↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
EIGHTEEN LIVES:再生の迷宮〜二度目のチャンスのダンジョン〜  作者: ルーク
【 旅路に縛られし者へ、ようこそ 】

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

4/23

1階:7秒

 カイルは横に身を投げ出した。


 ドスッ。


 二の矢が、ほんの半秒前まで彼の胸があったはずの石の床に突き刺さり、そのシャフトが弾かれた弦のように震えた。


「よし……」彼は息を荒くした。「落ち着け、大丈夫だ、やれる」


 彼は城壁の通路を転がり、崩落した胸壁の破片に背中を激しく叩きつけた。彼の膝よりも高い遮蔽物は、手の届く範囲にはそれしかなかった。


 ドスッ。ドスッ。


 さらに二本の矢がガレキの反対側に命中した。石の破片がカイルの靴にパラパラと当たった。


 (四本の矢。四本だ)


 (あいつ、考えるための静止すらしないのか)


 彼は膝を引き寄せ、できるだけ身体を小さく丸めた。


「本気かよ?」彼は空に向かって低く毒づいた。「ここに来てから、何分経った? モンスターが一匹しかいない階層を一つくらい用意してくれてもいいだろ?」


 空は答えなかった。


 代わりに、システムが答えた。


【モンスターを識別:ボーンアーチャー(骸骨射手)】

【危険度:中】

【攻撃種別:遠距離】

【推奨:開けた場所を避けてください。距離を詰めてください】


「距離を詰めろ、ねえ」カイルは繰り返した。「そうだな。素晴らしい、最高の助言だ。どうも」


 彼は腕を確認した。即席の包帯はまだ持ちこたえている。その下の切り傷が、心臓の鼓動に合わせてズキズキと痛んだ。


【残機:17 / 18】


 (二度とその数字を減らしてたまるか。矢の一本や二本で落とされてたまるものか)


* * *


 矢の雨が止んだ。


 カイルはその場に留まり、耳を澄ませた。


 風の音。古い石が微かにきしむ音。遥か下方で、枝が別の枝をコツコツと叩く音。


 (俺を見失ったのか。それとも、待ち伏せしているのか)


 (どっちだ?)


 分からなかった。そして、分からないということこそが最悪の部分だった。


 慎重に、彼は膝の上から錆びた鉄棒を滑り落とし、自分の拳ほどの大きさの転がっている石の破片を拾い上げ、手のひらでその重さを確かめた。


 (よし。ちょっと試してみるか)


 彼は腕を後ろに引き、開けた場所へ向けて、右側の壁沿いへ思い切りその石を放り投げた。


 石は石の床を転がり、城壁の通路全体に響き渡るような高い音を立てた。


 ドスッ。


 一本の矢が、まさに石の転がった場所に正確に突き刺さった。


 カイルは目を剥いた。


 (音に向かって撃ったんだ)


 (俺じゃなくて、物音を狙ったんだ)


 彼は小さく、獰猛な笑みを浮かべた。


 (もらった)


 薄青く、細い新たなウィンドウが開いた。


【観察記録:ボーンアーチャーは音と動きを標的にします】

【ヒント:遮蔽物の背後で静止している標的を追跡することは、敵にとって困難です】


「おい、これは本当に役に立つな」彼は呟いた。「三十秒前にその情報をくれよ」


 (よし。これで戦うための材料が揃った)


* * *


 彼は焦らなかった。


 それからの数分間、彼はこれまでの人生で一度もしたことのない行動を取った。


 観察だ。


 彼はガレキの角へと這い寄り、塔が片目で見えるギリギリのところまで、そっと頭を出した。それは平らな天面を持つ、灰色がかった石造りのずんぐりとした塔で、アーチャーは屋根のまさに端に立ち、紫色の空を背にしてそのシルエットを晒していた。


 背が高く、細い。ボロ布のようなマントの隙間から、肋骨のすべてが透けて見えている。


 それはカイルの身長ほどもある大きな弓を持ち、背中には尽きることがなさそうな矢筒を背負っていた。


 カイルは数を数え始めた。


 (一……二……三……)


 アーチャーが弦を引き絞る。


 (……四……)


 弦が放たれた。


 ドスッ、と遥か遠くで彼が投げた石に矢が命中した。


 それから怪物はゆっくりと矢筒に手を伸ばし、次の矢を取り出した。


 (……五、六……)


 矢を番え、弓を持ち上げる。


 (……七)


 放たれた。


「七秒だ」カイルは低く呟いた。「結構な長さだな」


 彼がそれを口にするのを待っていたかのように、ウィンドウがポップアップした。


【観察記録:ボーンアーチャーの射撃間隔は約7秒です】


「文字は読めるよ」彼はウィンドウに言った。「自分で計算したんだ」


 これに対しても、ウィンドウは何も答えなかった。


 彼はより慎重にカウントしながら、もう一度確かめた。引き絞る、放つ、手を伸ばす、番える、構える。


 その動作は一貫していた。退屈なほどに。


 (あいつは賢くない。ただの機械だ)


 (機械には、隙がある)


* * *


 最初の直線ルートを頭の中で描き終えるまでに、彼は三つのことを学んだ。


 一つ目。アーチャーは弓を引き絞っている間、決して動かない。足をしっかりと固定し、放った後にだけ、屋根の縁に沿って横に三歩、小さく足を引きずって移動し、再び静止する。


 二つ目。あいつは一度も下を見ない。ただの一度もだ。その頭骨は塔の正面に広がる開けた壁の通路に向けられており、まるで自分の足元で何かが起きるなどとは微塵も想定していないかのようだった。


 そして三つ目が、最高だった。


 それは、屋根からの射線が通らない壁の根本に沿って、物陰に何があるかを確認するために鉄棒で石を軽く叩きながら這い進んでいた時に見つけたものだ。


 扉があった。


 小さく、腐食しており、ガレキの山に半分隠れていた。それは正面入り口から十歩ほど離れた、塔の側面に位置していた。


 カイルはそこに耳を押し当てた。


 何も聞こえない。


 彼は押した。


 古びた蝶番が耳障りな金切り声を上げて内側へと開き、彼は顔全体を歪めるほど強く目を細めた。


 彼は待った。


 遥か遠くで、ドスッと音がした。アーチャーが何もない空間に向けて矢を放ったのだ。


 (これには気づかなかったな)


 (自分が矢を射る音にかき消されたんだ)


 彼は深く息を吐き出すと、その隙間に身体を滑り込ませた。目の前には、闇の中へと螺旋状に伸びる狭い階段室が広がっていた。


 内部の空気は、埃と古い骨の臭いがした。


 視界の隅に、かすかな青い線が現れた。


【地図:城壁(Rampart)】

【探索済み:11%】

【新しいロケーションを記録:アーチャータワー・横扉】

【ヒント:狭い空間は遠距離攻撃者の行動を制限します】


 カイルは最後の一行を見つめた。


「今日は随分とヒントが豊富だな」彼は呟いた。「裏に何があるんだ?」


 システムは答えなかった。


 (いつもそうだ)


* * *


 階段は急で、塔の内部は冷え切っていた。


 彼は背中を壁に預け、鉄棒を低く構えながら、一段ずつ慎重に登っていった。


 中ほどまで来た時、彼は足を止めた。


 頭上の壁の割れ目から光が差し込み、階段に紫色の細い縞模様を描き出していた。その向こう、わずか十歩ほど上方の前方に、アーチャーの背中がはっきりと見えた。


 背が高く、脆そうで、完全に静止している。


 一度でも音を立てれば、あいつは振り向くだろう。


 カイルの心臓は、喉の奥で激しく鐘を鳴らしていた。


 (目の前にいる)


 (今ならやれる)


 (バーストステップだ。距離を潰して、背後から叩き込む)


 彼はスキルを確認した。


【バーストステップ:使用可能】


 その下に表示されている数字を凝視する。


【効果時間:1.2秒】


 (1.2秒か)


 (それで足りるのか?)


 正確な距離は分からなかった。誰かが近づいた時、アーチャーがどんな行動を取るのかも知らない。この鉄棒があいつの骨を叩き割るのか、あるいはハスクの肩の時のようにただ弾き返されるだけなのかも分からなかった。


 彼の口元が歪んだ。


 (もし失敗すれば、残機は十六になる。それに、俺の場所も完全に割れる)


 彼は階段を一段だけ後ろに下がった。


 (いや)


 (まだだ)


 突っ込みたい衝動はあった。治癒術師の家で、誰かに「もう少しだけ待ちなさい」と言われるたびに感じていた、あの足がむずがゆくなるような焦燥感が体中を駆け巡っていた。


 だが、彼はこれまでに何度も待ってきた。人を殺すのは「待つこと」じゃない。


 焦ることだ。


 彼は一段ずつ、ゆっくりと階段を降りて元の場所へと戻り、横扉から外へと滑り出た。


* * *


 彼は周囲の地図を記録しながら、塔の周りを一周した。


 ひび割れた壁、ガレキの山、身を隠せるほどの幅があるすべての隙間。


 探索のパーセンテージが上昇していく。


【探索済み:14%】


【探索済み:17%】


【探索済み:19%】


 回り終える頃には、視界の隅にある小さな地図は空白のグリッドではなく、この場所の粗いスケッチのようになっていた。ギザギザに伸びる壁の線。一つの塔。一つの横扉。そして、それぞれが小さな点として描かれた、長く連なる遮蔽ポイントの数々。


 (どこに立てばいいか、これで分かったぞ)


 (大きな進歩だ)


 地図の最下部に、新しい一行が現れた。


【ヒント:ボーンアーチャーは標的に3歩以内に接近されると、短剣を抜きます】


 カイルはそれを二度読み返した。


 それから壁に背を預けて座り込み、押し殺した声で笑った。


「そうだよな。当然、あいつもバックアップのプランくらい持ってるよな」


 彼は両手で顔を覆ってこすった。


「つまり、真っ直ぐ走って行って殴るわけにはいかない。近づけば刺される。離れていれば撃たれる。静止していれば、あいつからは見えない……」


 彼は言葉を止めた。


 (静止していれば、あいつからは見えない)


 (だけど、もし音を立てたら……)


 彼の視線が、先ほど投げたあの小さな石の破片へと向けられた。今は彼の足元のガレキの山に半分埋もれている。


 (……あいつは見にくるはずだ)


 彼はその石を拾い上げ、指先で転がした。


 (音があいつの注意を引く。注意が引かれれば、あいつの頭が下を向く。頭が下を向くということは、狙いを定めていないということだ)


 (そして、もしあいつが階段を降りてくれば……)


 彼は向き直り、狭い横扉を見つめた。


 (……あの階段は狭い)


 (そして狭い階段室の中じゃ、弓を構えるスペースなんてない)


 彼の心臓の鼓動が、さらに速くなり始めた。


 (これだ)


 (この作戦でいく)


* * *


 すべてを完璧に整えるまでに、一時間近くを費やした。


 彼は鉄棒を足元に置いた。ガレキの中から小石をいくつか一掴み分拾い上げる。壁が緩やかにカーブしている塔の反対側へと回り込み、屋根の射線から外れた、アーチャーの背後十五歩ほどの位置にあるせり出した岩棚へとよじ登った。


 それから、彼は石を一発放り投げた。


 石は城壁の上の通路(バトルメント)を転がり、そのまま縁から外へと落ちていく。


 アーチャーが振り返った。


 ゆっくりと。硬直した動きで。骨の乾いたきしみ音を立てながら、その頭骨が音のした方へと向けられる。


 怪物は弓を持ち上げた。


 ドスッ、と放たれた矢が霧の中へと消えていく。


 カイルは七秒間待った。


 彼はもう一発投げた。


 今度は、より近くへ。


 アーチャーは再び向き直り、再び矢を放った。


 そして、三度目の投擲の時、何かが変わった。


 アーチャーが動きを止めた。


 怪物は弓を下ろした。


 空を見上げ、それから壁に視線を落とし、最後に、まるで奇妙に思うかのように頭骨をゆっくりと傾けながら、塔の内部へと続く屋根のハッチを見つめた。


【警告:モンスターの行動パターンの変化を検知しました】

【ボーンアーチャーは音の発生源を捜索しています】


 カイルは息を止めた。


 アーチャーがハッチへと歩いていく。


 骨がきしみ、布地が擦れる音が聞こえた。


 怪物が階段を降り始めた。


 カイルは音もなく岩棚から滑り降りると、姿勢を低くして壁の根本を一気に駆け抜けた。怪物がたどり着く数秒前に横扉へと到達し、その内部へと滑り込んだ。


 階段室の中は暗かった。


 彼は鉄棒を両手で強く握りしめ、耳の奥で激しく打ち鳴らされる鼓動を感じながら、階段のすぐ脇にある湾曲した壁に身体をぴったりと押し付けた。


 (あいつは降りてくる。一番下までたどり着く。そして中庭へ足を踏み出すはずだ)


 (その時、俺はここにいる)


 それが聞こえた。


 カツン。


 カツン。


 カツン。


 ゆっくりとした足音。骨が石を叩く音。


 近づいてくる。


【バーストステップ:使用可能】

【地図:城壁(Rampart) / 探索済み:21%】


 カイルはほんの半秒だけ目を閉じた。


 (1.2秒)


 (俺に与えられた時間は、それだけだ)


 足音が止まった。


 まさに、階段の最下段で。


 彼は目を開けた。


 石の角のすぐ向こう、扉から差し込む薄灰色の光の中に、背の高い影が立っていた。細長く伸びた指が弓を握りしめている。矢の先端は、すでに外の空間へと向けられていた。


 距離は八歩もない。


 そして、あいつは足を止めていた。


 その頭骨が、ゆっくりと壁の方を向いた。


 俺の方を。


「……うそだろ」カイルは微かに息を漏らした。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。