。ええ、分かってます。内容が薄いって言いたいんでしょ?
僕もそう思います。唯一誰かの心情やらが描かれたのはアリスの場面くらいでしょう。
ナンテコッタ。もっと掘らんかい。そう叱咤する現在の私でした。
さて、次回ですが
早速謎の新参魔剣士を出そうと思っています。
名前付けるのが大変ですねぇ。
今度名前を作ってくれるサイトで色々試してみようと思います。
最後に!
読者の皆さん、最後まで読んで頂きありがとうございました!!
投稿が遅れることもありますが、これからも引き続き「魔術侯爵家の幼馴染み」をどうか宜しくお願い致します。
では皆さんまた次回お会いしましょう!!
ヾ('ω'⊂ )))Σ≡サラバ!!




